「コア・フード」「エコ・チャレンジ」シンポジウムを開催 持続可能な農業と環境を未来へ

2021年7月21日

パルシステムの米と青果には、「コア・フード」「エコ・チャレンジ」という独自の栽培基準があります。人体や環境への影響が大きい化学合成農薬を避け、化学肥料の削減を通して健康な土づくりを進めることで、持続可能な農業をめざしています。7月13日(火)、現状と課題を共有するためのシンポジウムを、産直委員会主催でオンライン開催しました。組合員、役職員など180名が参加しました。

パルシステムの「コア・フード」「エコ・チャレンジ」

コア・フード
有機JAS認証を取得した農産物(※)で、パルシステムのトップブランド。2020年産までのコア・フード米は、有機JAS認証に準ずると判断されたものも含みます。

※有機JAS認証での使用可能資材を除き、化学合成農薬、化学肥料不使用。

エコ・チャレンジ
化学合成農薬、化学肥料を各都道府県で定められた慣行栽培基準の1/2以下に削減。加えて、パルシステムの「削減目標農薬」の不使用を原則とします。

※青果は、除草剤、土壌くん蒸剤不使用。

パルシステムの環境保全型・資源循環型農業は、米と青果で300以上の産地と産直協定書を締結し、栽培履歴の徹底や農薬の削減、また交流を原則とするなどの特徴があります。冒頭、産直事業本部が利用状況などを報告し、2020年度、「コア・フード」栽培米・青果の受注は対前年比141%と急増。「エコ・チャレンジ」も106%と伸張しています。双方の利用率は合わせて32%で、2025年までに50%を目標とすることを掲げました。

昨年は「コア・フード」「エコ・チャレンジ」商品のみを掲載したカタログ『ecore(エコレ)』を創刊し、組合員のみなさんへ、よりわかりやすく選びやすい情報提供に努めています。

生産者が語る、環境保全型農業のいま

生産者を代表し、青木等さん(新潟県・JAささかみ/米)、山下一樹さん(長野県・アップルファームさみず/りんご)、澤村輝彦さん(熊本県・水俣不知火ネットワーク/柑橘類・トマトなど)が登壇し、各産地の取り組みと課題について報告・意見交換しました。

左上から時計回りに、青木さん、山下さん、産直事業本部・島田、澤村さん

青木等さん(新潟県・JAささかみ/米)

「親の跡を継いで米づくりを始めた当初、組合員から栽培履歴やこだわりについて質問されたのですが説明できませんでした。それがきっかけで、コア・フードへ挑戦することに。農業は人や自分と向き合う仕事です。交流することで、何が求められているか理解できます。除草剤を使わずにいると、逆に地域で浮いてしまうような状況を変えられるよう、有機農業の注目度を高めていきたい。高齢化の影響もあり農家戸数が減ってきていますが、それはどの産地も同じ。各産地が課題をオープンにし、みなで解決していく必要を感じています」

山下一樹さん(長野県・アップルファームさみず/りんご)

「りんご農家に生まれ、自分も子どもたちも、畑の中で育っています。安心な環境であるために、農薬や化学肥料に頼らない“健全な”土づくりが大事。それには人手や生産コストがかかり、長雨などの異常気象が常態化しているなかで、厳しいのは事実です。地域ではもちろん後継者不足が深刻です。そうした状況で生産活動をする我々と生協は、対等なパートナーであると思っています。品質は大前提ですが、産地の取り組みや思いを共有してくれます。未来をともに作っていくことを意識できる、共同体のように感じています」

澤村輝彦さん(熊本県・水俣不知火ネットワーク/柑橘類・トマトなど)

「水俣病の際に地域支援に入った人と知り合い、有機農業を始めました。20年以上かけて、ようやく最近、落ち着いてきたような状況ですが、その背景にはずっと買い支えてくれた生協職員や組合員・消費者のみなさんがいました。有機農業は、難し過ぎる挑戦ではありません。それを証明するため、余すところなく技術を公開し、新規就農者の育成に力を注いでいます。とはいえ、有機農業に理解を示す農業者はまだまだ少ない。パルシステムは会議がとても多いのですが(笑)、それも日本の食の未来を考えている人が多く集うからこそ。消費者が農家を動かすのではと期待させてくれます」

参加者からは「耕作放棄地や農薬を多投した土地でも有機栽培ができるのか」といった質問などが上がり、「どこでもできます。大体2年もすれば土地が変わります。欲張らないで自然の摂理に任せれば失敗しません」と澤村さん。それを受けて、有機農業を各地に広めていくためにも「自治体への働きかけが必要」「危険成分の情報などが、生産者に直接届く仕組みづくりを」といった意見が上がりました。

パートナーとして農をめぐる課題を解決したい

山下さんは「『コア・フード』『エコ・チャレンジ』はただの表現でなく、それぞれの生産者の思いが含まれています。組合員のみなさんから、ほんとうに『コア・フード』『エコ・チャレンジ』求められているのであれば、購買で支持、応援してもらいたい。それに応えるため、より互いの思いが通うしくみを模索しながら、一緒に次の産地の未来を創り上げていきたいです」と話し、会をまとめました。

コーディネーターを務めた産直事業本部長の島田朝彰は「土づくり、健全な栽培、後継者、遊休農地の活用が課題であり、評価された価格で流通することや、行政も含めた地域における有機農業の広がりをつくることが求められます。これからも生産者の良きパートナーとして認められるよう、今後の方針を練り上げていければ」と語り、今後を展望しました。

パルシステムの産直