政府の原子力政策へ意見4件を提出 持続可能な再生可能エネルギーへ転換を

2023年1月24日

パルシステム連合会はこのたび、政府の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会がまとめた「原子力政策の基本原則と政策の方向性・アクションプラン」(案)に対し、パブリックコメント4件を提出しました。すでに破綻している核燃料サイクルを前提とした原子力から、持続可能性の高い再生可能エネルギーを中心とする政策の転換を求めます。

「エネルギー基本計画」と大きな矛盾

政府は2022年、「GX実行会議」で既存の原子力発電所の運転期間延長や次世代革新炉の新設などを提起し、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会にて「原子力政策の基本原則と政策の方向性・アクションプラン」(案)をまとめました。同プランは「再稼働への総力結集」や「既設炉の最大限活用」「次世代革新炉の開発建設」などが盛り込まれています。

これを受けパルシステムでは、関連する4つの文書に対しそれぞれパブリックコメントを提出しました。意見は、次の考えのもと提出しました。

1)発電用原子炉の稼働を60年まで延長する根拠に科学的知見が乏しく十分な検証がなされていません。
2)「原子力政策の基本原則と政策の方向性・アクションプラン」(案)の趣旨は、再生可能エネルギーを中心とする「エネルギー基本計画」と大きく矛盾しています。「核燃料サイクル」はすでに破綻しており、放射性廃棄物の処理方法が確立されないままさらに推進することには大きな問題があります。
3)原子力発電は安定的で安価なエネルギー供給源ではなく、原子力発電の推進により電気料金が安価になることにはつながりません。
4)脱炭素社会に向けて、石油、石炭、ウランなど海外からの輸入資源を必要としない、再生可能エネルギーにシフトすることが必要です。

提出した意見と概要は次の通りです。(意見全文はタイトルから参照できます〈PDF〉)

「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)に対する意見」
1.国民的論議もなく、科学的・技術的な担保がない安全規制は受け入れられません。
2.運転期間を原則40年とする現行規定を堅持すべきです。

「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)に対する意見」
1.再生可能エネルギーの拡大を図る「エネルギー基本計画」との方向性に矛盾が生じます。
2.経済産業省が運転期間延長に関する認可を行うことは「利用と規制の分離」を蔑ろにしています。
3.「次世代革新炉」の研究開発に対する公的資金を投じるべきではありません。
4.「核燃料サイクル」は破綻しています。

「『GX実現に向けた基本方針』に対する意見」
1.原子力発電は、安定的で安価なエネルギーとはいえません。
2.水素・アンモニアの導入促進は気候危機への対応ではありません。
3.カーボンリサイクル/CCSは、脱炭素課題への根本的解決になりません。

「『原子力利用に関する基本的考え方』改定に対する意見」
1.原子力発電は安全保障上の解決になりません。
2.ALPS処理水海洋放出について、国民的合意ができていません。