「JA魚沼みなみ公開確認会」を開催 環境配慮と食味を追求した米づくりを確認
2016年7月15日
パルシステム連合会は7月5日(火)、6日(水)の両日、新潟県南魚沼市で「JA魚沼みなみ公開確認会」を開催しました。米を対象品目に、農薬や化学肥料をできるだけ削減した栽培について、生産者と消費者の二者が確認しました。
2016年度初の開催に73名が参加
公開確認会は、生産者と消費者の二者が産地で生産状況を確認するパルシステム独自の制度です。1999年から制度がスタートしました。2010年度からは、会員生協主催による開催も始まっています。
2016年度第1弾の開催となる「JA魚沼みなみ公開確認会」は、パルシステム連合会主催で2日間にわたり、JA魚沼みなみ営農センターで開催しました。事前の講習会を修了した監査人と一般参加の組合員、生産者、生協役職員、関係者など73名が参加し、監査品目のエコ・魚沼こしひかりの栽培状況などについて確認しました。
「エコ・魚沼こしひかり」の産直産地
開会にあたっては井口一郎・南魚沼市長から「市民5万8,000人のほとんどが農業に携わっており、パルシステムとの関係はたいへん心強く感じています。都心から新幹線で1時間ほどということもあり、CCRC(Continuing Care Retirement Community/継続的なケアを提供する高齢者向けコミュニティ)の構築、地方創生に向け取り組んでいます」とあいさつがありました。産地からのプレゼンテーションでは、有機農業部会を担当する営農部普及指導課の板鼻昭義調査役より、組織概要や事業内容、栽培基準・管理などの取り組みが紹介されました。
JA魚沼みなみは、産直米「エコ・魚沼こしひかり」を生産する産直産地です。平成3年にパルシステム埼玉(旧南埼玉生協わかば)との取引から始まり、今では特別栽培米の3割にあたる5,400俵(約324トン)の取引にまで成長しています。平成17年には有機米部会を立ち上げ、栽培基準の統一や体制強化を図りながら、化学合成農薬や化学肥料を削減した栽培に挑戦しています。今回の公開確認会は10年ぶり、2回目の開催となります。
質疑応答では「法律や基準変更などの情報収集」「個人での農薬管理はどう行っているか」などの質問が寄せられました。これに対し「県が毎年2月に説明会を開催し、生産者へは総会や3月の研修会の場で周知しています」「自宅で管理しており、使用する分だけ購入するか、余って未開封のものは返品するなど、次年度に残りを持ち越すことはありません」などの回答がありました。
開会に先立ち、監査人は帳票類の確認を行いました。参加した監査人からはJAの徹底した帳票・栽培記録管理に感嘆の声が上がりました。
ブランド米を育む土づくりと品質向上の努力
翌6日(水)はほ場とJAの出荷施設を視察しました。有機部会副会長の廣田一利さんのほ場では、こしひかりが誕生して50年が経過したことに触れ「窒素分が多いなど、いわゆる“地力のある”土地ではこしひかりの特性として稲が伸び過ぎて倒伏の原因となります。この地域は適度な地力がゆえに、肥料による適切な調整を可能にし、おいしいこしひかりを育んでいるのです」と説明がありました。参加者からは「ていねいに草取りがされた広大な田んぼと、農機具が整然と置かれた展示場のような倉庫には驚きました」と感想が聞かれました。
次にJAが所有する2基のカントリーエレベーター(2017年にもう1基増設予定)のうち、自動ラック式倉庫を備えた米の低温貯蔵施設を視察しました。約4万俵(2400t)もの米を蓄えられ、室温15度で管理されています。ここでは米の等級選別の方法についても説明を受けました。
もっと組合員と交流できる体制づくりに期待
監査所見の発表では「盆地の暑さからくる苦労を知り、日々の消費において選ぶ目を持つことが大切と感じました」「籾摺り検査報告書に、受け入れ時の食味検査・粒選別までされていて感心しました」などの所見がありました。
また、生産者監査人のパルシステム生産者・消費者協議会・戸澤藤彦生産者幹事(花咲農園)は「有機米部会員220名に理念を行き渡らせ、いかに共有していくかが今後の課題だと思います。パルシステムの産直四原則には、組合員との相互交流があり、それを規約に入れることを検討して欲しいです」と述べました。
監査人のまとめとしてパルシステム連合会・島田朝彰産直部長は「面積あたりの生産量を抑え、おいしさを優先しブランド力を守っていることがよくわかりました。管理内容に問題はなく、安心して産直提携に取り組める産地です」と、有機米部会の果たす役割に期待しました。
高橋部会長は「この公開確認会で、監査人から指摘されたところは、さすがだと感心しました。生産者と消費者が現場で確認しあう場は、非常に貴重です」と話し、会場からの拍手で締めくくられました。