支援の手を「あつめて」「むすぶ」 「食べる」活動で人と人をつなぐ
2020年12月22日
12月17日(木)、東京・新宿区の東新宿本部にてパルシステム連合会は、地域で「食」を通じた支援を行っている団体を招き、現状や課題について学びを深めました。
パルシステムグループでは「心豊かな共生の社会づくり」を理念に掲げ、地域で活動するさまざまな団体と連携し、社会課題の解決に取り組んでいます。その一環として「セカンドリーグ」というネットワークコミュニティ(中間支援組織)を運営しており、地域団体との協働を進め、新たな支援の仕組みを追求しています。
今回は、地域活動・セカンドリーグ連絡会の拡大学習会として、コロナ禍における「こども食堂」「フードパントリー」の事例共有をオンラインで開催し、約40名が参加しました。
小規模で運営に苦慮 こども支援団体の実態
こども食堂サポートセンター運営事務局を務める平野覚治さん(一般社団法人全国食支援活動協力会・専務理事)からは、コロナ禍におけるこども食堂の現状について報告がありました。実施した調査からは「高齢者支援団体と比べて、こども支援団体や多世代支援団体の規模は小さく、活動継続のための支援が必要」という実態が浮かび上がりました。また「地域からの理解を得にくい」「資金調達が困難」という課題も抱えており、コロナ禍での負担増がうかがえます。今後は「支援物資の需要と供給のギャップを埋めるため、マッチング組織の充実や冷凍冷蔵設備の整備が求められます」としました。
困ったに、誰かが応えられる地域をつくりたい
NPO法人せたがや子育てネット代表理事の松田妙子さんは、こどもと子育てを支えるプラットフォームの活動に長年携わってきました。コロナ禍では、急遽「せたがやフードパントリー」をはじめ、区民からのファンドレイジングで資金を集め、食に困っている人を対象とした配食のほか、食材配布も行っています。「当初は対処療法的な食の支援、と考えていましたが、子育てのはじめの一歩を支えている、地域の子育てひろば(支援活動の現場)を活用したことで、ふだんのつながりこそが孤立を防ぎ、予防になると実感しました。誰もが、支援される側になる可能性を持ちます。SOSを出すと、誰かが応えてくれる地域づくりをこれからもめざします」。
提供したい側・もらいたい側のマッチングがポイント
パルシステム神奈川による中間支援団体、NPO法人セカンドリーグ神奈川理事長の島村聡子さんは、空き家・食品ロスの活用、シングルマザー支援など、地域の課題解決に取り組んでいます。食品支援を行う「ビーバーリンク」活動では、パルシステムの配送センターなどに拠点を設置し、提供情報からマッチングまでのコーディネートを行っています。「フードバンク活動・未利用食品の活用事業には、提供したい側・もらいたい側のマッチングがポイント」との経験から、農水省の補助事業として全国調査を実施し「システム化」を進めています。「地域のさまざな企業や団体、個人とつながり、だれもが安心してくらせるためのまちづくり、資源循環をすすめていきます」。
司会進行を務めたセカンドリーグ・コーディネーターの山根眞知子さんは「本日の事例からは、いずれも地域の困りごとを解決する活動の継続には、人やモノといった資源を集め、つなぎ、離さないネットワークづくりが大事、という学びがありました。今後の活動や支援の参考にしていただけたら」と結びました。