「もったいない」から考えるパルシステムのお買い物術(全2回・後編) 増税だって怖くない「スケジュール消費」のススメ
2014年3月28日
桜の開花が始まり、3月も残りわずかとなりました。4月1日(火)からの消費増税を控え、家庭では、買いだめや家計を見直す動きが出ています。そこで組合員が実践する『「もったいない」から考えるパルシステムのお買い物術』を紹介します。
コメ生産量と同じだけ廃棄される日本の食品
世界有数の食料輸入国である日本は、世界有数の「食料廃棄国」でもあります。日本では、年間約1,700万トンの食品廃棄物が排出され、このうち、本来食べられるのに廃棄されている「食品ロス」は、年間500~800万トン含まれると推計されています(平成22年度/農林水産省)。これは日本の米生産量(2012年/約850万トン)に匹敵します。
政府も2014年度から、食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSSプロジェクト)を展開します。生活者1人ひとりが自ら意識し行動を変革する食品ロス削減に向けた国民運動で、日本発「もったいない」を発信します。
先進国ではかなりの割合が「消費段階で無駄にされている」というのが現状です。「捨てる」という行為は、食料自給率低下に拍車をかけることにもつながります。この“ムダ”をなくしていくことは、国全体だけでなく、各家庭での節約にもなる――とパルシステムは考えています。
パルシステム的「脱ロス・脱ムダ」の取り組み
前回(3月5日(水))は、食品産業から食品ロスを削減する取り組みを紹介しました。一方、一般家庭での発生要因は、以下の3点が指摘されています(平成21年度農林水産省食品ロス統計調査より)。
※そのほかの要因として「消費者の過度な鮮度志向があることも否定できない」とされています。
食品ロスの約半分は一般家庭から排出されています。パルシステムの宅配は、こうしたロスをできるだけ抑制する仕組みになっています。
●計画的な消費がムダを省く
パルシステムでは、毎週同じ曜日、同じ時間帯に定期的に訪問し、あらかじめ注文した商品を届けています。予算を立て、計画的に消費し、食べることは、不要な特売品につい手を出してしまう「衝動買い」を抑え、余計な廃棄や時間の“ムダ”を省く節約になります。
●つながりのある生産者の食べものを大事に
パルシステムの産直は、生産者と実際に「交流ができる」ことが原則のひとつとして盛り込まれています。顔の見える生産者・メーカーによる安心・安全に配慮して作られた食べものは、「大事に使う」気持ちを育む底支えとなります。
●農薬が少ないから皮まで食べられる
できるだけ農薬の使用を控えることで、大根の皮の厚むきなど「過剰除去」を減らし、芯まで甘い(有機)キャベツは可食部を増加させるなど、できるだけ「捨てない」くらしにつながっていきます。
●選び調理し保存する「力」を身につける
パルシステムでは食材を提供するだけでなく、シンプルで素材を生かしたメニューの提案も行いながら、調理する力や、身体や社会によいものを選ぶ力といった、生活者の「自給力」の向上にも力を注いでいます。また、野菜の皮を干し野菜として活用するレシピや「みそ」「梅干し」などの保存食も提案しています。
食料自給率の向上にもつながる
増税のこの機会に、「もったいない」から考える計画購入のススメ――。それぞれの家庭で、仲間同士で、パルシステムの買い物(計画購入)を上手に利用し、無理のない節約やライフプランを提案します。事実、組合員からも「セール品などを衝動買いしなくなり、捨てなくなったぶん食費が下がった」との声が聞かれます。
このことは、家庭の「くらしづくり」を後押しするだけでなく、食文化の伝承や豊かな里山・里海・田畑の広がる緑の風景を維持し、ひいては食料自給率の向上につながっていきます。パルシステムは、これからも、みなさんの豊かなくらしづくりに貢献していきます。
政府・社会からも期待されています
パルシステム連合会は3月26日(水)、第1回「食品産業もったいない大賞」で審査委員会委員長賞を受賞しました。飼料用米やパン工場での副産物を活用する日本型畜産や、廃棄割合を削減した「茎が長めのブロッコリー」といった商品開発、組合員のみなさんから「くらしの知恵」を募ったくらし直し活動などが評価されています。
【関連サイト】
第1回「食品産業もったいない大賞」で審査委員長賞を受賞
「もったいない」から考える、パルシステムのお買い物術(食品産業の視点から:前編)
もったいないプロジェクト
食品ロス削減国民運動関連情報(農林水産省)