子ども食堂やフードバンクなどへ年間20万食を提供 青果の予備活用で食品ロスも削減
2021年5月27日
パルシステムグループは、配達仕分けなどで発生する予備分の青果を生活困窮者の支援活動に役立てています。2020年度は、子ども食堂やフードバンクなどへおよそ20万食分を提供しました。手に入りづらい野菜や果物が喜ばれています。
地域ネットワーク生かし170団体へ
パルシステムの予備青果活用は、子ども食堂やフードバンクなどからの依頼を事前に集約し、週単位で最寄りの配送センターまで届ける仕組みです。2019年度に実験を開始し、2020年度から本格運用に入りました。
2020年度は、年初からの新型コロナウイルス感染拡大の影響から失業や休業により生活に困窮する人が急増しています。こうした背景もあり、年間20万食分に相当する青果を提供しました。提供団体数は、子ども食堂やフードバンクのほか、路上生活者支援など、170団体以上におよびました。
青果は、天候によって収穫期にサイズが異なることや、輸送中に傷む可能性もあることから、予備を用意せざるを得ません。パルシステムをはじめとする生協の宅配は、前週に注文を受けるロスの少ない事業構造ですが、それでも20年度実績で0.4%発生しています。
(参考)スーパーマーケット業界における青果の食品ロス率は推計 3.3%(出典『2021年版スーパーマーケット白書』全国スーパーマーケット協会)
年明けからさらに増加続く困窮者
「今日食べるもの」に困る生活者は、増加の一途をたどっています。新宿ごはんプラスでは、5月15日(土)の来場者が過去最多となったほか、多くの団体で利用希望者が増加し用意する食品の数量がひっ迫しています。提供先は、ひとり親家庭のほか、若者や外国からの滞在者など多様化しています。支援者は「すぐに回復することはないだろう」と口をそろえます。
また食品ロス問題に詳しい東京家政学院大学の上村協子教授は「生協は元々『食品ロス削減』の優等生でもあり、提供は生協らしい取り組みといえる。さらに物流インフラを活用して必要とされる場所の近くにある配送センターまで届ける仕組みは、食品ロスだけでなく現場の負担も低減している。今後はさらに負担なくスムーズに受け取れるよう、デジタル化を進めることも必要なのではないか」と話しています。
活動は動画でも紹介しています
ともに生き抜くために コロナ禍――パルシステムの困窮者支援(YouTubeパルシステム公式チャンネル)
支援団体コメント(カッコ内は活動地域)
地元まで届くので活動広げたい
フードバンクTAMA 芝田晴一朗事務局長(多摩市、八王子市など)
コロナ禍前は1カ月10世帯程度だったフードパントリーの提供先が、現在は多いと150世帯まで増えている。収入が3分の1になった家庭もある。学生や若い世帯が増えている。提供される青果は、驚くほど喜んでもらえる。地元まで届くので、多摩地域を中心に各地へ活動を広げていきたい。
「共助」ではまかないきれない
新宿ごはんプラス 大西連共同代表(新宿区)
コロナ前は60~80人が、年明けから200人、3月から300人と増えている。若者や女性、子連れなど、これまで見かけなかった人が増えている。民間の「共助」でまかないきれなくなってきている。提供青果は、フードロス削減の観点だけでなく思いがこもっているように感じる。
リーマンショックと同じく長引きそう
TENOHASI 清野賢司事務局長(豊島区)
コロナ前の平均は166人、2020は230人、年明けから300人超えるように。この10年で最高。栄養のとれる生の青果は手に入りづらいので喜んでいる。リーマンショックのときと同様、多くの人が安定した生活を送れるようになるには、かなり時間がかかるのではないか。
パルシステムグループでは、2008年の「年越し派遣村」を契機に、生活困窮者への支援活動に取り組み、主に予備として発生する青果やパンなどを提供しています。
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