地域活動を応援して10周年 パルシステムの月刊誌『のんびる』(社会貢献活動レポート|2017年2月)

2017年2月1日

『のんびる』は、パルシステム連合会の地域活動支援課が発行する“地域活動応援誌”。読者登録している組合員に、毎月お届けする52ページの中では、パルシステムが関係するNPO団体や助成団体だけでなく、さまざまな地域課題に取り組む団体の事例を紹介しながら、よりよい地域づくりには何が必要か――? そのあり方を模索し続けています。

『のんびる』創刊10周年記念シンポジウムには、パルシステムの内外で地域活動に尽力してきた“盟友”が集いました。

地域活動に参加する「最初の一歩」をサポート

そもそも『のんびる』を発刊した背景には、「2007年問題」がありました。ベビーブーム世代でもある団塊世代がいっせいに定年を迎え始める2007年以降、地域に“還った”企業戦士たちの居場所をどうするのか? それまでの人生で培ってきた能力は地域課題の解決に活かすことはできないのか? ――そうしたマッチングを生協が取りもつことができれば、新たな社会貢献の柱を作ることができる、と考え立ち上げられた事業が「セカンドリーグ」でした。その理念は“セカンドリーグ宣言”として、毎号巻頭に掲げています。「第2の人生(セカンド)を、パルシステムが各会員生協のエリアを横断しながら、グループ全体でその柱をつむぐ(リーグ)ことはできないか、と考えました」。当時、セカンドリーグ事業の中心的存在だった山本伸司 元パルシステム連合会理事長はそう振り返ります。

『のんびる』創刊10周年記念号の表紙(2016年10月発行)

『のんびる』はいわば、セカンドリーグ事業の“広報誌”的な役割を演じ、「はじめる! 人がつながる 社会が変わる」をキャッチフレーズに、地域デビューする“最初の一歩”をあと押し。地域のボランティア情報もふんだんに取り上げながら定着していきました。

複雑化する地域の課題にも目を向ける

「生協の弱点は“外の世界とのつながりが希薄になりがち”なこと」と語るのは、元連合会職員で『のんびる』の初代編集長、小山邦子さん。「セカンドリーグを“リーグ”として構成させるには、従来の生協の構造から一歩脱して、地域のさまざまな活動団体、行政、企業と交流を積極的に図ることが大切でした」と小山さん。

しかし、次第に地域の抱える課題は複雑化していきます。創刊から10年――待機児童、子どもの貧困、老老介護、所得格差、震災と復興…地域には課題が大挙して押し寄せています。

『のんびる』は、そうした流れに呼応しながらテーマの対象範囲を広げていきます。たとえば障がい者のもつ“強み”にも注目し、障がい者に対する固定観念を覆すようなテーマも取り上げてきました。「一般には“アウトサイダーアート”と呼ばれる、障がい者だからこそ創り出せる独自性に満ちた絵画、ダンスなどは、障がい者に対する固定概念を劇的に変える力をもっている」と『のんびる』現編集長の前田和男さんは言います。『のんびる』の表紙を毎号飾っているのも、じつは障がい者の方々が描いた作品です。

『のんびる』では、震災後に障がい者サポートに取り組む福島の活動団体を紹介したこともあります。

また「子どもの貧困」という課題に対しては、会員生協ごとに立ち上げた「地域セカンドリーグ(※)」に具体的な動きもあります。「地域資源を活用しながら、仲間で声をかけ合い、埋もれた子どもたちの存在を見出す場づくりになれば」と語るのは、セカンドリーグ神奈川の六角薫さん。各地にある資源(カフェやレストランなどの場)を活用しながら、地域の人々と協同で取り組む「子ども食堂」というプロジェクトを推進しています。「本質的には地域の人々すべてを対象にした“居場所”を数多く創っていくことが大切」と言います。こうした“居場所”づくりは、職場や家庭とは違う「もうひとつの」自分を表現する場として、女性たちが地域で活躍するきっかけであり、『のんびる』はその「最初の一歩」を投げかける入口になっている、ともいえます。

“友だちがいるヤツは長生きする”

2016年11月15日に開催した10周年記念シンポジウムでは、『のんびる』のコラム連載者の方々に講演もいただき、そのひとり、地域医療の第一人者、色平哲郎さんはこう話されました。「ずっと地域医療をやってきて、これは絶対、と言えることがある。それは“友だちがいるヤツは長生きする”」。

シンポジウムでは山梨県の山間部で地域活性に取り組むパルシステム山梨の総代の女性をお招きして講演も。

地域内で気兼ねなく挨拶をし、相談し、ときに「バカ話」もできる“顔の見える関係”を築き、解決のプロセスも「楽しむ」ことが重要です、と色平さんは、地域課題へ挑むコツについて語りました。

「『のんびる』は“これからの10年”に向けて、さらに“楽しみ”ながら地域課題を解決するヒントを掘り起こしていきます。ご期待ください!」(地域活動支援課 鈴江茂敏課長)

※誰もがいきいきと暮らせる地域づくりをめざし、パルシステムが他の活動団体と一緒に立ち上げたNPO法人。現在、埼玉、千葉、神奈川、茨城の各地域で活動中。

『のんびる』の基本情報

  • 発刊:月刊誌(定期購読) B5判52ページ
  • 価格:本体300円(税込324円)
    ※毎月のご請求とともに引き落としになります。
    ※組合員でなくても購読できますが、別途送料をいただきます。
  • お届け:毎月第3回企画のお届け商品といっしょにお届けします。
  • 申込み方法(お問合せ先):パルシステム連合会地域活動支援課
    TEL:03-6233-7235(平日9:00~17:30)
    Eメール:nonbil@pal.or.jp
    Web(セカンドリーグWeb):
    http://secondleague.net/
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*本ページの内容は2017年2月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。