「オーリア21・花咲農園公開確認会」を開催 農薬に頼らない環境保全型農業の先進地域 大潟村

2023年8月31日

パルシステムは8月29日(火)、30日(水)の両日、秋田県大潟村で「オーリア21・花咲農園公開確認会」を開催しました。化学合成農薬に頼らずつくっている産直米「エコ・秋田あきたこまち」を対象に生産者と消費者の二者が確認しました。

消費者や生産者など約110人が参加

公開確認会は、農産物の栽培方法や安全性への取り組みを組合員が直接確認するパルシステム独自の制度です。その時々の問題を課題化し、認識する機会でもあり、1999年からスタートしました。秋田県大潟村であきたこまちを生産するオーリア21と花咲農園での開催は、2007年以来16年ぶりとなりました。会場には、組合員、生産者、生協役職員、関係者など、現地参加・オンライン参加者含めて約110人が参加し、対象品目の「エコ・秋田あきたこまち」の栽培状況の確認だけでなく、将来展望や課題などについて意見交換しました。

農薬に頼らない米作り

秋田県大潟村は、八郎潟から水を抜く干拓事業によってできた地域です。1戸当たりの経営規模が10ha以上という稲作地帯で、湖底の肥沃な土を使った化学合成農薬に頼らない米作りを続けています。全国有数の環境保全型農業の先進地域です。
オーリア21と花咲農園はともに、田んぼで参加者が生きものと親しむ交流企画「田んぼの生きもの調査」に参加するなど、化学合成農薬を減らした米作りを積極的に推進しています。

29日(火)は、産地プレゼンテーションと、書類監査を実施しました。産地プレゼンテーションでは、オーリア21と花咲農園がそれぞれの活動を説明し、農業を通した環境負荷低減、消費者との交流について紹介しました。

オーリア21の工藤猛代表は、栽培面積増加によって、できるかぎり農薬使用を低減する環境保全型農業の負担が重くなっている現状や、それにともなって入会する若い世代も減っていることを今後の課題として説明しました。「干拓という自然に大きな負荷を与えて誕生した農地だからこそ、環境保全型農業は私たちの使命だと思っている。今後もさらなる発展・拡大、情報発信に努めていきたい」という熱いメッセージを語りました。
花咲農園の戸澤藤彦代表からは「高齢者の生涯現役も意識しながら、家族農業も成り立つ、大小合わせてみんなが残っていく農業経営をめざしたい。交流は産直の最も大事な柱である。作る人、消費する人、そして届ける人と協同しながら、環境保全にとどまらず、環境『創造』型農業を行っていきたい」とまっすぐに話しました。

写真左から花咲農園の戸澤藤彦代表、オーリア21の工藤猛代表

 

この日は、来賓として髙橋浩人・大潟村村長、JA大潟村・佐野潤専務理事があいさつしました。髙橋村長は、今年4月、全国1位の有機米の産地として「オーガニックビレッジ宣言」(※1)をしたことに触れ、今後も意欲を示しました。

※1 オーガニックビレッジとは、有機農業の生産から消費まで一貫し、農業者のみならず事業者や地域内外の住民を巻き込んだ地域ぐるみの取組を進める市町村のことを指します。農林水産省が旗を振り、先進的なモデル地区の創出、横展開を図っています。

組合員と生産者の代表からなる監査人が産地の帳票類を確認

 

翌30日(水)は、大潟村干拓記念館や産地を視察しました。「大潟村カントリーエレベータ公社」をはじめ、圃場や倉庫、主要農業機械を紹介しました。組合員からは活発に質問される場面があり、産地の現状について理解を深めているようすでした。

オーリア21・工藤代表の圃場を視察

 

視察終了後の監査人報告では「環境負荷を軽減した農業を行い、次世代につなぐ、を実践されており評価したい」「大潟村の発足から現在まで、農家戸数は8割近く維持されている。排水し続けねばならない干拓農地ならではの課題と向き合いながら、持続可能な地域づくりに期待したい」などの発言がありました。

大潟村は干拓農地で、圃場が大きく、整備がしっかりされている

 

●エコ・チャレンジ米
化学合成農薬、化学肥料を各都道府県で定められた慣行栽培基準の1/2以下に削減したもの。加えて、パルシステムの「削減目標農薬」の不使用を原則として栽培された米を指します。
エコ・秋田あきたこまち | パルシステムの商品

 

●オーリア21
「Ogatamura Relationship&Ecology Agricultural Association 21st.cent.」の略称。オーリア21は、生産者消費者提携による田畑輪環農業の確立と、リサイクル交流農業の構築を図り農業から環境と交流を創造することを目的として活動している生産者団体です。
オーリア21のサイトはこちら

 

●花咲農園
専業農家としての自主自立を目指し、環境負荷をできるだけ減らしながら、食べものという命の源を育てる技術者集団を目指しています。主力農作物はあきたこまち、メロン、にんにく、玉ねぎ、大豆など。大潟村の開拓精神を引き継いでいます。
花咲農園のサイトはこちら

パルシステムの米づくり
パルシステムでは、日本の米づくりがこれからも続いていくように「お米で超えてく」をテーマに活動しています。私たち全員が当事者として、これからどのように米づくりを考え行動すべきか、日本を代表する秋田の稲作地帯、大潟村の地とともに考えていきます。

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