お米でつながるみらいアクション 立場も地域も“超えて”食料支援で力を結集(社会貢献活動レポート|2022年9月)

2022年9月30日

困窮者、産地、組合員が互いに元気になるために

「私たち、『超えてく』を実践していたんですね」と笑顔で話すのは、パルシステム神奈川のパルシステム事業部・吉井佑さん。組合員活動推進部の石田友紀さんも、隣で大きくうなずきます。

ふたりがいま推進メンバーとして活動しているのは、今年1月より独自に始まった食料支援プロジェクト「お米でつながるみらいアクション」。指定産地のお米を組合員が注文すると、その約1%にあたる量のお米を、同生協が県内で困窮者支援にあたる公益社団法人フードバンクかながわ(※1)に寄付する取り組みです。

※1:公益社団法人フードバンクかながわは、パルシステム神奈川を含む神奈川県内の12の協同組合・労働福祉団体・市民福祉団体が連携し、2018年3月に設立。県内で、生活に困窮し食料を必要とする家庭への支援、食品ロス削減による資源・環境保全を目的とした活動を行っている。

お米の寄付活動を組合員参加型に。

これまでも社会貢献支援積立金から年に一度、お米の寄付を続けてきた同生協。長引くコロナ禍で生活困窮を余儀なくされる人が急増したことを受け、より継続的、安定的にお米を提供するために、組合員参加型のしくみへと刷新したのです。スタート以来、提供したお米は3.8トン(※2)。いずれも県内の子ども食堂や支援団体に配布されています。

※2:2022年1月~6月にパルシステム神奈川の組合員が注文した対象のお米の量は、累計で388トン。1%に相当する3.8トンのうち、5月17日に1.5トン、8月5日に2.3トンをフードバンクかながわに提供。お米は3カ月ごとに提供される。

幅広い部署からメンバーを募り、組織全体の問題意識に

組合員のお米の購買を困窮者支援へつなげたことがひとつめの「超えてく」なら、ふたつめの「超えてく」は、推進メンバーの構成です。産直交流課、人事部など7部署から9名が集結。同生協でも、ここまで幅広く部署を横断するプロジェクトは、大きな組織イベントを除いてあまり例がなかったといいます。

そのねらいは「組織全体で問題意識を共有し、活動を息長く続けていくこと」(事務局を務める産直交流課の池田欣司さん)。吉井さんは「活動に携わるようになって、これまでピンと来ていなかった〝教育格差〟などの言葉が、より身近に感じられるようになった」と話します。

1カ月足らずの準備期間に、名称を決める、チラシを作り込むといった共同作業と同時に、メンバーそれぞれが窓口となり多方面に発信。「短期間で広く周知できたのも、経験やネットワークを持ち寄ったから」と石田さんは振り返ります。

 

ロゴマークとチラシも同生協の手作り。メンバーで考えたラフを、絵の上手な職員が仕上げた。

深刻な「米余り」に直面する産地も元気に

「お米でつながるみらいアクション」で組合員が注文できるお米は、JA新みやぎとJAいわて花巻のものに限定されています。「お互いの地域の発展をめざす」をスローガンに、同生協と20年以上にわたり交流を重ねてきた協議会産地です。じつはこの取り組みが誕生したもうひとつの背景には、コロナ禍で両産地が直面した「米余り」という課題もありました。

「飲食店向けの需要が激減し、生産者のみなさんはとても困っています。組合員への呼びかけがお米を見直すきっかけになれば、生産現場を支える一助にもなるかと思いました」(石田さん)。同生協の心意気を励みに感じ、また取り組みの主旨に賛同した産地から、直接お米を寄付したいという新たな申し出もあったとか。

さまざまな人が立場や地域を超えて力を寄せ合い、お互いに元気になれる。メンバー一人ひとりが、この活動の意義や可能性を改めてかみしめています。

お米を受け取るフードバンクかながわ。届けられたお米は小分けして配布。(写真:藤田事務局長)

連携しているフードバンクより
お米は主食であり、あると安心感につながるものです。定期的に寄付いただけること、その後ろに組合員の善意があることをうれしく思います。「食べることを心配しなくてよい日が来るなんて」「子どもにお弁当を持たせられる」など、このお米がおなかだけでなく心も支えているという声を耳にします。食支援が必要な人は増え続ける一方です。これからも人と人とのつながり=協同の力で支え続けていただけるようにお願いします。                               フードバンクかながわ 薩本 史郎さん

*ページの内容は2022年9月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。