千葉県内の協同組合が連携 大学生1000人分の食料支援(社会貢献活動レポート|2021年7月)
2021年8月2日
アルバイトや仕送りが減り、食費にこと欠く学生も
かねてから生活困窮者への支援活動に取り組んできたパルシステムグループ。コロナ禍で、これまで以上にきめ細かな支援が求められているなか、パルシステム千葉が千葉県協同組合提携推進協議会の一員として、他の協同組合と連携して行っているのが、大学生への食料支援です。
今年3月、千葉大学西千葉キャンパスで、アルバイト収入が減ったり仕送りが滞ったりなど経済的に困窮している学生に向けて、約1000人分の食料を無償で配付。この7月には第2回が予定されています(原稿作成は6月30日)。
「協議会では、以前から協同組合フェスティバルなどをいっしょに開催してきましたが、今回は直接の担当者だけでなく、日ごろフードドライブや生活困窮者への支援活動に携わっているメンバーも結集しました」と話すのは、パルシステム千葉の丸岡真吾さん。同生協の担当者として、支援活動の実務を担ったひとりです。
「千葉県の協同組合など9つの団体が連携したのは画期的なことでした」と丸岡さんは語ります。
事前の会議や呼びかけはすべてオンライン
最初の実行委員会は今年の1月。時節柄、会議はすべてオンラインで行われましたが、目的意識が一致していたのに加え、これまでも交流や協働経験があったことなどから、準備を進める際に支障はなかったそうです。
一方、受け入れ先を決める大学との協議では、思いがけない反応も。
「外部の人間が学内に入ることへ、抵抗を感じる大学もあるだろうと予想していましたが、『そもそも支援が必要ない』という大学もあり、認識の違いに少し戸惑いました」
そのなかで提案を積極的に受け入れた千葉大学では、ポータルサイトの掲示板などで希望者を募集。ひとりぐらしの学生などを中心に、900名を超える申し込みが寄せられました。
3月に行われた支援活動では、パルシステム千葉は、(パルシステムの)PB商品『スパゲッティ(1.6㎜)』1kgを提供。新型コロナ感染予防のため、1時間ごとに人数を区切り、基本的に手渡しなし・会話も最低限と、注意が払われました。
提供した品一覧
品目 | 数量 | 提供団体名 |
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千葉県産米「粒すけ」(2㎏) | 1袋 | JAグループ千葉 |
いわし味付缶 | 2缶 | 千葉県漁業協同組合連合会 |
カップ麺 | 1個 | 千葉県森林組合連合会 |
『スパゲッティ(1.6㎜)』1㎏ | 1袋 | パルシステム千葉 |
COクリーミーボロネーゼ、COカルボナーラ | 各1個 | 生活協同組合コープみらい |
ノンカップ麺詰め合わせ(5種) | 1セット | 生活クラブ生活協同組合 |
野菜ごろごろのビーフカレー | 2袋 | なのはな生活協同組合 千葉県生活協同組合連合会 |
コカ・コーラ | 1本 | フードバンクちば |
上記のほか、必要な人へはトートバッグ、水(500ml)がJAグループ千葉から提供されました。
組合員だけでなく、地域の課題解決にも貢献を
3月の受け渡し当日を振り返り、「深々とおじきをして感謝の言葉を口にする学生の姿が印象的でした」と丸岡さん。
「アンケートに『相互扶助のしくみに興味が湧きました』と書いてくれた学生もいました。日ごろから協同組合の認知度を高めたいと活動してきましたが、その思いが伝わったようでうれしかったですね」(※)
丸岡さん自身、以前は、組合員に貢献することを第一に職務に励んでいましたが、今は「地域社会をよりよくしていく」という視点でも仕事をとらえるようになったそう。今回の「大学生への食料支援」をきっかけに組織間の連携がさらに深まれば、と期待をふくらませています。
「地域の課題は複雑で、とても一生協だけで解決できるものではありません。地域に根ざす組織が互いに情報や資源を共有し合い、結果的に必要とされているところに支援の手が届く。そうした流れをつくっていきたいですね」
※アンケートでは生活で困っていることを尋ねる設問もあり、回答から困窮している大学生の実情が明らかになった。(以下、回答の一部を抜粋)
・飲食店のアルバイトが完全になくなり、賄いもなくなったため食事用の支出は増えてしまった。
・父親の失職、自身を含む家族全員のアルバイト減少にともない、生活費に困っています。
・アルバイト先が時短要請に応じているため、週一回3時間しか働けていません。
・今まで学食で安く済ませていた食費が自炊によって増加し困っている。
支援活動の窓口となった 千葉県生活協同組合連合会より
千葉県協同組合提携推進協議会は、組合員の生活の向上や共同組合の理解促進を目的に活動を続けています。今回の活動では、学生からアンケ-トなどでたくさんの声を聴いたことから貧困、格差の問題や留学生の現状など様々な課題が見えてきました。今回、協同組合が連携することによって、たくさんの応援が実現できました。今後も同じ協同組合が力を合わせて、誰もが安心してくらせる社会を目指したいと思います。
千葉県生活協同組合連合会 佐久間 実さん
*ページの内容は2021年7月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。