組合員の掛金が、生活困窮者を支える力に。「共済」のあり方にも貫かれるパルシステムらしさ(社会貢献活動レポート|2022年11月)

2022年12月2日

「組合員のかかわり」という枠を外し、助成対象を拡大

組合員同士の助け合いの精神を土台に成り立つ「CO・OP共済」。2021年度、パルシステム共済生活協同組合連合会(以下、パルシステム共済連)では、CO・OP共済の商品のひとつ《たすけあい》の剰余金の一部を活用し、生活困窮者支援などを行う市民団体やNPO団体の活動を応援する「ささえあい基金」を創設しました。

「ささえあい基金」のロゴは、「手と手をつなぎ、顔と顔を合わせて、孤立した人がいない、誰もが笑顔になれるような社会をめざす」という意味が込められています。

《たすけあい》の剰余金を原資とする従来の助成金制度は、組合員がかかわる福祉や健康維持活動などを対象とするものでした。新たな基金を設けた理由について、同基金委員長の青木恭代さん(パルシステム茨城 栃木理事長)は、「生活困窮者の増加や格差拡大に拍車がかかっている昨今、組合員の有無によらず、より広い枠組みで支援する必要性が出てきたのです」と説明します。21年度は申請のあった20団体すべてに、総額983万円の助成を決定。22年度は29団体から申請があり、現在、審査中です。

地域で活動する市民団体やNPOを、資金面からバックアップ。

21年度の助成団体のひとつが、パルシステム群馬が推薦した「特定非営利活動法人三松会(さんしょうかい) フードバンク北関東」。企業や個人から、まだ食べられるのにさまざまな理由で捨てられてしまう食品を引き取り、必要とする子ども食堂や各種施設、個人宅へ無償で提供している団体です。おもな活動エリアは北関東ですが、遠方からの問い合わせも増えているのを受け、宅配便を利用した食料支援のしくみを構築。助成金をその運用費にあて、今年4月から毎月約10世帯に食料を届けています。

「今年度も、申請の半分以上が生活困窮者支援に関するものでした。状況が逼迫していることを改めて感じます。地域で支援にあたるなかには、資金面の課題を抱えている団体が少なくありません。そうしたところに支援の手が届くよう、今後も基金の認知度を高める努力を続けていきます」(青木さん)

フードバンク北関東では、申し込み世帯の家族構成、アレルギーや食べられない食品の有無を事前に確認。受取日時の希望や発送済の通知メールを送信するなど、きめ細かい配慮がされています。

独自の取り組みができるのも、“ 元受共済事者”だからこそ。

パルシステム共済連は、購買事業と共済事業の兼業を規制する生協法の改正をきっかけに、2009年、グループの共済事業を引き継いでスタート。ほかの多くの生協のような共済の推進のみを行う受託共済事業者ではなく、組合員に対する共済契約上の保障責任を直接担う「元受共済事業者」を継続する道を選択しました(※)。重い責任や共済金の支払いリスクを伴う一方、掛金から出る剰余金の使い道を、独自に決めることができるのも元受共済事業者だからこそ。組合員や組合員がくらす地域に活かしたい、との模索がその選択を後押ししたのです。「職員にも組合員にも積極的に意義を伝えていきたい」と抱負を語る青木さん。

自分が利用することが、困っている誰かを支える力になる――。「ささえあい基金」が示すこうした共済のあり方には、「誰ひとり取り残さない社会をつくる」というグループの理念が貫かれています。

※日本コープ共済連と責任割合を取り決めて事業を行う共同引受による元受共済事業者。

2021年度助成団体をもうひとつ紹介!特定非営利活動法人うりんこくらぶ(埼玉)

障がいをもつ子ともたない子の垣根のない親子農業体験に取り組む団体。毎年じゃがいもを育て、PB商品『ポテトチップス』でおなじみの製造メーカー・菊水堂が農福連携振興事業の一環で、無償でポテトチップスに加工しています。今年は助成金で中古のトラクターなど農機具を購入、作業に取り入れたそう。できたポテトチップスは、パルシステム埼玉の組合員活動施設「ぱる★てらす」でも販売協力しました。

特定非営利活動法人三松会 フードバンク北関東

北関東スタッフのみなさん

食料品支援を求める声は全国から寄せられています。着払いでならと提案しても、それが支払えない状況で、残念な気持ちで電話をおくことが何度もありました。助成金でこうした方たちに手を差し伸べることができ、9月末までに計62箱をお届けし、たくさんの感謝のお便りをいただいています。これからも、パルシステムさんともフードドライブ活動などで連携しながら、サステナブルな社会をめざして活動を続けていきたいと思っています。
特定非営利活動法人三松会 フードバンク北関東スタッフ一同

*ページの内容は2022年11月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。