教育現場と連携 パルシステム群馬のSDGs体験型授業 (社会貢献活動レポート|2021年1月)

2021年2月4日

持続可能な社会づくりの“種”を地域にまく

文部科学省の新学習指導要領に「持続可能な社会の創り手の育成」という理念が掲げられ、教育現場でも「SDGs(持続可能な開発目標)」に関するさまざまな模索が行われています。

そうしたなか、パルシステムの会員生協では、地域の学校と連携しながら、SDGsへの理解を広く促すための活動を開始。そのひとつが、パルシステム群馬が伊勢崎市立四ツ葉学園中等教育学校(以下、四ツ葉学園)()で手掛けている出前授業です。

「パルシステム連合会が第1回『ジャパンSDGsアワード』でSDGs推進副本部長賞を受賞したことが在校生の父兄である組合員から伝わり、学校側から依頼がきたのがきっかけです」と、同生協政策推進本部・光山徹さんは経緯を説明。

「前年は1年生にSDGsの基礎講義と野菜の余りかすを活用した『のこり染』の体験学習を行い、2020年は一歩先に進んだ活動として、全学年を対象に『フードドライブ』の実施を提案しました」

2009年に、全国初となる市立中等教育学校として開校。「未来に、そして世界にはばたく 高い知性と豊かな道徳性をもった教養人の育成」を理念に掲げ、先進的で質の高い教育を展開。2018年度には「キャリア教育優良校」として文部科学大臣表彰を受けました。

生徒が主体となり、3日間の「フードドライブ」を実施

事前の講義で、フードドライブは「もったいない」を「ありがとう」に変える取り組みであることを伝えたという光山さん。

「1年生のときに受けた講義を覚えていて、『ぜひやりたい』と手をあげてくれた2年生がいたんです。継続することの意義を感じました」と話します。

実施にあたって同生協の職員と2年生有志、いくつかの部活のメンバーで実行委員会を結成しましたが、「私たちは補助に徹しましたよ」と光山さん。

「学校内外に食品の提供を呼びかけるポスターやチラシなどの事前準備から、回収当日の食品の受け取り、賞味期限などの検品作業に至るまで、委員だけでなく多くの生徒が主体的に参加してくれて頼もしかったです」と振り返ります。

同じ日程で同生協内でもフードドライブを実施。集まった食品は四ツ葉学園の分と合わせて761点(219.35㎏)にも及びました。

「地域との連携という意味づけがより強まったと思います」(

今回のフードドライブで集まった食品は、すべてフードバンク北関東、フードバンクまえばしに寄贈しています。寄贈式では、生徒・フードバンク事業者・生協で交流を深めました。

フードドライブ当日、実行委員会の生徒たちが食品の回収を行いました。

予想以上に集まった食品。当日参加した生徒からは、「今後も活動の輪を広げていけたらいいなと思います」といった声もありました。

生協が入口となり、地域にSDGsを広めていきたい

「四ツ葉学園から貧困問題を抱えている人々への命のたすきがつながったと感じた」「こんなに大量の使わない食材があることに驚いた」など後日寄せられた感想には、参加者それぞれが肌で感じた達成感や新鮮な気づきが。

「SDGsはとても広い概念ですが、知識を学んだうえでフードドライブを体験したことで、生徒たちの理解をより深めることができたのではないでしょうか。先生からも、社会の課題に生で触れる貴重な機会だったと言っていただきました。私たちは生協として、まず地域のなかに『SDGsとは何か』を定着させる入口の役割を果たしたい」

と抱負を語る光山さん。

「今回のフードドライブは地元のテレビニュースでも取り上げられ、他校からも問い合わせがきています。コロナ禍で制約はありますが、生協を地域に開かれた存在としていくためにも、学校との連携には大きな可能性を感じています」

連携した中学校より

コロナ禍で行事中止が相次ぎ、元気を失いかけた学校が久しぶりに活気づきました。SDGs講座と合同フードドライブはまるで文化祭のような盛り上がりに。「何か社会に役立つことができないか」と考えてはいるものの、実行に移せないでいた私たちの背中を押すよい機会となりました。集められた食材を前にした達成感と、寄贈式での生徒たちの笑顔が忘れられません。何度も足を運んでくださったパルシステム群馬さんに感謝しています。

伊勢崎市立四ツ葉学園中等教育学校 進路指導部副部長 教諭 小林大悟さん

*ページの内容は2021年1月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。