農地の上に太陽光パネル?「ソーラーシェアリング」テーマにトークイベント
2026年3月13日
福島の実践から考える持続可能な農業とエネルギー
パルシステム連合会(本部:東京都新宿区、理事長:渋澤温之)は3月7日(土)、オンライントークイベント「エネルギーも自給!新しい農業のカタチ」を開催しました。福島での営農型太陽光発電「ソーラーシェアリング」の挑戦を追ったドキュメンタリー映画の監督や実践する生産者、再生可能エネルギーへの転換を訴えるNPO関係者が、再エネ発電と持続可能な農業の可能性を語り合いました。
原発事故から「希望与えるきっかけに」
イベントでは、福島第一原子力発電所事故から15年を迎える今、エネルギーを自給する農業の先進事例を紹介し、エネルギーと農業の関わりを考えました。
ゲストには、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を福島で実践する株式会社ジェイラップの伊藤大輔代表取締役と、ドキュメンタリー映画『陽なたのファーマーズ フクシマと希望』の監督を務めた小原浩靖さん、原子力に頼らない社会の実現を呼びかける認定NPO法人原子力資料情報室(東京都中野区、松久保肇事務局長)の川﨑彩子さんが登壇しました。それぞれの立場からソーラーシェアリングの可能性やエネルギー問題に対してできることを話し合いました。

▲左から伊藤大輔さん、小原浩靖さん、川﨑彩子さん、横山玄多(パルシステム職員・司会進行)
伊藤さんによる講演では、ソーラーシェアリングの実践事例が紹介されました。ジェイラップは福島県須賀川市で、生産から加工、流通、販売までを担う『一気通貫型農業』を目標とし、米の生産のほか、パルシステムへはキュウリを供給しています。太陽光発電により自社総施設消費電力の完全自給を実現するほか、農地に太陽光パネルを設置するソーラーシェアリングを導入するなど、エネルギー自給や再エネ推進を進めています。
震災当時、須賀川市内は農業用ダムが決壊し「陸の津波」が発生しました。「流された人の捜索に当たったこともありました。道はボロボロで木もえぐられる悲惨な状況でした」と振り返ります。原発事故は「不安な日々でした。生産物が安全なのか葛藤し、厳しい風評被害も受けました。その無力感は忘れられません」と打ち明けます。独自の出荷基準を設け、放射能測定の実施に加え、農場約1,500ヘクタールを除染するなど、再起に向けて奮闘したそうです。
「原発事故後、取引先が約7割も離れてしまいました。『自分たちの未来は自分たちで守らなければ』という思いで、再エネの活用を始めました。非常用電源として利用でき、農業に希望を与えるきっかけになるのではと思っています。2025年から、次の100年に向けた里山プロジェクトを開始しました。さまざまな背景を持った人々が集まる新しいコミュニティをつくっていきたいです」と今後の展望を述べました。
ソーラーシェアリングは農地の暑さ対策にも
トークセッションは、小原さんの監督作品『陽なたのファーマーズ フクシマと希望』から見えたソーラーシェアリングの可能性について、それぞれの視点から語られました。

作品は、原発事故によって廃業に追い込まれた後、太陽光発電と農業を両立するソーラーシェアリングで農地を蘇らせようと奮闘する若手生産者たちの姿を追ったドキュメンタリーです。小原さんは「脱原発と再エネを進める人たちは、意外にも交わっていません。映画を通して、脱原発とソーラーシェアリングを合わせた独自の表現を目指しました」と語ります。
これを受け、伊藤さんは「映画は夢を持てる内容で、自分も頑張ろうと思わせてくれました」、川﨑さんは「生産者の皆さんがプライドを持って生産していることが伝わりました。大変な中でも笑顔で農業に向き合う姿が印象的でした」と話しました。
ソーラーシェアリングについては、伊藤さんが「田畑の上への太陽光パネル設置で、生育や収穫量に影響することはありません。直射日光が当たらないことで高温になることを防ぎ、品質の安定にもつながります。日陰があることは作業者にとっても助かります」と好影響を語ります。川﨑さんも現場を実際に見て、効率的で良い発電方法だと感じたと話し、小原さんも「農場に入って分かることもあると思うので、ぜひ見学してほしいです」と呼びかけました。
最後に、エネルギー問題への向き合い方について意見を出し合いました。川﨑さんは「脱原発と再エネ普及を進めるために、ソーラーシェアリングの認知を広めたいです。陽なたのファーマーズ自主上映会を開催することも一つの方法だと思います」と述べました。伊藤さんは「実例をさらに発信していきたいと思っています。売電で得た利益の使途を明確にすることで賛同を集め、地域づくりにも活用したいです」と話しました。
小原さんは「前作『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』に続き、今作でも希望を描いています。鑑賞後にどうしても沈んだ気持ちになってしまう作品もありますが、前向きな生産者たちの姿を見て希望を感じ取っていただけたらと思います」と呼びかけました。
パルシステムはこれからも、協同組合が持つつながりの力を発揮し、利用者とともに大規模災害の被災者に寄り添う活動を続けていきます。
「陽なたのファーマーズ フクシマの希望」
▼公式ページ
https://hinata-movie.com/
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