フードバンクやNPOを通じ、余剰の「予備分パン」で食料支援(社会貢献活動レポート|2022年3月)

2022年4月4日

安全・安心なパンが子どもたちを笑顔に。

素材にこだわり、添加物に頼らないおいしさが組合員から強く支持されている(株)パルブレッドのパン。八王子工場で製造されたパンが、食料支援の場で活躍していることをご存知ですか。

提供されているのは、パンを製造するたびに発生する「予備分パン」。「組合員の注文に滞りなくこたえるためにいつも予備の分も含めて焼くので、どうしても余ってしまうのです」と説明するのは、同社管理部で支援の窓口を担当する松下悠さんです。

以前から予備分パンは産直豚の飼料などに活用されてきましたが(※1)、それでも、月曜日から木曜日は1日200~300袋、生地を使いきらねばならない休み前の金曜日は400袋ほどが余剰になっていました。これらがフードバンク八王子(※2)などを通じ、地元の子ども食堂や高校に配布食材として届けられているのです。

※1:パルブレッドのパンの予備分を廃棄せず資源として生まれ変わらせるため、パルシステム神奈川の独自の産直豚『神奈川のすくすくパン豚』の飼料として提供。資源循環型のしくみを構築しています。

※2:八王子を拠点に、食の提供を通じて様々な支援機関と連携しながら、困窮する人の社会性を再構築することをめざしています。

「食べるのに困っている人が、こんなにたくさんいるなんて…」

支援窓口を担当するまで、貧困や困窮者の問題をあまり身近に考えたことがなかったという松下さん。パンを受け取りに来るフードバンクやNPOのスタッフから話を聞き、食べるのに困っている人が決して少なくない現実を知ったと言います。

「お弁当を持って来られず、売店で買うこともできない高校生がめずらしくないと聞き、本当に驚きました。次世代を担う子どもたちがそうした状況に置かれていることに心が痛みます」

支援先の窓口となるフードバンク八王子の担当者によると、自分のためだけでなく夕食用に食パンを家に持ち帰る生徒もいるそう。「素直に感情を表現しにくい年頃ではありますが、感謝の気持ちは態度から自然に伝わってきます」と担当者。

ほかの支援の場でも、コロナ禍で調理品の提供がむずかしくなっていることもあり、そのまま食べたり配ったりできるパンはとても喜ばれているそうです。

無料食堂での食料配布の様子/NPO法人dattochi home提供

パルシステムグループの一員として、地域の課題解決に取り組みたい。

一方で、経営的な視点から見れば「余剰はできるだけ減らす」が鉄則。あくまでも「発生してしまう」余剰を活用しての支援であるため、数量もパンの種類もあらかじめ約束できないというジレンマもあります。さらに、保存のための添加物を使っていない同社のパンは賞味期限が短く、配布するタイミングが限られる一面も。

「あてにしてもらいたいけれど、『あてにしてください』と自信をもって言いきれないのがもどかしいですね」と松下さん。それでも、手紙や画像で子どもたちの笑顔を見ると、取り組みの意義を改めて感じ、力づけられると言います。

「この先も、パンの提供を継続して行っていく予定です。利益に直結することではありませんが、パルシステムグループの一員として、地域社会の課題解決に貢献することを優先していきます」と力強い声が返ってきました。

パンを受け取りに来るフードバンクやNPOのスタッフ。現在は八王子以外にも立川、池袋で活動する団体に提供しています。うまく行き渡るように、松下さんが毎月調整しています。

連携しているフードバンクより

コロナ禍で無料食堂が開催できなくなったとき、地域で困っている人のためにと始めたのが食料配布です。パルブレッドさんのパンは、生協ということで安心感があり、何よ「おいしい」という声をよく耳にします。中身がしっかり詰まっているパンなので重いのですが、子どもたちの笑顔を思い浮かべながら運んでいます。パルブレッドのスタッフのみなさんがいつも気持ちよく迎えてくださり、運搬にも協力してくださるのもとても助かっています。

『フードバンク八王子』 川久保 美紀子さん(写真左)

*ページの内容は2022年3月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。