「第30回農法研究会」を開催 農業を科学する~青果の見える化の取り組み~
2023年2月20日
パルシステム生産者・消費者協議会(以下、生消協)は1月12日(木)、「第30回農法研究会」を東京・ニッショーホールおよびオンラインにて開催しました。
農法研究会は生産者が事例を報告し合い、情報を共有することで、パルシステムの産直産地のレベルアップを目的とするものです。会場129名、オンライン72名、計201名の参加がありました。
開会に際し、生消協の大津清次代表幹事(無茶々園・愛媛)は「おいしくて栄養価のある栽培方法をデータ化し共有する、生産者同士でいいものを作るための情報交換をするという流れができれば、新しい取り組みの一歩になる」とあいさつしました。
中味の見える化でおいしさ・品質・栽培をつなぐ
デザイナーフーズ株式会社の武井安由知さん、株式会社メディカル青果物研究所の服部玄さんが登壇し、「中味の見える化でおいしさ・品質・栽培をつなぐ」をテーマに講演いただきました。
武井さんは「青果への消費者のニーズは、安全・安心、健康、おいしさを簡単にとりたいこと。2015年からはじまった機能性表示食品もどんどん広がっており、消費者も野菜の中味がデータで表現されるというのは身近なものになってきている」と話しました。小松菜の産地との取り組みなどこれまでのパルシステムとの事例も紹介し、「品質の統一化や、消費者にPRするためにデータをうまく活用してほしい」とし、「 “見える化”の取り組みをしてもらうことで、栽培と品質、おいしさがつながっていくのではないか」とまとめました。
服部さんは「食で健康を考えたときに野菜の中味、おいしさ、機能性がこれからはもっと重要になってくる」とし、「厚労省が推奨する1日の野菜摂取目安に満たなくても、ほぼ同等の栄養がとれる、中味の詰まった野菜の提供も必要」と話しました。
生産者の“見える化”活用事例
パネルディスカッションでは、これまで農法研究会で学んできたことを振り返り、「農業を科学する~青果の見える化の取り組み~」について事例報告・意見交換をしました。
「できるだけ持続可能で自然な農法など、いろいろやってきました。BLOF理論が出たときに分析をしましたが、その数値は自分たちの農法に間違いはないという目安になっています」(水俣不知火ネットワーク(熊本):澤村輝彦さん)
「土づくり学習会を実施したり土壌医検定の取得に力を入れるなど、今はしっかり土づくりをする取り組みをしています」(八千代産直(茨城):坂入清史さん)
「野菜を科学的に分析して数値として見える化することによって、栽培技術や品質の向上につながり、消費者としては栄養面などメリットがあると思いました。パルシステムの産直産地の取り組みや農産物の中味を数値で表すことは、組合員の理解や利用にもつながっていくと思いますが、数値だけが一人歩きしないよう、取り組みをしっかりと伝えることも大切だと感じました」(パルシステム神奈川・渡部さと子さん)
「中味の表示データは自分の商品の良さを説明しやすくなった、と生産者から聞きました。消費者に味の特徴によるおすすめの食べ方や、好みに合った味を選べるなど、数値を表現で使っていただくツールとしても生産者のお手伝いができると思っています」(デザイナーフーズ株式会社・武井安由知さん)
生消協の小川保生産者運営委員長(JAつくば市谷田部・茨城)は、「目指しているのは、環境保全型農業でコア・フード、エコ・チャレンジの拡大。そのために客観的な視点を武井さんや服部さん、パルシステムの皆さんの力を借りて生産者にフィードバックしていきたい」とまとめました。