「組合員のみなさんも受賞者のひとりです」ICANノーベル平和賞受賞 記念報告会開催
2017年12月4日
パルシステム連合会は11月9日(木)、東京・新宿区の東新宿本部で、国際NGO団体ICANのノーベル平和賞受賞記念報告会を開催しました。
ノルウェー・ノーベル委員会は、今年の平和賞を国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に授与すると発表しました。授賞理由は、核兵器を条約で禁止しようとする姿勢、そして7月7日の核兵器廃絶条約採択への画期的な努力としています。
パルシステムは5月に、国際交流NGOピースボート共同代表でICANの国際運営委員でもある川崎哲(あきら)さんを迎え、ヒバクシャ国際署名の学習会を開催し、7月からグループ全体で署名活動に取り組みました。9月20日まで182,208筆の署名が寄せられ今回の核兵器廃絶条約採択への一端を担いました。今回ICANノーベル平和賞受賞にあたり、再び川崎さんをお招きし、記念報告会を開催しました。
「ヒバクシャ国際署名」に182,208筆 |2017年9月22日
報告に先立ちパルシステム連合会の石田敦史理事長が祝辞を述べたあと、グループの取り組みに触れました。「平和でなければ食の安全やよりよい生活は営めない。平和は生協の原点ともいえます。パルシステム静岡では署名活動の際、約800人から平和への思いやそれを求める如実で力強い声をいただいたそうです。今回寄せられた182,208筆の署名も背景に核廃絶への思いがあると思います。授賞式に向けパルシステムでも取り組みを盛り上げていきます」述べました。
ICAN受賞の意味
川崎さんは、祝辞や署名活動へのお礼を述べたあと、受賞に至る経過や意義について「ICANは2007年に世界の核兵器廃絶に取り組む団体で結成され、核兵器を国際人道法で規制されている他の兵器同様、『国際的な禁止条約で廃絶する』ことを目指して活動しています」と話し、次のように続けました。「平和賞は核兵器の禁止と廃絶のために声を上げ活動してきたすべての人に贈られた賞だと思っています。なかでも被爆者の方々が体験を語り続けてきたことで、核の非人道性の理論が切り拓かれました。また一方ICAN のようなNGOが受賞したことは、市民運動に賞が与えられたということ。ICANとともに署名をはじめ多様な取り組みをされたパルシステムのみなさんも、この平和賞の一部と思っていただければ」と強調しました。
核兵器禁止条約とは
いま世界には約15,000発の核兵器があり、アメリカ、ロシアが14,000発以上保有しています。それ以外に10万発以上作れる材料物質が存在し、そのうち日本は約48トン(8,000発)ものプルトニウムを保有しています。「7月の核兵器禁止条約交渉会議では、開会時に議長の要望で被爆者と核実験被害者が発言。日本は不参加を表明し、席にICANメンバーが作った大きな折鶴が置かれていたのが印象的でした。7日、122カ国の賛成で核兵器禁止条約が採択され、カナダ在住の被爆者サーロー節子さんが最後の演説で、『核兵器の終わりが始まった』と言われたが、まさにこの条約の意義を言い当てていると感じました」(川崎さん)。
条約の特徴について「いちばん重要なのは、前文で『いかなる核の使用も国際人道法に違反』と初めて明確に言い切ったところ。また、被爆者と核実験被害者が受けた苦しみ、先住民族、女性への影響も明記され、核の被害者の支援は国際社会の義務だということも提示しています。核兵器廃棄への具体的プランもあり、これは廃棄を経験した南アフリカが提言しました」と加えました。
核兵器は廃絶できる
川崎さんは今後について、核兵器との関係が指摘されている企業や金融機関との取引をやめることなどにも言及。条約批准についても「日本の9割近い自治体が参加する『平和首長会議』の今年の総会で『すべての国に発効を求める』と決議しています。みなさんのお住まいの自治体に働きかけていただきたい」と求めました。
核の事実を次世代に
川崎さんの報告に続き埼玉在住の被爆者、服部道子さん(88歳)が16歳当時の被爆体験を語り、また各配送センターを代表してパルシステム神奈川ゆめコープ宮前センターの小澤一郎センター長が、「ヒバクシャ国際署名」の取り組みについて報告しました。
これらを受け、パルシステム連合会の原秀一専務理事は、「第二次世界大戦後まったく戦争していない国は8カ国で、アジアではブータンと日本だけです。しかし昨年の安保法案成立後、不安に感じることがあります。川崎さんは『組合員も平和賞受賞者』と言われました。これをステップに、さらに平和活動に取り組みましょう」と結びました。
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※ICAN国際運営委員の川崎哲氏(ピースボート共同代表)講演会