地域社会を豊かに耕す 就労支援の場「NPO法人ぷかぷか」(社会貢献活動レポート|2019年7月)

2019年8月28日

団地の一画で営まれている就労支援施設「ぷかぷか」で研修

障がいのある人たちが生きやすい社会づくりをめざし、横浜市緑区でパン屋、カフェ、惣菜・弁当屋など、就労支援の場を運営している「NPO法人ぷかぷか(以下、ぷかぷか)」。昨年10月、パルシステム連合会 情報システム本部の高波信彦さんが、パルカレッジ(教育研修カリキュラム)を受講するにあたり、研修先にぷかぷかを選んだ理由のひとつは、その立地にあったと言います。

ぷかぷかがあるのは、JR横浜線の十日市場駅からバスで10分ほどの霧が丘グリーンタウンの一画。

「“団地”という大勢の人が暮らしている場で、どんなふうに活動をしているのか、地元の人たちとどう交流しているのかに興味があったのです」

この日、高波さんが作業をしたのは、「ぷかぷかさんのおひるごはん」。ぷかぷかで働くメンバーや地域の人たちに、安心・安全にこだわったやさしい味のお昼ごはんを提供するお店です。

研修で訪れた日、高波さんもいっしょに作った「ぷかぷかさんのおひるごはん」のランチメニュー。

自然体でフォローし合う空気感が心地よい

全体朝礼の後、7~8人ほどのメンバーといっしょに厨房に立ち、献立に沿って野菜を洗ったり刻んだり。じつは、障がいのある人と直接ふれあうのは今回が初めてだったという高波さん。

「コミュニケーションがとれるのかなとか、どういうふうに話しかければいいんだろうとか、勝手に心配していたのですが、メンバーさんたちは最初からフレンドリーでどんどん話しかけてくれるので、僕もすっとなじむことができました」

作業をしながら高波さんが感じたのは、ぷかぷか全体を包むおおらかさ。

「調理の途中で『切るの疲れちゃった』と、席を離れて外の掃除を始めてしまう人がいても、みんな全然あわてない。誰かが代わりに作業をしながら、その人が戻るのを待っているんです。規律や効率ではなく、お互いの『やりたい』という気持ちを大事に、自然にフォローし合っている。こういう空気感、いいなぁと思いました」

「ぷかぷかさんのおひるごはん」の作業風景。ぷかぷかでは、「利用者さん」ではなく「メンバーさん」「ぷかぷかさん」と呼んでいます。

「せっかく生協で仕事をしているのだから」

高波さんはこれまでも、豪雪被害にあった産直産地の復興のお手伝いや西日本豪雨災害支援に、自ら手を挙げて足を運んできました。産地研修にも積極的に参加しています。それは、職場と自宅だけの毎日では、ものの見方や世界が狭くなってしまうような気がするから。

「ニュースを聞いているだけでは見えないことも、現場に行けば自分ごとに引き寄せて考えられるような気がするんです」

今回は1日の研修だったので、あいにく地域の人との交流まではかないませんでしたが、ぷかぷかが掲げている理念のひとつ「障がいのある人といっしょに生きていく」の意味を、高波さん自身、立ち止まって考える機会になったようです。

「豊かな発想は、現場でのリアルな体験や人との交流を通して生まれるものだと思います。こうした研修の機会に恵まれているのも、社会とさまざまな接点をもつ生協にいるからこそですね」

「NPO法人ぷかぷか」

横浜市緑区霧が丘グリーンタウン団地内で、「カフェベーカリーぷかぷか」、「ぷかぷかさんのおひるごはん」、お惣菜と弁当の「おひさまの台所」、「アート屋わんど」の4つのお店(福祉事業所)を営むNPO法人。養護学校の先生をしていた高崎明理事長が、障がいのある人たちに惚れ込み、定年後もいっしょに生きていきたいと立ち上げた。

ぷかぷかの新しい福祉
①障がいのある人たちに対し「支援」という上から目線ではなく、「いっしょに生きる」、言い換えれば、フラットな関係を作っています。そこからたくさんの新しいもの、文化が生まれました。②障がいのある人たちを社会に合わせるのではなく、そのままのあなたが一番魅力的、と伝えます。そのままの彼らを差し出すことでたくさんのファンが生まれ、その方たちにぷかぷかは支えられています。
(ぷかぷか理事長 高崎明さんより)

NPO法人ぷかぷか

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