「配達員だからこそできる復興支援」に挑戦!(社会貢献活動レポート|2018年10月)

2018年10月26日

スタディツアー参加で“開眼”!

中堅リーダーとして若手配達員たちを束ねるパルシステム東京府中センター遊佐(ゆさ)裕一さんは、2017年11月に組合員向けに開催された「福島スタディツアー」にインセンティブ企画の一環で同行しました。そこで出会った「福島の女性たちがつくる布ぞうり」に魅せられ、物語が大きく動きました。

「ぜんぜん関心なかったんですよ。福島」

遊佐さんは、復興の進む福島の「今」を巡るスタディツアーに参加した当初、まだその「意味」がピンと来てなかった、と振り返ります。

「津波でご主人を失った女性の語り部に耳を傾け――7年弱たつのに、被災地が負った傷はまだそのまま。“オレ、何にも知らなかったんだ…”って愕然としたんですよね」

ツアー二日目に、福島第一原子力発電所から20キロにある楢葉町(2016年9月に避難解除)で、布ぞうりを手作りする女性たちと交流したことが、遊佐さんに大きな変化を呼び覚ましました。

何か力になれることはないか?

“わらじ組”のみなさんは、廃校となった小学校の教室を借り受け、毎日布ぞうりづくりに励んでいます。

「古くなったTシャツをリサイクル。裁断され、複雑に組み合わせられることですごくきれいな一足に変身するんです」

遊佐さんも実際に布ぞうりづくりを体験しながら、福島の女性たちにとって、布ぞうりづくりがいちばんの生きがいになっていることを実感したといいます。東京に戻った遊佐さん。何かが心の奥で引っかかり続けていました。

「福島で感じたことがずっと気になっていて…何か力になれることはないかなあ?って」

そして到達した答えは「組合員のみなさんにTシャツの寄付を募り、そのTシャツで編んだ布ぞうりを販促する!」でした。

「ツアーにいっしょに参加した職員とともに、エリア内の組合員へ募集したところなんと2,390枚近いTシャツが集まったんです!たくさんの方が手紙を添えられていて、中には“母の形見を捨てられないでいましたが、福島のみなさんにお役立ちになるなら母も喜ぶと思いお贈りします”とのお手紙を読んだときは、ちょっともう、言葉にならなかったです」

パルシステム東京の組合員とともに、福島のみなさんと交流を果たしました

3か月の遅配。でもクレームはゼロ!

積み上げられたTシャツはセンター職員一同で協力して仕分け、楢葉町の“わらじ組”のもとに届けられました。早速「布ぞうりの販促」も企画され、チラシを投入したところ…「500足あまりのご注文!おかげでお届けが予定より3か月遅れてしまいましたが!(笑)」と語る遊佐さんは、東京の組合員の多くが口にはしなくても被災地のことを気にかけていたことを布ぞうりを通じて知ったのでした。

「3か月後、お届け終了してみれば、注文取り消しは500件中1件、遅配のクレームはなんと0件でした」

遠く離れていても、応援することはできる、組合員がそれを支えてくれる――そう信じられるようになって、遊佐さんはこの仕事の「意味」が以前よりもぐっとわかるようになりました、と語ってくれました。

スタディツアーで“わらじ組 ”から布ぞうりづくりの手ほどきを受ける遊佐さん

布ぞうりの名前は〝narahato〟

福島県楢葉町の女性たち(+94歳の男性もいらっしゃいます!)が仮設住宅住まいのときから編み続けている布ぞうりのブランド名は「narahato」といいます。古Tシャツをリサイクルするので、世界にたった一足の“一点モノ ”。商品タグには作り手の名前が書いてあり、“顔の見えるぞうり ”として人気があります。“この手作りの布ぞうりを愛用いただくことで楢葉とつながってほしい”という願いが込められています。

*本ページの内容は2018年9月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。