大隅うなぎ産地研修を実施 モニタリングで放流の効果を検証

2017年6月23日

石倉かごでモニタリング

パルシステム連合会は2002年から、大隅地区養まん漁業協同組合とともに、うなぎを放流する事業に取り組んできました。2013年には両者で大隅うなぎ資源回復協議会を設立し、資源対策について、検証しながら多角的に取り組んでいます。その一環として、効果的な放流方法を検証するために「放流モニタリング事業」を2015年に立ち上げ、鹿児島県・肝付町の河川で放流実験と定点観測を続けています。なおこの事業では、モニタリングのほか、すみかとなる「石倉かご」の設置などが行なわれ、これまでにパルシステムの組合員から寄せられたカンパ金などの支援金が充てられています。

6月2~3日(金・土)の2日間、大隅地区にて産地研修を開催し、パルシステムグループの職員19名が参加しました。今回は関東近郊における「うなぎの生息域の拡大」に向けて、産直産地である千葉県・旭サンドファームの加瀬千吏さんも参加し、取り組みを視察しました。

前から2列目左から3人目の鉢巻姿が加瀬さん。手前白い服が望岡先生

モニタリングでは6~7センチメートルの「クロコ」と呼ばれる小さなうなぎが5個体、25~50センチメートルのうなぎが6個体発見されました。内2個体は再捕獲で身長・体重とも成長が確認されました。

またこの間の放流実験により「小さい個体のほうが越冬後の再捕率が高い」(九州大学・望岡典隆先生)ことがわかったので、汽水と淡水でそれぞれ育てた100pサイズ(10グラム程度)各100個体、計200個体の腹部に印を付けて放流しました。このサイズの放流モニタリングは過去最小で、自然に順応しやすい段階で河川に放流し、その効果を検証します。

200匹のうなぎを放流しました

資源回復を支える組合員の利用とカンパ

パルシステムでは、うなぎの資源回復に向けて2013年から「ニホンウナギの資源回復のためのポイントカンパ」を組合員より募集しています。2017年度も組合員が商品利用でたまったポイントを1口100ポイント(=100円)の支援カンパとする取り組みを行なっています(商品番号:190969)。

また今夏(7月1回~8月1回)の取り組みとして大隅産のうなぎを使った対象商品1パックにつき10~20円を設定し、組合員負担ではなく生協として支援金を積み立てます。5月末からは7万パック限定で、うなぎという資源を有効に活かすために、通常よりも大きく育てたうなぎの蒲焼を販売しています。

パルシステムではこれからも、行政や研究者とともに、資源回復活動に取り組んでいきます。

▽関連リンク
「放流モニタリング活動報告会」開催 “うなぎの都合”に寄り添う対策をすすめます|2017年4月17日

大隅産うなぎ蒲焼(パルシステムの商品)

*専門家の指摘に基づき一部表現を修正しました(2018年4月4日更新)