「働きたい」意欲に寄り添う。誰もが働きやすく、活躍できる職場づくりを実践(社会貢献活動レポート|2022年1月)

2022年1月28日

採用や教育のシステムを見直し、障がい者雇用の体制を強化

2030年ビジョンのひとつの柱に「社会的包摂就労の支援」を掲げる(株)パルライン。からだや心に障がいがあることを理由に「働きたくても働くことができない」人の雇用を積極的に進め、〝助け合い〟の精神が根づく職場づくりに取り組んでいます。

同社で働く障がい者は60名(※1)。法定雇用率(※2)を超える人数ですが、さらに2020年度からは、採用や教育など管理体制の見直しにも着手しました。主軸となってこれを担ったのが、厚労省の認定資格「ジョブコーチ」(※3)を取得した管理部人事教育課の林田匡代さん。林田さんはセンター単位だった採用を本社に一本化し、就業後も本社と現場、外部支援団体とが密に連携してフォローできる体制の構築に尽力しました。

「障がい者をめぐる現場からの相談が増えたことも、見直しに着手するきっかけでした」

※1:2021年12月1日現在。

※2:法定雇用率:常用労働者の数に対する障がい者雇用の割合。2021年3月1日から、民間企業は2.3%に定められている。

※3:ジョブコーチ:障がい者の職場適応に課題がある場合、その職場に出向き、障がいの特性を踏まえた専門的な支援を行う。厚生労働大臣が認めるNPOなどの団体で行われる職場適応援助者養成研修を修了することで資格が得られる。パルラインでは、センターのジョブコーチが日々の状態をフォローして小さな変化をキャッチし、本社人事とともに問題の早期解決をはかる体制が整いつつある。

「知る」「学ぶ」機会を設け、障がいへの理解を深める

「障がい者が働きやすい環境づくり」という課題に向き合った林田さんが痛感したのは、受け入れ側である職場メンバーの理解が不可欠であること。「現場にはまだ、『それどころじゃない』『生産性が下がるのでは』など、消極的な見方が少なからずあります」と林田さん。

理解を深めるためには「知らない」「わからない」ことからくる不安を解消していくことが大切と判断し、外部の専門家を招いて管理者向けの研修を開いたり、障がい者の特性や対応のポイントなどをきめ細かく網羅した「障がい者雇用マニュアル」を作成したりと、学びや気づきの機会を用意してきました。

「たとえば、送迎バスの時間変更など、いつもと違うことへの対応がむずかしい人もいますが、反面、その繊細さが仕事に生かされたりもする。そうした特性を一人ひとりが理解することが、環境を変える第一歩だと思います」

障がい者スタッフを温かく見守る「ジョブサポーター」を独自に設置

取材に訪れたのは、障がい者雇用のモデルセンターになっている熊谷セットセンター。この日も、昨年入社した2名の若者が保冷バッグの組立作業に黙々と励んでいました。

その姿を頼もしそうに見ながら、「ここに来るまで、理解されない悔しさや、やりたいことができない歯がゆさで自信をなくしていた人たちが少なくありません。『働けてうれしい』という言葉を聞くと、心底よかったなと思いますね」と林田さんの頬がゆるみます。

ジョブサポーター(左)が、障がいのあるスタッフ(右)を見守りながらCパック組み立ての作業を行っている様子

現在は、全センターに1名ずつジョブコーチを配置。さらに、独自の認定制度「ジョブサポーター」(※4)を設け、職場内に障がい者を温かく見守る支援者をひとりでも多く増やすことをめざしています。

「ともに働く仲間として障がい者など、サポートが必要な人たちに自然に手を差し伸べられる風土ができれば、育児や介護などさまざまな事情を抱えている人にも働きやすい職場になると信じています」

ジョブサポーターの腕章。困ったときに誰に声をかけたらいいか、わかりやすくするための工夫です。

※4:ジョブサポーター:「ジョブサポーター講習」を受講した社員が認定される。腕章を着用し、障がい者へのサポートを積極的に行う。

ジョブコーチ取得社員より

ジョブコーチ研修に参加する前は、障がい者に接した経験も知識もほとんどなく、正直に言えば偏見もありました。研修で学んでわかったのは、障がいのある人を職場に受け入れるというのは決して特別なことではないということ。各人に応じた配慮は必要ですが、それも障がいの有無に限りません。働く仲間がみないきいきと働ける職場をめざして、今はできるだけ笑顔で接することと、毎日顔を見て声をかけることを心がけています。

パルシステム埼玉 熊谷センター (株)パルライン 酒井 威治さん
2021年6月にジョブコーチ取得

*ページの内容は2022年1月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。