核兵器を廃絶し、命輝く地球を未来に 「ヒバクシャ国際署名」の理解を深めました

2017年5月23日

パルシステム連合会は5月11日(木)、東京・新宿区の東新宿本部で運動委員会拡大学習会「核兵器のない社会にむけて 私たちができること」を開催しました。

今年度パルシステムグループでは、「被爆者が訴える核兵器廃絶にむけた国際署名(以下「ヒバクシャ国際署名」)に取り組みます。これにあたり、「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」に取り組むピースボート共同代表の川崎哲(あきら)さんを迎え、核兵器禁止条約をめぐる動きとヒバクシャ国際署名の意義についてお話しいただき、理解を深めました。

「ヒバクシャ国際署名」は、昨年の国連総会で2017年からの「核兵器禁止条約」交渉決議が採択されたことで、平均年齢80歳を超えたヒロシマ・ナガサキの被爆者が2016年4月に世界に賛同を呼びかけたものです。「あの生き地獄を体験させたくない。生きているうちに何としても核兵器廃絶を」という強い意志が込められています。

「核兵器禁止条約」交渉会議は、1回目が3月に終了し、2回目が6月15日~7月7日に行われます。これから取り組む署名は、まさに禁止条約作りの場に提出することになり、核兵器廃絶の思いを世界中に示し、条約にも影響を与えうる好機会となります(パルシステムグループで集めた署名は、2017年度の国連総会への提出を予定しています)。

核兵器「禁止」は世界の趨勢

ピースボート共同代表 川崎 哲(あきら)さん

ピースボート共同代表・川崎哲さん

開会にあたり連合会地域支援本部の林一雄本部長があいさつし、「今年度、『ヒバクシャ国際署名』をグループ全体で取り組むことになりました。統一しての取り組みはこれまでありませんでしたが、今日の学習会で意義をしっかりと受け止め、組合員に広く伝えていければと思います」と述べました。また禁止条約決議に反対した日本政府に対しても、第2回交渉へ参加し唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶へ向け積極的に役割を遂行するよう、要請書を出すことが報告されました。

続いて川崎さんが、核兵器禁止条約をめぐる動きについて、国連やNGOなどの取り組みを紹介しました。大量破壊兵器である生物、化学兵器は国際法で禁止され、また、生物兵器、化学兵器、対人地雷、クラスター爆弾は国際人道法でも禁止されていますが、核兵器に関しては、持っていい国といけない国を区別する不拡散条約(NPT※)が現在あるだけです。しかし2011年、国際赤十字社が「核兵器廃絶に向けての歩み」を採択したことで、2012年NPT準備委員会で、核兵器使用がもたらす「破滅的な人道上の結果への憂慮」と「国際人道法の重要性」が言及されました。

「これまで世界での原爆や核兵器の認識は、アメリカが日本に落とし戦争が終わったという国際関係の物語であり、人道上の問題としてはまったく語られてきませんでした。しかし2012年NPT準備委員会で、NPTの歴史のなかではじめて人道的問題という合意がなされたことは重要です」と川崎さん。
それ以後、核兵器の人道的影響について多くの場面で論議され、2015年の国連総会で核兵器廃絶にむけた法規定などに取り組む初めての作業部会の設置が138カ国の賛成で採択。2016年の国連総会第1委員会では翌年からの交渉開始が123カ国の賛成で決議され、今年3月に1回目の交渉会議が行われました。この開会式ではコスタリカ大使の要望で被爆者もあいさつしました。現在は条約案等が検討され、6月15日からの2回目の会議では条約が成立する見込みとなっています。

日本は禁止決議に反対表明

日本は「核兵器禁止条約を支持しない」という立場を一貫してとっています。2016年の国連総会第1委員会での交渉開始決議では反対を表明し、周囲に驚きや衝撃を与えました。「アメリカの反対に同盟国である日本も追随せざるをえなかったのです。広島1区選出の岸田外務大臣は反対理由として、核兵器国と非核兵器国間の対立を助長するからと述べましたが、ならば棄権すればいい。反対に立ったことで、対立はいっそう助長されました」(川崎さん)。一方、反対を表明するNATOの一員であるオランダは、市民が取り組んだ署名が議会、そして政府を動かし、決議を棄権。国連交渉会議は参加しています。「『同盟関係があるから』というのは通らない。市民運動や署名で政府を動かせるという展望が開けた事例だと思います」と報告しました。

「禁止条約」作りの場に、核兵器廃絶の多くの意志を届けよう

学習会で質問する組合員

学習会で質問する組合員

今回集まった署名は、今年の国連の交渉会議、総会に提出されます。条約交渉や今後の条約への署名、批准においても実際影響してくるものです。日本政府へ条約参加を促す力にもなり得ます。交渉会議の議長であるコスタリカのホワイト大使もたくさんの署名を期待しているそうです。川崎さんは、「ぜひ多くの組合員のみなさんに、呼びかけ文を読み署名をお願いしたい。世界中の核兵器廃絶の思いの人たちと、国連、さらには核兵器国を動かし、命輝く地球、未来を実現させていきましょう」と呼びかけました。

最後に運動委員会の佐々木博子委員長は「今年グループ統一で取り組む必然性を非常にわかりやすく話していただいた。あの惨事を二度と引き起こさないために何ができるのかを、あらためて共有しながら署名を広げて行きたいと思います」とまとめました。

<核不拡散条約(NPT)再検討会議>
※核兵器保有国が増えることを防ぐ条約であり、核兵器の軍縮や拡散の状況を定期的に検討するために、5年毎に再検討会議が開催されています。

核兵器禁止条約交渉へ日本政府の参加を要請 唯一の被爆国として責任を果たすべきです(プレスリリース)|2017年5月16日