「ごはん」をきっかけに、相談できる場を。路上の視点から貧困問題の解決をめざす。(社会貢献活動レポート|2021年11月)

2021年11月30日

気軽に立ち寄れる場にと、都庁の下で活動

ホームレス状態や生活困窮状態にある人たちを支えるため、新宿都庁近くの路上で、無料の食事提供とくらしや健康の相談会を行う「新宿ごはんプラス」。「ごはんをきっかけに誰でも相談できる場を」「必要な支援につながれる機会を」と、パルシステムを含む東京都内の各団体・個人が連携して2014年7月に始まった取り組みです。

この活動に当初から携わっているのが、(株)ロジカル常務取締役の久保裕介さん。机や椅子など必要な備品や食料品の運搬、現地での配食などを中心的に担っています。単に人助けをするだけでなく、パルシステム関連会社として、生協の理念を実現するための一助となり、さらには久保さんの影響でほかの社員が参加し、パルシステムの活動理解を深めることにもつながっています。

生活相談や健康チェックもできます。食料品の配付はあくまできっかけ。「いろいろな支援の手につながってほしいんです」と久保さん。

コロナ禍で、ごはんを受け取る人が急増

スタート時は毎月第1・3土曜日開催で、食料品を受け取りに来る人は一度の開催につき100名以下であることがほとんどでしたが、新型コロナウイルス感染拡大にともない、人数が急増。毎週行うようになり、21年9月の最終週は過去最高の394名を数えたそうです。

その内訳も、以前は年配の男性が大半を占めていたのが、20歳前後の若者や女性の姿も。幼い子どもを連れ夫婦で受け取りに来る人もいるといいます。

「アルバイトや非正規の仕事を失い、収入が激減したという人が多いですね。なかには就職で上京したのに会社がつぶれ社員寮を追い出されてしまったという人もいます。“自己責任”なんて言葉も聞こえますが、毎週の集まる人数見ていると、今の社会では、誰がいつ当事者になってもおかしくないと考えるようになりました」

10月16日の活動では380食用意し、受け取りに来たのは356名。緊急事態宣言の解除後、集まる人数は高止まりしている。

この日、配付された食料品。

支援を受ける側からボランティアになる人も。

「まさか自分が、と現状を受け入れられなかったり支援を受けることに抵抗があったりと、一歩を踏み出せない人もいます」と久保さん。少しでも敷居を低く感じてもらえるように、遠目にようすをうかがうような人を見かけたらさりげなく声をかけるようにしていると言います。

胸が痛くなるような厳しい現実を目の当たりにしながらも、久保さんが希望を感じるのは、たとえば今ボランティアに参加しているなかにも、かつては当事者として支援を受ける側だった人が何人かいると耳にしたこと。

「なんとか安定した生活ができるようになったから恩返しがしたいと、支える側にまわったと聞いています。新宿ごはんプラスが確かなつながりの場になっている。7年間続けてこられたのも、私自身がここでの交流に力をもらっているからなんです」

血圧計、パルスオキシメーターも設置。久保さんも健康チェックに立ち会いました。

いっしょに活動している連合会職員より

新宿ごはんプラスでの久保さんは、常務取締役というより現場のリーダーというイメージ。とくに食料の分量調整の際、的確な指示でボランティアのみんなの中心にいますし、同時に細かい作業も率先して行っています。そして誰にでもとてもやさしいです! この活動を通じてたくさんの人にいろいろな価値観や社会の状況を知って欲しいです。

パルシステム連合会 事業本部 営業部 営業推進課 五十嵐 果林さん

*ページの内容は2021年11月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。