夏休みに昆虫博士大集合 「いなぎめぐみの里山」で生き物モニタリング〔東京〕

2026年8月4日

都内で見つけた生物多様性

生活協同組合パルシステム東京(本部:新宿区大久保、理事長:西村陽子)は7月26日(日)、稲城市百村に所有する「いなぎめぐみの里山」で利用者家族21人と昆虫観察会を開催しました。昆虫学者の須田真一さんを講師に招き、子どもたちと捕まえた昆虫の名前や特徴の解説を聞きながら、里山付近の生物多様性を確認しました。

自然を活用し幅広い参画を実現

観察会は、利用者家族約50人の応募を受け付け、抽選となった人気企画です。稲城市から自然環境保全地域として指定される約2.5haの里山を「萌芽更新林」や「樹下空間の広い森」など植生ごとに区域分けし、住みつく昆虫の種類をモニタリングしました。

東京大学総合研究博物館研究事業協力者の須田さんは「虫の気持ちになり、この暑さの中で自分ならどこに居てごはんを食べたいか想像し、ここにいるはずという場所を意識して探してください」とアドバイスし、昆虫探しを始めました。

2歳から9歳までの昆虫好きの子どもたちは、折れた小枝に擬態するシャチホコガの特徴など自身の知識を披露しあいながら、約20種の生き物を発見しました。「家の中に虫がいると驚いてしまうけれど、自然の中では不思議と見つけるのが楽しくなります」という保護者も時間いっぱい昆虫探しを楽しみました。

区域ごとの虫かごに集めた昆虫は、須田さんが一匹ずつ確認して参加者に特徴を解説します。アリジゴクは、後ろに穴を掘るために後ろにしか歩けない脚の向きになっていることを紹介し、昆虫は必要ない機能は退化させ、必要な進化にエネルギーを集中させるので、多様な種類が生まれたと説明します。

3億年以上前の石炭紀の昆虫は、トンボが70㎝など巨大化した時期もありましたが、少量の資源で生きて行けるよう小型化していきました。他の生き物が使わない隙間に入り、競争相手を無くして平和に暮らしたいのが昆虫だと話します。

昼間に飛ぶタマムシやカナブンなどの甲虫は、体をキラキラさせて太陽光を反射し、天敵の鳥の目をくらませ、捕まえられないようにしていることなども紹介します。

コクワガタなど数年生きる昆虫は、体に生えている毛や顎の欠け具合で今年羽化したものかを判断します。比較的長く生きる昆虫で「大抵の虫は、幼虫時代の方が長く人生をエンジョイしている期間とも言えます。繁殖の役割さえ無ければ、ずっと幼虫でいる方がおそらく幸せです」など、子どもの頃から夢中だったという虫の視点で、小さな昆虫博士たちに多様な特徴を紹介しました。

参加した家族からは「都内に住んでいてもじっくり昆虫観察をする機会はなく、良い体験になりました」「昆虫の進化や生き残りの戦略など、須田先生の話が興味深かったです。それぞれの昆虫の詳しい説明も良かったです」など、普段は体験できない昆虫観察会を楽しんだ声を受けとりました。

▲開発で変化した周辺地域を説明する須田さん(右)

▲捕まえた昆虫の特徴を一匹ずつ解説

自然体験活動などが評価され東京都から表彰

パルシステム東京は2026年1月、東京都から「第2回Tokyo-NbSアクションアワード~自然とともに、未来をつくる~」中小規模法人部門優秀賞の表彰を受けました。いなぎめぐみの里山を拠点とする自然体験企画などの開催による地域コミュニティ形成への寄与や、多様な主体による里山の維持管理活動が評価されました。

▼東京都「Tokyo-NbSアクションアワード」優秀賞 稲城市での里山活動が評価〔東京〕
https://information.pal-system.co.jp/press/260206%E2%80%90tokyonbsaward/

いなぎめぐみの里山は2004年、宅地開発が進む稲城市で30年以上放置され、ササが生い茂っていた山林を整備し開設しました。農業や竹林整備体験ができる場として交流スペースを設け、20年以上に渡りさまざまなイベントや保全活動を継続してきました。現在は株式会社nuucoto(東京都稲城市、太田香奈代表取締役)が管理を担い、年間を通して2千人規模の利用者や地域住民が企画に参加しています。

2023年には、里山内の孟宗竹の侵出や広葉樹の枯死など環境面の課題を検討する「森づくり計画策定タスク」が発足しました。パルシステム東京と株式会社nuucotoに加え、認定NPO法人JUON (樹恩)NETWORK(東京都杉並区、生源寺眞一会長)や須田さんをはじめとする研究者と連携し、里山整備やモニタリングを進めてきました。昆虫観察会のデータも積み重ね、生物多様性を確認する調査を継続していきます。

 

パルシステム東京はこれからも、利用者や多様な組織との協同により、都内の生物多様性保全を目指していきます。