2021年度公開確認会報告会を開催 農畜産業でめざす地域の活性
2022年3月31日
パルシステム連合会は2月8日(火)、「公開確認会報告会」をオンラインで開催しました。2021年に公開確認会を開催した5企画(産地)について、生産者と消費者が産地の状況や課題を全体で共有し、理解を深め合いました。
新たなスタイルでの確認会を実施しました
公開確認会は、生産者と消費者の二者が産地で生産状況を確認するパルシステム独自の制度で1999年からスタートしました。
本報告会は、各産地で開催された公開確認会を、組合員と生産者それぞれの視点から振り返り、情報共有することを目的に実施しています。2020年度は新型コロナ感染症の影響で、公開確認会は中止を余儀なくされ、産地交流もオンラインを主体とした開催となりました。今年は2021年に開催した5企画(産地)について、生産者と組合員、それぞれの立場から12名がオンラインで報告しました。
5企画の報告を受けパルシステム連合会産直事業本部第1事業部長・那須豊は「昨年の中止を経て開催まで足かけ2年、今年度は監査人として全ての公開確認会に参加しました。本来ならば実際に産地へ行くべきところ、叶いませんでしたが、青果、お米、卵から牛乳まで幅広い開催ができました。二者認証という取り組みは他に類を見ない取り組みだと思います。22年度こそリアルで集まることを希望し、産地や会員生協のみなさんと協力して、農畜産業を地域発展に進化させ今後より良いものにしていきたい」とまとめました。
報告の概要は次の通りです。
佐久ゆうきの会(群馬)
監査品目:有機ズッキーニ
「ほ場や倉庫、集出荷場の中継が行われ、現地の空気感や雰囲気も良く伝わってきて大変充実した内容でした。監査人にならないとわからない農家のみなさんのご苦労や熱い思いに触れることができ、これまで以上に届いたお野菜が貴重なものに思えました。有機農業が身体と環境に良いものと改めて痛感し、人にも地球にもやさしい野菜を積極的に利用していきたいです。いつか有機農業が当たり前となるように広まることを望んでいます。パルシステムには利用だけでなく、有機農業の尊さ、素晴らしさをもっと発信していってほしいと思います」(監査人:パルシステム群馬・長井文子さん)
「確認会のオファーは5年前からいただいていて、20年は開催できず、今回の開催になりました。オンラインで行った確認会では事前に参加メンバーにズッキーニを送って少しでもリアリティを感じてもらえるように工夫しました。倉庫やほ場からライブ配信を行い、当初はどんなご意見をいただくか心配していましたが、むしろ応援してもらっていると感じました。始めた当初からの思いは変わらずこれからも会一丸となって真摯に取り組んでいきたいです」(佐久ゆうきの会 会長:吉田典生さん)
「佐久ゆうきの会」公開確認会を開催(パルシステム群馬リンク)
JAたじま(兵庫)
監査品目:コア・フード兵庫こしひかり(コウノトリ育むお米)
「監査人からの質問にJAたじまのみなさんが真摯に答えていただき、たくさんの準備をしてくださっているのがわかりました。オンラインだと組合員や監査人、JAたじま、生産者との十分な質疑応答が難しく交流が取りづらかったため、今後の交流の形が課題だと感じました。生産者からの『コウノトリと共生する風景のため、有機栽培には個々ではなく全体で取り組むことが大事』と語った言葉がとても印象に残りました」(監査人:パルシステム埼玉・國見淑香さん)
「当日は97名の参加がありました。確認会を開催して帳簿保管の大切さを改めて実感しました。安心感はもちろん、品質管理や作業の効率化にもつながります。記憶に残すだけではなく記録に残す大切さを改めて考えさせられました。令和2年にはパルシステムに推薦いただき『未来につながる持続可能な農業推進コンクール』で農林水産大臣賞を受賞することができました。高齢化や後継者の課題もありますが、今後は120tの供給量を目標にこれからも組合員のみなさんに選んでもらえる産地をめざしていきます」(JAたじま:住吉良太さん)
