パルシステム千葉の高齢者向け住宅 誰もがいきいきとくらせる地域の“居場所づくり”(社会貢献活動レポート|2023年5月)

2023年6月2日

にじいろぱる松戸六実「地域交流室」のあるサ高住

松戸市の六実六高台(むつみろっこうだい)地区に2021年にオープンした「にじいろぱる松戸六実」。パルシステム千葉が運営するパルシステムグループ初のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住(※))です。

にじいろぱる松戸六実

この施設の特徴のひとつは、その一角に「地域交流室」があること。一般的なサ高住にはあまり見られないこのスペースを設けた理由を、施設長の木村友秀さんは「介護現場はどうしても閉じた空間になりがち。ここで季節ごとの行事やイベントなどを行い、近隣の方々にも存在を知っていただくことで、地域に開かれた施設にしたかった」と話します。
コロナ禍で外部との交流がむずかしい時期が続きましたが、昨年11月には、地域の住民を対象とする体操教室が実現。サ高住の入居者も近隣から集まってきた人々といっしょに、認知症予防の体操を楽しみました。

2022年11月に「地域交流室」で開催された「『めぐり体操』@にじいろぱる松戸六実」の様子。同施設の入居者も含め約20名の地域の住民が参加

※介護機能を備えた高齢者向けの賃貸住宅。賃貸住宅の自由さと介護サポートの安心を備え、自宅のようにくらしながら充実したケアを受けられる施設として注目されています。「にじいろぱる松戸六実」では、一人ひとりのライフスタイルや生活習慣を尊重し、それまでのくらしをできるだけ継続できるような介護を実践。たとえば、パルシステムの組合員だった入居者は、希望すればそのまま利用を続けることも。各居室まで配達担当が注文品を届けています。また、生協らしく食べることを大切にし、パルシステムの産直米や季節の産直野菜などの食材を取り入れ、栄養バランスに配慮した、五感で楽しむ食事が提供されています。

食の安全・安心から老後の安全・安心へ守備範囲が拡大

急速な高齢化がとりざたされるなか、住み慣れた地域での自立したくらしを支えるため、全国の各生協が福祉事業に取り組み始めたのは1990年代末のこと。当時パルシステム千葉で配達を担当していた木村さんは、同生協で介護事業準備室が立ち上がった際、自ら手を挙げたと言います。「生協運動を中心的に担ってきた組合員が老後を迎え、生活面でのサポートが必要になっている状況を目の当たりにしました。そういう方たちの“あて”になりたいという思いが自然にわいたのです」

介護の仕事は未経験でしたが、はじめからとまどいはなかったそう。「生協の使命である“くらしの課題解決”という視点から考えれば、守備範囲が広がったにすぎません。配達をしているときも今も、その方らしいくらしを尊重し、個人としてきちんとかかわり合いたいという気持ちは同じです」と笑顔を見せます。

日常の変化を楽しめるよう、スタッフもさまざまなイベントを企画

 

行政や地域住民といっしょに誰もが孤立しない社会をめざす

一方、人と人が世代や属性を超えて「まるごとつながる」地域共生社会の構築を市政方針に掲げる松戸市。市内15地区で多様な主体(地域住民、市民活動団体、社会福祉法人、企業など)が参画する実行委員会を立ち上げ、住民の手による居場所づくりをすすめています。
パルシステム千葉は「にじいろぱる松戸六実」の創設をきっかけに、この地区の実行委員会にオブザーバーとして参加。先述した体操教室も、同委員会が主催する「巡回型居場所」の一環で開催されたものでした。

「地域交流室は事業的な利益を直接生み出す場所ではありませんが、ここがあることがパルシステムらしさ。今後も地域交流室を積極的に活用しながら、入居者も含め六実六高台地区にくらすみなさんにとって、介護や日々の生活における困りごとを気軽に相談できる存在となることをめざします」(木村さん)

地域活動の窓口担当より

六実六高台地区の「居場所づくり実行委員会」のなかには、フードバンクや子ども食堂などで連携しているメンバーもいて、パルシステムのさまざまな取り組みも高く評価していただいています。私たちだけではむずかしくても、地域で力を合わせれば解決に至る課題も多いはず。これからもアンテナを高く張り生の声を吸い上げながら、生協に寄せられる期待にこたえていきたいです。何らかの形で組合員も巻き込んでいけたらいいですね。
パルシステム千葉 組織運営本部 組合員・コミュニティ活動担当 主任 丸岡 真吾さん

*ページの内容は2023年5月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。