東日本大震災から5年 これからも物心両面で支援し続けます(社会貢献活動レポート|2016年3月)
2016年3月1日
いまも18万人近くが避難生活
求められる物心両面の支援
復興庁の発表によると、住宅の高台移転や災害公営住宅には100%近い計画がすでに着手され、3月末までには半数近くが完成する見込みです。また、産業面も鉱工業生産は震災前の水準に回復。水産業や農業も着実に復興の兆しを見せています。
しかし、一方で18万人もの人が避難生活を続けており、なかでも原発事故のあった福島県は10万人が仮設住宅などで暮らし、故郷に帰ることができていません。そして、そのうち3万人とも言われる自主避難者に対し政府と福島県は、2017年3月をもって住宅支援を打ち切る方針を示しました。放射能の影響に不安を抱える人は少なくなく、物心両面での支援の継続が求められています。
パルシステムグループは震災発生直後から、被害を受けた地域への支援活動を続けてきました。当初は、組合員へカンパを呼びかけて被災地へ贈り(総額4億428万33円)、また、避難している方に温かい食べ物を提供する炊き出し活動を実施。宮城県石巻市を中心に延べ43回、148人を派遣し、1万5千食以上を提供しました。また、避難者向けの食事に使用する食材提供や、会津若松市の仮設住宅を対象にした買い物支援活動などを行ってきました。
被災した産直産地やメーカーへの支援としては、震災発生直後から「震災復興基金」を創設。利用で支援を呼びかける「“食べる”で支え合う!」「東北復興支援」や、産地の放射能汚染対策、津波で流された製造設備への援助などに助成金を贈呈し、延べ140団体へ、合計2億2117万7600円を活用。基金は現在、「地域づくり基金」へと発展しています。また、パルシステムグループが支援する一般社団法人地域再生コミュニティビジネス推進協会を通じた宮城県南三陸町の林業や水産業の支援活動も継続中です。
「地域づくり基金」とは
東日本大震災からの復興や持続可能な地域社会づくり(コミュニティ再生)に貢献することを目的に、資金面で助成する制度。今年度は、第1分野「東日本大震災からの復興支援事業」(放射能対策)、第2分野「持続可能な地域づくりと農林水産業発展に関する事業」、第3分野「再生可能エネルギーの推進調査・研究活動」を対象に募集。第1分野は、2月1日の運営委員会承認まで22団体、921,000円の助成が決定していますが、最終的には最大5,310,000円の追加助成が見込まれます。
【第1分野助成先一覧】
JAつくば市谷田部/(有)富士きのこセンター/(株)丸金/農事法人組合 三幸/小川きのこグループ/久保産業(有)/(有)三蔵農林/JAやさと/ジョイファーム小田原/JA会津いいで/内藤あんがす牧場/阪本牧場/首都圏とんトン協議会/山口養豚場/(株)丸公/農事組合法人 エコーたまつくり/農事組合法人 佐原農産物供給センター/ささかみ農業協同組合/常総センター/新ひたち野農業協同組合/有機農法ギルド/(有)ちば緑耕舎
第2、3分野助成先一覧はこちら
トピック
パルシステム茨城
「きのこの学校」再開
東京電力福島第一原発事故の影響で休止していましたが、2月27日に開校式を実施。定員70名のところ県内全域、遠くは鹿島方面より100名近くの応募がありました。震災から5年、さまざまな思いや苦労を重ねてきた生産者たちにとって、明るい出来事となりました。
思いきりからだを動かしたい!
「保養プログラム」実施中
パルシステムが取り組む支援活動のひとつが「福島の子どもたち保養プログラム」。組合員のみなさんへは毎年、カンパを呼びかけ、2015年度は879万8800円が寄せられました。
福島県内には、いまも放射線量の比較的高い地域があります。影響を受けやすい子どもたちが健康被害を受けないためには、一定期間、放射線量の低い地域で生活する「保養」が重要と言われています。保養は放射線の影響を低減させるだけでなく、同じ不安を抱える人同士が集まり、気持ちを共有するかけがえのない場となっています。
パルシステムでは2011年8月、新潟県のJAささかみで行われた産直ツアーに福島県のみなさん29人を招待して以降、年間を通じておもに週末や夏休みなどを利用した保養を提供しています。2015年11月には、山形県川西町で「山形週末保養」を実施。土日の2日間の日程に、当初予定した25人の約2倍にあたる52人が参加し、初日にウインナーやパンの手作り体験を行いました。「回数を重ね、参加者の要望を取り入れた結果、ゆっくりと、のんびりと過ごせるよう自由時間を増やしました」(パルシステム連合会 地域活動支援課 石川 誠さん)。
支援の灯は消さず
パルシステムでは、会員生協などグループ全体で保養活動に取り組んでいます。2015年度は22回開催し、627人の参加がありました。会員生協主催の企画では、地元のNPO法人などと連携し、その土地ならではの楽しめる企画を提供しています。ほかにも、会員生協による独自の助成制度や、被災地の現状を知るバスツアーなど、引き続き復興に向けた支援を行っています。
震災から5年が経過し、ふだんの生活に戻った人たちの記憶は日に日に薄れていきます。その一方で、いまだ帰宅できず、避難生活を続けざるを得ない人が多くいます。パルシステムでは、被災された一人ひとりに寄り添いながら、安心できるくらしを取り戻せるよう、これからも支援を続けていきます。
*本ページの内容は2016年3月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。