茨城県初のウナギ生息モニタリング 「石倉カゴ」設置記念式典
2024年9月24日
ラムサール条約登録湿地の涸沼で
パルシステム生活協同組合連合会(本部:新宿区大久保、理事長:大信政一)は9月19日(木)、茨城県涸沼(ひぬま)ほとりの親沢公園キャンプ場(東茨城郡茨城町)で「石倉カゴ」の設置記念式典を開催しました。パルシステム茨城 栃木の組合員や役職員、茨城県など行政や地元の漁協、自然保護団体、産直提携産地の生産者など62人が参加しました。
「石倉カゴ」は、網かごに石を詰めて河川内に設置する人工的なウナギの増殖礁です。石の隙間に生息する生きものをウナギが捕食し、水鳥などからも身を守れるすみかになります。石倉カゴ設置は県内初の試みで、2023年12月からの調査を経てこのたび実現しました。
式典開催に先立ち、関係者は茨城町駒場庁舎(東茨城郡茨城町)でパルシステムのウナギ資源回復に向けた諸活動やニホンウナギの生態などを学習しました。
パルシステムは2013年、ニホンウナギの絶滅危惧種指定を受け、大隅地区養まん漁業協同組合とともに「大隅うなぎ資源回復協議会」を設立しました。日本の食文化や産地を守るため、商品の利用点数に応じた額や応援募金を積み立て、生息環境や資源回復に向けた調査研究、学習会などを重ねてきた経緯が参加者に説明されました。
当初から資源回復活動への協力を得ている九州大学農学研究員の特任教授・望岡典隆さんからは、二ホンウナギの生態や調査研究で分かってきた現状を聞き、理解を深めました。
式典では、パルシステム商品開発本部長の野津秀男が「産地とともに出した答えが『食べながら守るための取り組み』です。11年間の支援金・カンパ総額は約7,000万円、産地モニタリング参加者は延べ700人に上ります。今日、新たなモニタリングの場所が生まれました。地域のみなさんの理解と協力があってのことです」とあいさつし、ウナギの資源環境調査への理解を求めました。
茨城県県民生活環境部生活文化課佐藤隆史課長は「パルシステムは、地域のみなさんと涸沼の生き物観察会やバードウォッチングなどを実施していると聞いています。ウナギ資源回復の調査研究も、地域住民の環境意識の向上につながります。県でも、住民や事業者、団体、行政の連携による涸沼の流域観察など支援し、持続可能な社会づくりを呼びかけていきます」とあいさつしました。
式典には、地域の市民団体NPO法人ひぬま生態系再生プロジェクト理事長の中村史朗さんも参加し「40年以上前の涸沼は、一帯に水中植物がありましたが、今は1本もありません」と現状を語り、涸沼の水中植物の復活と浄化の必要性を訴えました。
参加者一同は、望岡典隆さんの指導を受けながら、涸沼に入って石を運び、石倉カゴを設置しました。
パルシステム茨城 栃木の青木恭代理事長は「石倉カゴ設置は、昨年から調査準備を進めました。関係団体のみなさんの尽力に感謝します。毎年実施する生き物観察会でも、ウナギ稚魚の生息が確認されました。石倉カゴのモニタリング調査で、さらに多くの人々が環境保護に興味を持つきっかけになればと思います」と、式典を締めくくりました。
パルシステムはこれからも、地域の豊かな環境と産業を守るため、多様な立場の人たちと連携し持続可能な生産と消費を追求します。
【関係リンク】
うなぎの資源と食文化を守り続ける
https://www.pal-system.co.jp/sanchoku/action/protect-eel/