「地域づくり基金」の助成でニホンウナギの生態調査が実施されました ~持続可能な地域づくりを応援します~

2019年12月25日

パルシステム連合会では、組合員のみなさんの商品利用などにより生まれる剰余金を「地域づくり基金」として積み立て、大震災からの復興や持続可能な地域社会づくりへの貢献を目的として、各地で活躍するパルシステムと関連のある生産者やメーカー、地域活動団体の事業を資金面で助成しています。

2018年度「地域づくり基金」の助成団体の1つである認定NPO法人「アースウォッチ・ジャパン」は、多くの人手を必要とする生物多様性の野外調査に一般市民ボランティアを募る仕組みを創出し、国内外の各地で調査プログラムを実施しています。2018年度の「地域づくり基金」では、福岡県柳川市を流れる掘割と呼ばれる水路に生息していたニホンウナギを復活させるための生態調査に助成が行われました。

掘割の中に設置した石倉かごを引き上げ、中に入っているニホンウナギやその餌となる生物を調査

「ウナギのくらす掘割」を取り戻すための市民調査

柳川の掘割は、かつては多くのウナギが有明海から遡上して生息していましたが、海と掘割を隔てる水門が設置されて以降は、ウナギが見られなくなっていました。「地域づくり基金」の助成で2019年8月と11月に実施した調査では、パルシステムの「うなぎ資源回復」の取り組みにもご協力いただいている九州大学望岡准教授の指導の下、掘割の中に設置してあった2基の石倉かごを引き上げ、中にいた生物を確認しました。堀割にそそぐ上流の川を通じて掘割に入ってきたと思われるウナギ3匹が発見され、望岡准教授をはじめ参加者の驚きの声が上がりました。ハゼ類やテナガエビ類などのウナギの餌になる生きものも豊富に見つかり、海と掘割のつながりが復活すれば、さらに多くのウナギがくらせる掘割が戻ってくることが期待されました。

石倉かごからはウナギ3匹が発見されました

ウナギ以外の生きものも種名や個体数、体のサイズを記録します

柳川の掘割にウナギを復活させる取り組みには、NPO法人「SPERA森里海・時代を拓く」や福岡県立伝習館高校など、地元の様々な関係者が連携してかかわっています。調査に参加した一般市民ボランティアは、福岡県の特別採捕許可にもとづいて、伝習館高校が採捕・育成しているシラスウナギ(ウナギの稚魚)173個体に標識をつけ、掘割に放流する作業も実施しました。この標識のついたウナギを追跡調査していくことで、柳川の掘割でくらすウナギの生態についても研究が進んでいくそうです。

標識をつけたシラスウナギを掘割に放流しました

パルシステムの「うなぎ資源回復」の取り組み

パルシステムは、鹿児島県の産直産地である大隅地区養まん漁業協同組合と共に、「大隅うなぎ資源回復協議会」を立ち上げ、ニホンウナギの資源回復に向けた取り組みを推進してきました。柳川での取り組みには、大隅うなぎ資源回復協議会の寄贈した石倉かごも活用されています。

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