「JAたじま公開確認会」を開催 生命あふれるコウノトリ育む田んぼを確認
富良野青果センター(北海道)
監査品目:エコ・じゃがいも(男爵)
「北海道のスケールの大きい畑をオンラインでも実感できました。21年は夏季の異常な高温と長雨後の大干ばつにより栽培は大打撃をうけ収穫量が大幅に減り、今後当たり前となってきている異常気象や自然災害にどう立ち向かっていくのか課題だと感じました。産地の状況を理解し買い支えるためにも、産地の状況を伝え、支える仕組みの確立が必要です。そのためにもパルシステムからの発信力ももっと必要だと感じました。リスクもおいしさも分かち合える関係、それがパルシステムの産直の良さであると実感しています。次回は広大な大地に可憐なじゃがいもの花が咲きほこるようすを実際に見に行けることを楽しみにしています」(監査人:パルシステム東京・原田郁実さん、村島伊津子さん)
「当初の確認会はハイブリッドで予定していましたが、コロナ禍で止む無く完全オンラインとなり本当に残念でした。監査人の方々の目線は本当に鋭く、産地への興味、現状を知りたいといった気持ちが伝わってきました。農薬への関心度の高さもうかがえ、よりしっかりと管理していかなければと感じました。私達産地側も過去に遡り歴史や理念を再確認できた良い機会となりました」(富良野青果センター:岸本 和則さん、村上 洋巨さん)
「富良野青果センター」公開確認会を開催(パルシステム東京リンク)
菜の花エッグ(千葉)
監査品目:産直たまご(白玉)
「親鶏は鶏舎の中や卵を産む前から健康管理されていて、外気を取り入れできるだけ自然に近い飼育環境、非遺伝子組換のエサと、丁寧に愛情をもって育てられていることが印象に残りました。ポストハーベストフリーで非遺伝子組換えの安心安全なとうもろこしの飼料調達がどれだけ大変なことか、組合員のみなさんにも知ってもらいたいと思いました。今後は消費者が持続して購入できるシステムの強化が産地の課題の一つだと感じました」(監査人:パルシステム千葉・六谷美登里さん)
「2019年の二度の台風では鶏舎が倒壊し心も折れそうでしたが取引先のみなさん、社員に支えてもらい今日があると、本当に感謝しています。確認会では二者認証、産直四原則を改めて確認できました。パルシステムの2030ビジョンのひとつにもある、『わかりあう』ことの重要性、多様性が大事だと感じています。産直たまごが届くまでに何を食べて育ち、どのように届くのかその過程をもっと知ってもらいファンになってもらいたい。どう伝えていくか責任を果たす必要があると思っています」(菜の花エッグ:梅原 正一さん)
産直いばらき うまがっぺ牛乳協議会(茨城)
監査品目:酪農家の牛乳
「確認会では、牛舎の中継とともに、生まれた直後の仔牛を見ることができました。雪印の前身で日本の酪農の父・黒澤酉蔵が唱えた『健土健民』の思想は雪印の創業の精神にもなっていて、パルシステムの心・理念と共通するところがあると感じました。安心安全な牛乳が出来上がるには膨大な工程があること、生産者とメーカーみんなで作り上げていることが良くわかりました。これからも『酪農家の牛乳』を飲み続けることで組合員とともに未来を支えていきたいと思いました」(監査人:パルシステム茨城栃木・木下 正江さん)
「今回の確認会は2019年から打ち合わせが始まり、今年の開催にいたるまでイメージがわかずに不安でしたが、当日はクーラーステーションや牧場からの実況中継、製品出荷、トレース帳簿確認までオンラインで実施することができ、好評価をいただけて良かったです。これからもおいしく、安心安全な牛乳を届けられるよう努力していきます」(雪印メグミルク株式会社:池田雅洋さん)