「第32回農法研究会」を開催 ─菌のチカラが生み出す食と農が、持続可能な社会を実現する─
2025年1月28日
パルシステム生産者・消費者協議会(以下、生消協)は、1月15日(水)「第32回農法研究会」をニッショーホール(東京都港区)で開催しました。
農法研究会は生産者が事例を報告し合い、情報を共有することで、パルシステムの産直のレベルアップを目的とするものです。生消協関係者60団体126名、協力会関係者13団体16名、パルシステムグループ関係者122名、合計264名の参加がありました。
開会に際し、生消協の小川保代表幹事(JAつくば市谷田部産直部会・茨城)は、「昨年は、我々農業者や生活者にとって決して楽ではない年でした。能登半島の大地震が起き、気候も不安定で野菜や米が高騰しました。本日は、元気に明るくなるような企画を用意しました。我々の仕事は種をまくところから始まります。この会で前向きになれることを願っています」とあいさつしました。
菌のチカラが生み出す食と農が、持続可能な社会を実現する
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農業法人 株式会社菌ちゃんふぁーむ 代表取締役 吉田俊道さん
講演は「菌ちゃん先生」こと、菌ちゃんふぁーむの吉田俊道さんが登壇し、身近な竹林資源や生ごみなどを活用した「菌ちゃん農法」実践例から、土壌内での菌の作用や腐敗と発酵について、野菜のファイトケミカル(抗酸化作用)は紫外線や害虫・外敵から身を守ることについて説明しました。「有機野菜を作るのではなく、おいしいものを作るにはどうしたらよいのか。そう考えた先に有機農業があるべき」「菌ちゃん農法は消費者が行うことで有機農業の面白さや難しさを知り、生産者が行うことで虫が腐敗を好み、野菜は発酵を好む理屈を思い出していただきたい」と話しました。
移動式電気柵による獣害対策
第2部は、2つの会員産地からの報告です。
「有限会社ジョイファーム小田原」(神奈川)の長谷川壮也さんからは、すもも・みかん農園の獣害対策に、移動式電気柵の導入した事例です。電気柵メーカーの「株式会社サージミヤワキ」中谷洋太さんからも交え、除草剤を使わない農園ならではの雑草対策の悩みや草刈りとの兼ね合いが説明され、従来の手間がかかるイメージを覆し、今季に獣害が発生しなかったことが報告されました。
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実際の電気柵の移動実演のようす
農作業の人手不足に対する、産地へ行こう。ツアー援農企画の受け入れ
「有限会社アップルファームさみず」(長野)の山下一樹さんからは、パルシステムの産地交流ツアー「産地へ行こう。」による援農企画の受入れが報告されました。産地は、農繁期と農閑期の差が大きく、流動的な労働力確保、なかでも規模拡大をしている若手生産者の農地は農繁期の人手不足が喫緊の課題です。2024年5月と11月に行われた2回のツアーでは、事前準備のおかげで、作業が予定よりも進み大きな力になったこと、体験を通じてりんごの価格の背景が理解されたことなどが報告されました。
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アップルファームさみず 山下一樹さんが登壇
最後に、渡部さと子副代表幹事(パルシステム神奈川)は「生産者と消費者で話し合える場はとても貴重であり、これこそが生消協の意義だと感じます。引き続き、唯一無二のものにしていきたい」と総括しました。