インフォーマルサービスの取り組み――パルシステム群馬が手掛ける「高齢者サポート」(社会貢献活動レポート|2018年8月)

2018年8月3日

毎週顔を合わせる生協だからできること

2025年には人口に占める高齢者(65歳以上)の割合が30%を超えると予測される日本。超高齢化、少子化が深刻になるなか、財政的にも人材的にも医療や介護など社会保障サービスの運用も困難をきたすと言われています。そこで注目されているのが、地域住民やNPO、ボランティア、民間企業などの手による「公的な制度に基づかない援助(=インフォーマルサービス)」。今回は、各会員生協で始まっているインフォーマルサービスの取り組みのなかから、パルシステム群馬が手掛ける「高齢者サポート」をご紹介します。

センターごとに約90名の対象者。第三者の連絡先も登録。

パルシステム群馬の「高齢者サポート」は、組合員のなかでもとくにひとり暮らしの高齢者に照準をあてた見守り活動。毎週の受注状況を把握したり配達時の気づきを情報シート(拡大報告書)で共有するほか、必要な時には登録してある第三者と連絡をとるなど、高齢者の暮らしの安心・安全につながる支援を行っています。そのしくみを具体的に見ていきましょう。

サポートの対象となるのは、高齢でひとり暮らしの方。新規加入時に該当することが確認された場合、緊急時の連絡先として第三者の名前と続柄、電話番号などを聞きとり、拡大報告書に記載します。「たいていはお子さんを指定されますが、兄弟や姉妹、あるいは身内がいない場合は、ご近所や仕事の関係者ということもあります」(パルシステム群馬政策推進本部・竹本真也さん)

担当者は指定された第三者と連絡をとり、加入者からの依頼で個人情報を登録する旨を報告。事前に加入者に確認をお願いしていますが、ときには先方の了解が得られない場合もあり、その際は改めて別の第三者を決めることになります。「それでも見つからない場合は、加入自体をお断りせざるを得ないことになっています。今後、そのようなケースが増えてくることも考えられ、課題のひとつです」と竹本さんは語ります。

同サポートは、2011年にスタート。現在、高崎、渋川、東毛の3センターごとに、常時90名程度が登録されています。

異変をキャッチするカギは、配達時の密なコミュニケーション

「高齢者世帯であることがひと目でわかるように」と、同サポート対象者を含む満65歳以上の組合員については、通常の白色ではなく、オレンジ色の拡大報告書を利用。また、配達スタッフには、センターに帰着後、対象世帯についての報告が義務づけられています。

「たいていは『異常なし』ですが、配達スタッフが異変を感じた場合は、センターから直接本人にフォローの電話を入れたり、登録されている第三者に連絡をとったりします。これまでにも、配達の際に倒れている組合員さんを見つけ、第三者と行政に連絡をしてことなきを得たこともありました」。

一方で、毎週行っているのが対象世帯の注文履歴のチェック。明らかに利用金額がふだんより多い、同一商品を大量注文して いるなどが判明した場合には、本人あるいは第三者に確認します。「これには認知症を早期に発見する目的もあります。そのためにも日ごろの組合員さんとのコミュニケーションや配達現場とセンター内の連携は不可欠。たとえば、通常はないような子ども用の食材を大量に注文されているようなときも、配達員が事前に『孫が来る』というような話を聞いていれば、注文間違いではないと判断できますから」

見守りと同時に、利用料の未収を防ぐ効果も

パルシステム群馬では、県や市とも「見守り協定」を締結。「毎週顔を合わせる」という生協ならではの特徴を生かし、見守りや声かけの際に高齢者を狙った悪質商法についての注意をうながしたり、会話のなかで必要を感じた場合には、消費者センターへの相談をすすめることもあります。

さらにきめ細かな支援ができるように、消費者センターの職員を講師に招いた研修会も実施。参加したメンバーからは、『おせっかい』と『見て見ぬふり』の違いがわかった」「たくさんの事例から高齢者に接するときのポイントがわかった」などのコメントが寄せられました。

外部講師を招いて認知症学習会を実地。認知症の種類と特徴などを学びました。

「外出や人と接する機会が少ない高齢者にとって、週に一度は必ずやって来る配達スタッフはかなり近しい相手といえるでしょう。こんせんくんのトラックが到着すると、『待っていたよ』と喜んで迎えてくださるとも聞きます」と竹本さん。「たとえば何か困ったことがあったときにも、身近にいていつでも気軽に相談できる存在でありたい。そこにこそ、私たちが地域で高齢者の見守り活動に加わる意味があると思います」と、この取り組みの意義を語ります。

一方、事業的にも、高齢者に関わる利用料金の未収や作業ロスの発生を防ぐという効果がこの取り組みには期待されます。「過去の未収の事例や担当者の勘を頼りに、不審な高額利用などが見受けられたような場合、約款に基づいて早めに利用を制限するなどの対策をとります。実際、このしくみを取り入れてから大きな利用トラブルは起きていません」と竹本さん。大切なのは、日ごろからしっかりとアンテナを立て、コミュニケーションを密にし、高齢者の困りごとや変化などを見落とさないようにすること。

「これからも、暮らしに必要な食品や日用品をお届けするという役割を通して信頼関係を培い、高齢者も安心して暮らせる地域づくりに貢献する存在であり続けたいと考えています」

*本ページの内容は2018年7月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。