食卓から未来を変える「ほんもの実感!」 地域食とみそ作りを楽しく学ぶ

2019年2月6日

パルシステム連合会は1月26日(土)、東京・新宿区の本部事務所で、「発酵兄妹」として活動する五味醤油(株)の五味仁さん、洋子さんをお招きし、第4回「ほんもの実感!」くらしづくりアクション連続講座を開催しました。

パルシステムでは、1人ひとりの選択でよりよい社会や自然環境を次世代へ引き継ごうと、「ほんもの実感!」くらしづくりアクションを進めています。その一環として連続講座「味噌・発酵の楽しい食の話」を開催し、パルシステムグループの組合員や役職員など105名が参加しました。当日は4生協を会場に、パブリックビューイングも実施されました。

「発酵兄妹」として活動する五味醤油(株)の五味仁さん、洋子さん

さまざまな菌のリレーでできるみそ

山梨県甲府市にある五味醤油(株)は、明治元年創業。6代目社長である五味仁さんは、妹の洋子さんと「発酵兄妹」として地元の発酵文化や手作り(手前)みそを広める活動を行っています。キャッチーな歌詞とメロディに、楽しいダンスをつけた『手前みそのうた』は、YouTubeの再生数が14万回を超え、絵本化もされるなど、人気を集めています。

発酵について、仁さんから「人の役にたつと“発酵”、人の役にたたないと“腐敗”と、発酵の定義はあいまいで人間都合で決めているものです。味噌や醤油は、こうじかびから麹を作って、乳酸菌が働き、いろんな菌がリレーしてできます。いずれも複雑な発酵の過程を経ていて、日本独自の、複雑でうまみが強いものです」と説明がありました。「発酵は、おいしくなる、保存ができる、栄養価が高くなる、というところがすごい」と話す洋子さん。山梨県は米が十分に収穫できない地域であったため、米こうじと麦こうじをブレンドする、珍しい製法の甲州みそが生まれ、続いていることも紹介されました。

100年後にスマートフォンはないけれど、味噌はある

「おいしい記憶が、子どもたちの食の未来を変えるのではないか」「山梨県の食育活動の底上げになれば」と、みそ作りワークショップの開催などを続ける五味兄妹。自社施設のほか、地元の小学校にも出向いており、その過程で「より楽しく、五感を使って伝えたい」と『手前みそのうた』が生まれたといいます。「100年後にスマートフォンはないけれど、味噌はある」。同業者に言われた、この言葉を大事にしているという仁さん。「地元産の米や麦を活用することで、田んぼのある風景を残していければと考えています。100年先においしいと言われるみそを、これからも作っていきたいです」。

おとなも子どもも一緒に『手前みそのうた』で盛り上がりました

手づくりには物語や価値の発見がある

会場からは「甲州みその作り方を知りたい」「重石の重量」についてなど、みそ作りについてさまざまな質問が上がりました。「みそ作りで守ってほしいことは、分量を守る、大豆をちゃんと煮る、の2つです」と、洋子さんから参加者に「失敗しないための条件」が伝えられました。

パルシステム連合会常務執行役員・高橋宏通は「日本の地域食文化は薄れつつあり、みそ作りに必要な木桶を作る職人も少なくなってきています。五味さんたちの取り組みは、発酵文化・食を通して地域を豊かにしている好例です。手作りをすると、改めて、そこに物語があることや、価値の発見があります。舌が敏感で正直な子どもたちとも積極的に関わりながら、食べることのありがたさ、大事さを、これからも一緒に伝えていきましょう」と結びました。

今年度、五味醤油(株)からの申請を受けて、みそを仕込む木桶の修復費用の一部を、パルシステムの地域づくり基金から助成することが決まっています。

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パルシステムのエシカル消費

パルシステムの商品は、単なる「モノ」ではありません。「食」と「農」をつなぎ、いのちの力があふれる社会を、次の世代にきちんと手渡したい。その思いを込めてパルシステムは、「7つの約束」をもとに商品づくりを進めています。

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