困窮する学生支援とフードロス削減をつなぐ。「お料理セット」で余った食材を学生食堂へ。(社会貢献活動レポート|2023年1月)
2023年1月23日
生協連のつながりをベースに山梨大学生協と初めて二者で連携
パルシステム山梨は2022年9月末に、「お料理セット」で余剰となった豚ヒレ肉とあげ麺を山梨大学生協に提供しました(※1)。それらは、10月の「食品ロス削減月間」に合わせて、3〜7日の5日間、大学生協の運営する食堂のメニューとして活用されました。
「コロナ禍で大学生もとても苦労していると聞いていました。以前から学生の支援ができないかと山梨大学生協と模索していたところ、今回やっと形にできました」。
こう話すのは、パルシステム山梨理事長の梅原隆子さんです。
同生協と山梨大学生協は、ともに「山梨県生協連」(※2)に所属。日頃から定例会や勉強会などを通じて交流、活動していました。しかし二者で連携してプロジェクトを行うのは、じつは今回が初めてとのこと。「県生協連の枠組みを超えて、より地域の課題に踏み込むきっかけになりました。まさに“超えてく”です(笑)(梅原理事長)
※1:複数商品を組み合わせて作られる「お料理セット」。扱う食材は肉や魚、野菜、めん、豆腐、調味料など多岐に渡る。その在庫調整は無駄が出ないように計画的に行われているが、包材や製造工場の変更等で使用できず、余剰品が出る場合がある。その際には「お料理セット」を担当するパルシステム連合会産直事業本部農産加工課から、同地域活動支援室を通じて「予備食材」として各単協へ情報を提供し、地域団体に活用してもらうしくみがつくられている。
※2:山梨県生協連
山梨県生活協同組合連合会。山梨県内で活動する5生協(パルシステム山梨、ユーコープ、生活クラブ、山梨大学生協、山梨県労働者共済生協)で組織される。
ボリュームメニューを安価に提供。5日間合計136食がすぐに完売
メニューは食材から大学生協が新たに考案。「ネギおろしヒレカツ」は250円、「あんかけかた焼きそば」は350円と通常より150〜250円程度安く提供されました。学生から「安くておなかがいっぱいになりうれしい」という声も多く、企画は大好評。
「山梨大学生協からは、いつでも受け入れます、という言葉をもらいました。一度実施したことで、食堂で必要な個数や連絡のタイミングなどがわかり、今後もスムーズに連携できる土壌をつくることができました。急な、量の多い余剰食材にも対応できる団体とつながることができたのはありがたいことです」と梅原理事長は言います。
「今回を機に、ほかの大学との連携も積極的に取り組みたいです。地元の生協がこんなことをやってくれたなと学生の記憶に残り、彼らが社会に出たときに、支援する側になってくれたらうれしいです」
パルシステム山梨の持つ資源で、地域団体を支えていきたい
同生協は「フードドライブ運動(※3)」などを通じて、フードバンク山梨や山梨県社会福祉協議会などの地域団体と関係を深めてきました。梅原理事長は、「山梨県は小さな県だからこそ、ネットワークが行き渡っており、情報もスムーズに伝わります。誰がどこで困っているのか、情報を持つ地域団体とつながり、私たちの資源でサポートしていきたいと思っています」と力強く語ります。たとえば、地域の支援団体には企業から多くの食材が寄付されますが、一度に大量の食材が寄せられると保管場所が課題に。食材の受け渡し場所として、同生協が配送センターの一角を貸し出すこともあるそうです。
「今回の学生支援もパルシステムグループの一員だからこそ、余剰食材を資源として活用できた」と梅原理事長。手元にある資源と、県内に築いたネットワークを活かして地域を支えるパルシステム山梨。その活動から、今後も目が離せません。
※3:フードドライブ運動
パルシステム山梨では2016年に取り組みを開始。年2回、組合員から家庭で眠る食品を集めて、フードバンク山梨に寄付している。
山梨大学生協より
長引くコロナ禍で、学生・保護者の収入が減少し、物価高騰も重なり、学生たちの「食」の優先度が下がりつつあると感じます。今回の取り組みで、安全な食材を使いながら、安価で栄養のある食事を提供できたことは、学生の食生活を支える一助になると感じました。食品ロス問題は通年のことなので、今後もぜひ継続して余剰食材を活用させていただき、学生に栄養たっぷりの、喜びを感じる食事を届けたいと思います。
山梨大学生活協同組合 4店舗全店統括店長 石倉 誉幸(もとなり)さん
*ページの内容は2023年1月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。