「地域づくり基金」助成団体を訪問 持続可能な地域づくりを応援します

2019年9月17日

パルシステム連合会では、組合員のみなさんの商品利用などにより生まれる剰余金を「地域づくり基金」として積み立て、大震災からの復興や持続可能な地域社会づくり(コミュニティの再生)への貢献を目的として各地で活躍するパルシステムと関連のある生産者やメーカー、地域活動団体の事業を資金面で助成しています。

「地域づくり基金」運営委員会では、9月10日(火)に山梨県で活動する2つの助成団体を訪問しました。

五味醤油㈱で150年に渡り味噌を仕込み続けてきた木桶を修理する女性の見習い職人

日本の食文化と伝統技術を次世代につなぐ

明治元年に創業した山梨県の五味醤油㈱では、木桶での味噌仕込みを150年に渡り続けてきましたが、木桶の寿命と言われる長い年月を経て桶が壊れてしまいました。これまでの仕込みで木桶についた常在菌は、味噌をより豊かな味わいにしてくれます。使い続けてきた木桶を簡単に新しいものに買い換えてしまうのではなく、昔ながらの伝統工法で修理をするために「地域づくり基金」の助成金が活用されました。

戦後の日本では、醤油や味噌を木桶で仕込むとメンテナンスに手間がかかり非効率的であるとして、多くの企業がステンレス容器などによる大量生産の製造に移行してしまいました。木桶が使われなくなれば、それを作る職人の仕事も減っていき、現在では醸造用の大きな木桶を製造できる団体は国内にわずか2団体のみとなってしまいました。五味醤油㈱の社長五味仁さんは、木桶仕込みの味噌の味わいのみでなく木桶作りの文化も残して行きたいと考え、若手の人材が活躍している木桶職人集団「結い物で繋ぐ会」に修理を依頼しました。

塩分の多い味噌を仕込むために竹くぎで木材をつなぎ合わせる技術を説明

五味醤油㈱では、味噌の製造販売のみでなく、日本の発酵文化や手作り味噌を伝えるために山梨県内を拠点として活動をしており、パルシステムとも様々なイベントでコラボしています。今回も、100年に一度あるかないかの木桶修理の様子をパルシステム山梨の組合員の皆さんにも見てほしいと、見学交流会を開催しました。参加した皆さんは、棟梁の原田さんから日本の昔ながらの木材の活用術などのお話を伺い、金属を一切使わない伝統工法の木桶作りの技術やその強度などに感心していました。

木桶の竹箍(たが)を占める作業を体験

女性の見習い職人である伊藤さんは、「五味醤油さんのように、修理を依頼してくれる所があるから私も職人の修行をさせてもらえる」と語り、五味さんは、「うちの味噌(※)を買ってくれる組合員さんがいるから修理をお願いできる」と感謝を伝え合っていました。
※パルシステム山梨の独自商品「やまご味噌」

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11年のフードバンク活動を継続させてきた原動力

認定NPO法人フードバンク山梨が活動を立ち上げた2008年頃は、まだ日本では国内の貧困問題への関心も低く、フードバンク活動が認知されていませんでした。そのような中でも、生活困窮世帯への食料支援活動をはじめ、講演活動などにより国内にある貧困の状況や活動の必要性を広く伝えながら、各種アンケート調査などを実施してニーズに応じた支援の形を作り上げてきました。

11年の活動を経て、山梨県内をはじめとした企業や団体との協力関係を築き知名度を上げてきたことで、大型パレットで運搬するような1tを超える食品の寄贈も受けるようになりました。このため、大型パレットの荷受けに必要となるフォークリフト購入に「地域づくり基金」の助成金が活用されました。

助成金で購入した電動式フォークリフト。前面には基金のステッカーを貼付

支援のための食料などは、各家庭で食べられることなく眠っている賞味期限前の食料の提供を呼びかけるフードドライブや、倉庫で出庫期限切れになってしまった食品などの提供を企業に依頼するなどして集めることができます。

しかし、明日食べるものにも事欠く人達への支援を行うフードバンク活動では、事業による収入を見込むすべがありません。近所に分からないように支援物資を届けるための宅急便代をはじめ、フードバンク事業の運営費の捻出は活動団体にとって頭を悩ませてしまう問題の一つです。

しかし、フードバンク山梨では、多様な企業や団体から組織運営のための寄付を受け、事務所に常駐の10名も全員ボランティアではなく有給スタッフとして働いています。2017年から新たに始めた学習支援や昨年開始した乳幼児応援プロジェクトなども、NPO組織の柔軟性で即実行に移し、資金などはその必要性を行政や協力企業・団体などに呼び掛けて寄付を募ることで支援を形にしてきました。

理事長の米山けい子さんからは、「フードバンク活動では食料支援のお願いをするので、運営資金の寄付までお願いしにくいと感じながら活動している団体もあるようですが、志のある企業や団体は、必要性を伝えれば協力してくれます。必要とする人がいる活動なので、個人の支援者へのお願いをはじめ食品メーカーだけではなく、多様な企業や団体にきちんと協力を呼び掛けて支援を広げて行く事が大切です」と話がありました。

山梨県内の企業や各家庭から寄贈された多様な食料品

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