組合員の支援への思いはどうつながったか 「2017九州北部豪雨被害緊急支援報告会」を開催

2017年12月14日

パルシステム連合会は、12月4日(月)、東京・新宿区の東新宿本部で、九州北部豪雨被害緊急支援報告会を開催しました。組合員募金の一部を託した4つのNGO団体から、現地での支援活動や募金の使い方などについて報告がありました。

報告団体のみなさん小

今年7月24日から8月中旬まで、組合員のみなさんへ呼びかけた「九州北部豪雨緊急支援募金」には、総額7,824万6,951円が寄せられました。うち5,744万6,951円は義援金として日本生協連などを通じ福岡、大分両県へ贈呈し、2千万円を現地で支援活動を展開するNGOなど4団体へ寄贈しました。4日はこの4団体より、現地で情報共有、役割を調整しあいながら支援がすべてに行き渡る工夫、また団体ならではの取り組みなど、多種多様な活動を熱く報告されました。

報告に先立ち、パルシステム連合会の石田敦史理事長が挨拶し、「パルシステムの組合員は被災者のみなさんへの想いが強く、その金額は、全国の生協に寄せられた4分の1にあたります。一部を現地で支援活動を展開する4団体に贈り支援を託しました。組合員の想いがどのようにつながったか、確認しましょう」と述べました。

続いて4団体の代表のみなさんが、被災地の状況やそれぞれの活動を報告しました。

仮設住宅支援

一般社団法人 ピースボート災害ボランティアセンター

ピースボートは福岡県内で一番人口の少ない東峰村の仮設入居者の生活物資支援を行いました。現地責任者の辛嶋友香里さんは開口一番、「入居者説明会でピースボートの話では下を向いていた住民のみなさんが、『生協パルシステムさん』と言った瞬間、いっせいにばっと顔を上げられたんです。あらためて生協の認知や信頼性を実感しました」。続けて「ご主人と子どもさんと参加されていた女性が涙を流しながら、『こんな小さな村を支援してもらえて感謝しています。みなさんに伝えてください』と言われた。今日この場でお伝えします」。

生活物資の調達は住民に困りごとや不安、地域の生活文化などを細かく聞いたうえで揃えました。「不安なくらい山奥の公民館に一人で避難されていた男性を訪問したとき、『今回の水害でおかあが逝っちまったから、台所用品とか何をそろえたらいいかまったくわからず困ってたんだよ。来てもらいほんとに助かるよ』という声をいただきました。こういうことができたのも組合員のみなさんのお力があってのことだと思います」。

行方不明者捜索と避難所運営、みなし仮設への家電配布

特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン

発災直後に行った行方不明者の捜索活動(レスキューチーム8人、救助犬を2匹を派遣)は、流木や土砂などで難航したため自衛隊に引き継ぎ、避難所となった把木中学校で物資の配布に携わりました。「ここは避難者が160人ほどで、市の職員と学校の先生方が対応していましたが、初めての経験でノウハウがなく、また先生方は本業もあり両立がむずかしいということで、私たちのスタッフ1名を駐在させ避難所の運営を担いました」(事業責任者の大塚英二さん)。

パルシステムの支援金では、みなし仮設の方々へ家電製品を提供したそうです。「被災者は大概、企業などから寄贈されたのですが、実はみなし仮設世帯は何もない状況だったんです。それで12種類から3点を選んでもらい提供しました」と大塚さん。現在まで、みなし仮設・公営住宅の285世帯、自力避難者の94世帯に提供しています。

避難所で障がい者や子どもなどの弱者支援

認定NPO法人 AAR Japan[難民を助ける会]

「力を入れているのは弱者支援で、避難所のみなさんと十分議論し福祉施設を設置したり、子どもの遊べる環境を整備したりしました」とプログラムマネージャーの野際紗綾子さん。パルシステムの支援金は子どもの支援に利用したそうです。地区の夏まつりは中止、校庭もプールも遊ぶことができない――そんな状況下で野外イベントやのびのび遊べるプレーパークを実施しました。「子どもはもちろん、お母さんたちもここでリフレッシュされているようで、取り組んでよかったです」。

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在宅被災者の物資支援

特定非営利活動法人 ADRA Japan (アドラ・ジャパン)

「7月11日に東峰村の支援を決め、現在まで駐在し活動していました。この報告で約5カ月ぶりに出てきました」と防災・緊急支援担当の牟田麻起子さん。東峰村では、初めに報告のあったピースボートが仮設住宅の支援を担当し、当団体は在宅被災者の支援を担いました。「パルシステムからの支援金ですが、発災当初は他からいろいろ来たので、4~5カ月たった今の生活支援に充てました。何がいいかを対象者のみなさんと考え、“ほしいものを選んでもらうのがいちばんでは”、という結論に至り、また村の人たちは買い物を隣町ですることが多いと聞き、全国共通の商品券を配布することにしました」。配布は説明しながら戸別訪問し、その際には地元の社会福祉協議会の方に同行をお願いして、今後の見守り支援につなぎました。

牟田さん

最後にパルシステム連合会の吉中由紀副理事長(パルシステム神奈川ゆめコープ理事長)は次のようにまとめました。

「『生協の父』と言われる賀川豊彦も、関東大震災のときいち早く被災者のもとへ駆けつけ、支援活動に尽力しました。パルシステムの組合員もほんとうは駆けつけて何かしたいという気持ちをたくさん持っていると思います。でも今日の報告を伺い、みなさんに充分代わってやっていただけたのではと痛感しました。組合員にもしっかり伝えていきたいと思います」。

▽関連リンク
「九州北部豪雨緊急支援募金」報告 7,824万6,951円が寄せられました|2017年9月7日

これまでの災害支援活動はこちら(パルシステムの災害支援活動)