瀬戸内海坊勢島の水産業発展に貢献 4者で産直協定締結
2024年9月23日
持続可能な漁業をともに
パルシステム連合会(本部:東京都新宿区、理事長:大信政一)と坊勢漁業協同組合(兵庫県姫路市家島町、竹中太作代表理事)、兵庫県漁業協同組合連合会(兵庫県明石市中崎、田沼政男代表理事会長)、全国漁業協同組合連合会(東京都中央区、坂本雅信代表理事会長)は9月21日(土)、坊勢漁協本所で4者による産直提携事業に関する協定書を締結しました。水産品の取引や漁業体験など利用者との交流を通じて、地域の持続可能な水産業を応援します。
15番目の水産産直提携産地
締結式は、パルシステム連合会専務理事の渋澤温之、坊勢漁協竹中太作代表理事、兵庫県漁連突々淳専務理事、全漁連の内田珠一専務理事が参加し、4者が協定書に調印しました。このたびの協定締結により、坊勢漁協はパルシステムの15番目の水産産直提携産地となりました。
締結式では竹中代表が「近年の海の環境変化に伴い、底引き網や磯端の漁業が特に厳しくなっています。産直提携は、坊勢漁協にひとすじの光が見えた思いです。これからの浜の推進力となることを期待したい」とあいさつし、豊かな海づくりと水産業継続に向けた連携への期待を語りました。
渋澤は「小さな魚ばかりが獲れるなどの資源状況を目の当たりにしました。パルシステムは2009年、水産方針を策定し、海の環境保全のため水産業・漁業者と連携し『水産の産直』を進めてきました。水産資源減少の危機的状況を乗り越えていくため、協同組合間連携の力を発揮したい」とあいさつし、消費の力で地域づくりの一助を担うことへの抱負を述べました。
パルシステムでは現在、坊勢島から北東に20㎞の兵庫県漁連水産加工センター(姫路市白浜町)で加工される「兵庫県産いかなごくぎ煮」などを供給しています。今後は坊勢漁協で水揚げされた魚介類限定の商品開発なども視野に入れ、取引の拡大を予定します。産直提携の条件の1つである利用者と生産者の交流にも力を入れ、坊勢漁協の豊かな海づくりを目指す漁業への理解も深めていきます。
人工魚礁など“つくり育てる漁業”
瀬戸内海の家島諸島の1つである坊勢島は、人口の約7割が漁業に携わる水産業の島です。保有する漁船数は827隻で、単一漁港当たりの船籍数は日本一を誇ります。坊勢漁協では年間を通し80種以上の豊富な魚介の水揚げがあり、漁獲高も県内トップクラスです。
豊かな海に暮らしを支えられている坊勢漁協の人びとは、資源管理型の持続可能な水産業を重視します。最大で幅100メートル高さ25メートルの人工魚礁を海中に多数設置し藻場を作り、産卵場所として稚魚の成育を促しています。中間育成施設も設けてヒラメやカレイの稚魚を育て放流し、牡蠣や海苔などの養殖も盛んです。近海で漁獲したサバは、海上生簀で約40㎝前後に成長させ「ぼうぜ鯖」としてブランド化するなど、つくり育てる漁業に力を入れています。
これらの豊かな海をつくる漁業のようすは、見学船「第八ふじなみ」から間近に観察でき、稚魚の放流やサバの餌やりなどの漁業体験も可能です。水揚げされた魚介類は姫路港のJFぼうぜ姫路まえどれ市場で味わえ、現地を訪ねれば、坊勢漁協の豊かさを体感できます。
一方で、豊かな漁場を有する坊勢漁協も国内水産業の動向に違わず、漁業者の高齢化や原油価格高騰による操業影響などの課題を抱えています。気候変動や海水温上昇による漁獲量減少も心配され、将来にわたる漁業の継続のため対策が必要です。今回の産直提携により、水産品の取引をはじめ利用者が産地を訪れ地域への理解を深めることで、坊勢漁協の発展を後押ししていきます。
パルシステムはこれからも、利用者とともに日本の食を支える産地への理解を深め、持続可能な生産と消費を目指していきます。