「食品ロス削減月間 キックオフ集会」 先人の知恵と持続可能な社会づくり

2021年10月26日

パルシステム連合会の環境委員会は「食品ロス削減月間」開始にあたり、10月8日(金)東京・新宿区の東新宿本部で「食品ロス削減月間 キックオフ集会」をオンラインで開催。組合員や役職員など約378名が参加し、“私たちにできること”を考えました。

パルシステムは「ほんもの実感!くらしづくりアクション」の一環で食品ロス削減に取り組み、産直食材を無駄なく加工した商品開発、組合員の知恵からくらし直し提案などの「もったいないプロジェクト」で、2014年に第1回「食品産業もったいない大賞」審査委員会委員長賞を受賞。同年に東京家政学院大学の上村協子先生を招き、食べ物を捨てない豊かなくらしをテーマに学習会も開催しています。

今回、上村先生の講演や、教え子の現在大学院生で家庭科教師の飯島京香さん、環境委員会委員の中村真紀さん(パルシステム千葉理事)を交えた対談で、生産に配慮した消費を行う「生産消費者」として私たちにできることを考えました。

対談のようす(左からパルシステム千葉・中村さん、上村先生、飯島さん)

開会にあたり環境委員会の高野祐子委員長(パルシステム福島理事長)は、「2019年に食品ロス削減推進法が施行され、10月は食品ロス削減月間。パルシステムは2014年から組合員と食べ物をおいしくむだなく使いこなす取り組みを進めてきました。今回、法律制定に尽力された上村先生のご講演や江戸時代の生活や食の知恵などから、私たちにできる削減を考えていきたい」とあいさつしました。

食品ロス削減で支え合いのしくみを

「2013年、座長を務めていた消費者庁の食品ロスにかかわる意見交換会で、パルシステムの髙橋さん(現常務執行役員)が生活者視点での食品ロス削減や持続可能な社会づくりについて話され、とても印象に残りました。その後『食品産業もったいない大賞』やSDGsアワードを受賞するなどパルシステムは食品ロス削減に貢献してきました」と上村先生。食品ロス削減には、SDGsが掲げる目標のひとつ「つくる責任、使う責任」だけでなく、広く他の目標とのつながりを見ることも重要といいます。

これまでのエシカル※な会員が生産消費者として支えあいの実績をあげてきたパルシステムの貢献を評価し「貧困支援や食と農をつなぐ、地域の活性化などの事例もあります。行政も『生活政策』としての食品ロス削減を推進しています。生活者・生産消費者の視点から生活政策に実践的に影響力をもってきたパルシステム。誰一人取り残さない時代にむけて、パルシステムのこれからの発信にさらに期待したい」と述べました。

※消費者庁ではエシカル消費を「今だけ・ここだけ・自分だけ」ではない消費と表現しています。

上村先生(中央)を囲み、運営スタッフ一同で

「江戸エコかるた」で持続可能な暮らし方を育む

江戸時代は食べ物が貴重で、「おいしく楽しく食べるための豊かな発想や知恵が生み出された時代」と上村先生。かるた制作は現代の私たちにも通じる、と「江戸エコかるた」※の制作について家庭科教員を目指す学生に持ちかけたそうです。飯島さんも当時のゼミ生。初めは「家庭科の教員免許取るのに、なぜエコかるた?」とみな大ブーイングだったとか。「でも家庭科は、自分の生活をどう豊かにしていくか、何を選んで大事にしていきたいかなどを考えることが大事なので、とてもいい経験でした」と言います。

「自分の作ったかるたでは『現代も学ぶエコめし、江戸の食』が好きです。たとえば生ごみを肥料にして畑で作物を作るなど、廃棄を有効活用して次の生産につなげるといった創意工夫が「江戸の食」にはみられました。また『切り干した大根おかずに晩ごはん』というかるたで表現したように、冷蔵庫や保存料もない時代、旬の時期においしくいただき、余れば天日で干す、塩漬けや発酵させて保存する、などの工夫で庶民の味が生み出され広まりました。こうした食生活文化から、自然に『もったいない』ということを学んでいけるように思います」(飯島さん)。

飯島さんは男子校の夏休みの課題に「1汁3菜」の食事づくりを出したところ、買い物ではエコバック使用、夕方の割引を狙う、品物を前取りする、調理ではCO2削減のため電子レンジを使うなど、さまざまな工夫がみられたそうです。「生徒自ら実生活のなかで食生活と消費環境をつなげていくこと、そして気づくことがすごく大事だと感じた授業です」と話しました。

※「江戸エコかるた」~東京家政学院大学現代家政学科で家庭科教育法を学ぶ学生が、江戸の暮らしの知恵から食品ロス削減を考え作成。江戸時代の「エコ」な暮らしを44組のかるたにしました。非売品。

常務執行役員の髙橋宏通は「日本の食文化の“もったいない”という言葉に込められた意味を見つめ直しつつ、離れてしまった食の生産現場と消費やくらしの距離を取り戻し、生産消費者として食品ロスの問題を考えていきたい」と述べました。

パルシステムでは11月12日に「もったいないキッチン」オンライン上映会や「もったいない川柳」の入選作発表なども行う予定です。

 

【11/12オンライン上映会】映画「もったいないキッチン」のご案内

「食品ロス」アンケートに6265名の参加! ご協力ありがとうございました

第1回「食品産業もったいない大賞」審査委員会委員長賞を受賞

食べ物を捨てない生活で「ほんもの」の豊かなくらしを提案(社会貢献活動レポート|2014年11月)