「富士の天然水(PET)」に関する協定書に調印 森林保全と資源循環を推進します
2016年10月25日
パルシステム連合会は10月20日(木)、東京・新宿区の東新宿本部でプライベートブランド(PB)「富士の天然水(PET)」に関する協定書調印式を開催しました。天然水の供給を通じて森林保全および資源循環推進を目指します。
新たな運動を作る決意
パルシステム連合会は、PB商品「富士の天然水(PET)」の販売にともない、水供給事業を通じた森林保全と資源循環推進、および災害時の地域社会貢献のため支援物資調達の協力体制について 、水生産企業・富士山の銘水㈱(山梨県)、リサイクル企業・協栄産業㈱(栃木県)の3団体で「森林保全および資源循環推進に関する協定書」を締結しました。
100%再生樹脂で商品化したPETボトルの供給と、供給したPETボトルの100%回収を目指し、国内資源を国内でリサイクルする仕組みを構築していきます。また、植樹、間伐および間伐材の利用を通じた環境・森林保全、組合員交流を通じた生物多様性の普及・啓発活動についても取り組んでいく予定です。
当会の原秀一専務理事は「パルシステムはリデュース・リユース・リサイクルを進めており、PETボトル容器は大量消費・大量排出の課題が大きいことから取り扱ってきませんでした。これまでの考え方を変えるつもりはありませんが、本商品は資源循環を進められる仕組みとなっており、会員生協と取り扱いついて議論を重ねてきました。その結果、災害への備えを念頭に、ボトルtoボトルを実現している本商品に限り供給することにしました※。昨今、海に大量に流れ込むプラスチックは、生態系に大きな被害を及ぼしており世界的な問題となっています。回収率100%を目指しながら、環境保全の視点から、新たな運動を作る決意で協定を結びます。本商品は富士山の伏流水を使用しており“森の産直”提携先である南都留森林組合(山梨県)やパルシステム山梨・パルシステム静岡など、地元での連携を図りながら推進していきます」とあいさつし、抱負を語りました。
パルシステムでは、東日本大震災の教訓から、災害時の「水供給」について議論と検討を重ねてきました。地震や豪雨等の災害が発生した場合は、3団体が協力し、被災地域および被災者支援に取り組むことも本協定に盛り込んでいます。
パルシステムのPETボトルに対する考え方
パルシステム連合会は、容器包装に関するパルシステムの3つの考え方①リデュース(発生抑制)②環境負荷の少ない容器包装の選択③再利用、再資源化および再生品の利用促進――に基づいて商品を供給しています。
PETボトルについては、これまで③において、経済的かつ低い環境負荷の観点からリサイクルの技術が確立されたとはいえず、飲料ボトルとして再利用されていない現状から、飲料を中心とした商品にPETボトルの採用を見送ってきました。
しかし2011年に再生PET樹脂を使用した商品が販売されはじめました。パルシステムでもリサイクルの仕組みを検討し、100%再生樹脂で作られたPETボトルを供給、回収することで、石油を使用することなく国内での資源循環が実現すると考え、100%再生樹脂によるPETボトルの開発に着手。「富士の天然水」としてPB商品とし、2016年1月4回より供給を開始しました。
※当該商品の供給は、パルシステム福島・パルシステム茨城・パルシステム千葉・パルシステム埼玉・パルシステム群馬・パルシステム神奈川ゆめコープ・パルシステム山梨・パルシステム静岡のエリア限定です。パルシステム東京では取扱いありません。
国内循環の意義を社会に広げたい
協栄産業㈱の古澤栄一代表取締役社長は「これまで消費者と面談する機会はありませんでした。これを機に相互交流し、入口と出口をつなぐ本来のリサイクルのあり方を追求していきます」と話しました。富士山の銘水㈱の粟井大二朗取締役経営統括室長は「日本の水の概念を変える商品です。平時、有事を問わず供給にまい進します」と述べました。式中には、富士山の銘水㈱の関連団体で、採水工場のある静岡県・朝霧地区で環境保全事業に取り組む、公益財団法人粟井英朗環境財団からも活動報告がありました。
渋澤温之常務執行役員が最後にあいさつし「容器ごみは大きな問題になっています。ごみやリサイクル品を海外に持ち出すのではなく、国内循環の意義を社会にどう広げていくかが課題だと思っています。広く議論を呼び起こすような事業と運動を展開していきます」と語り、拍手で閉会しました。