炊き出し、サロン活動に参加 自分にできることを探し、被災者に寄り添う(社会貢献活動レポート|2020年3月)

2020年6月10日

被災者の生の声に耳を傾ける

「とにかく何もなくなってしまった、お皿1枚から揃えなければならないという話を聞いて、胸が痛くなりました」

そう話すのは、昨年(2019年)10月の台風19号で約5000世帯が浸水した福島県いわき市に住む阿部恵子さんです。

パルシステム福島の理事であり定時職員でもある阿部さんは、とりわけ被害が深刻だった平窪地区で、同生協を中心に、一般社団法人ピースボート災害支援センター(PBV)やNPO法人ザ・ピープルなどと連携して行った支援活動に参加。全国から送られてくる支援物資の仕分けや炊き出し、サロン活動に携わりながら、被災した人たちとできるだけ対話をし、現状の課題や悩みをヒアリングすることに努めてきました。

「冬に向かう時期だったので、みなさん、寒さへの不安が大きかったですね。暖房器具や防寒具がほしいという要望が多かったです」(阿部さん)

サロンでは、食品や衣類などの支援物資の提供とともに、被災した人たちとの対話から、心のケアをはかり生活再建につながる課題を聞き取る場にもなっています。

生協仲間やママ友が暮らす地域が被災

15年ほど前まで、平窪地区に自宅があった阿部さん。旧いわき市民生協時代からの仲間やかつてのママ友なども多く、台風で大きな被害が出たと知って、いても立ってもいられない気持ちでした。

氾濫した夏井川の傍に住む友人から届いたのは、「私は大丈夫。家には何にもないけどね」とのメール。

「その光景を想像したら怖くて、とても他人事とは思えませんでした」と振り返ります。

「東日本大震災のときは、娘がまだ3歳だったので、被災した仲間のために何もできなかったんです。だから動けるときになったら動こうと心に決めていました。ただ、今回も、泥や家屋の撤去作業などには腰がひけてしまって……」

「われながら情けない」と視線を落とす阿部さんですが、同生協組合員活動推進室室長の沼里誠紀さんは、「仕事を超えて休みの日にも主体的に現場に足を運んでいる。なかなかできることではありません」と、高く評価します。

現場に行けば「やれること」がある

今年1月末に避難所はすべて閉鎖されましたが、日常が戻るまでにはまだまだ時間がかかりそうな被災者のくらし。

阿部さんが気になるのは、同じ市内でも直接の被害がなかった地域では、台風があったことも忘れ去られているように思えること。

「先日も、『支援物資を配っています』と言ったら、『え、まだやっているの!』と驚かれました。すぐ近くで起こっていることなのに、知られていないことがもどかしいですね」

今回、組織的な「支援活動」を初めて経験した阿部さんは、これからも機会があれば関わっていきたいと考えています。

「全国から集まった支援団体やボランティアのみなさんが、被災者に寄り添っている姿に心を動かされました。現場に行けば私にもできることがある。それがわかりましたから」

ドラッグストアの駐車場で行われた炊き出しでは、新米ごはんや豚汁などの温かい食事がふるまわれました。

炊き出し会場では職員や理事により、パルシステムの食材も提供されました。

 

一般社団法人ピースボート災害支援センター(PBV)

災害に見舞われた地域の回復ために、多様な支援者と共に、被災者のニーズに合わせた支援活動を展開。これまでにのべ9万人以上のボランティアと共に活動。

NPO法人ザ・ピープル

いわき市に拠点を置くパルシステムの「地域づくり基金」の助成団体。古着リサイクルやフードバンクなど、衣と食の循環による地域支援に取り組む。

*ページの内容は2020年3月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。