大規模災害復興、持続可能な地域社会づくりに貢献 「地域づくり基金」助成団体報告会を開催

2019年10月3日

パルシステム連合会は、9月16日(月)、東京・新宿区の東新宿本部で「地域づくり基金」助成団体報告会を開催。6団体が代表で基金活用の事例や取り組みについて発表しました。

2013年に設立された「地域づくり基金」は、パルシステムと関連のある様々な団体に対し、大規模災害や持続可能な地域社会づくりに貢献することを目的に助成する制度です。2017年度は公募した23団体へ総額15,893,501円を助成。今回はそのなかの6団体が活動内容や助成の成果を発表しました(2団体は動画報告)。

発表に先立ちパルシステム連合会理事長・大信政一が「会員生協との連携を深めている団体の報告を全体で共有したい。今日は今年度の申し込み団体の方もご参加いただいているので、基金を活用した取り組みの参考にしていただければ」とあいさつしました。

発表にあたりフードバンク千葉から、9月9日の台風被害で南房総市からの依頼に応じて、パルシステム千葉から2リットルの水3600本を即刻届けられたことや炊き出しの協力などに対し、感謝の言葉がありました。

「地域づくり基金」運営委員会・青木恭代委員長(パルシステム茨城 栃木理事長)は、「現在2019年度の助成申請を受付中ですが、今後も多くの団体と会員生協との連携が発展することを願います」と報告会を締めくくりました。

発表の概要は以下のとおりです。

NPO法人ザ・ピープル(福島県)(動画報告)

<助成事業>フードバンク事業転換に伴う水道施設整備

3.11復興支援ボランティアセンターとして、女性の力で地域の人たちと交わりながら社会貢献できないかと考え衣類支援を続けてきたなかで、生活困窮者の実態にふれフードバンク事業も開始。今日明日食べるものがないという方から依頼もある。助成金は事務所敷地内の上下水道設備やトイレなどの設置に。パルシステム福島では、組合員にフードドライブを呼びかけ、食品を集めて提供している。

 

NPO法人Annakaひだまりマルシェ(群馬県)

<助成事業>県内での甲状腺エコー検査事業

東日本大震災を契機に群馬県内で持続可能な社会のためにできることを日々模索し、甲状腺検査を実施。他にも、認知されていない放射能汚染の重点調査地域の存在の広報、放射能から子どもを守れなかったと悩み続け孤立している母親への心のケアなど、様々な活動に取り組む。助成金は検査の開催費用と広報費に活用。パルシステム群馬では検査場所として配送センターなどの提供や、当日の運営の手伝いも行っている。

甲状腺の検査中

フードバンクちば(千葉県)

<助成事業>生活困窮者へのフードバンク事業

支援が行き届かず緊急度が高い個人へ、即対応できるつなぎとしての一時支援に力を入れている。昨年から、経済的な厳しさや家庭に問題を抱える県内の定時制高校生徒の生活支援を実施。近隣支援機関や他のフードバンクとも連携している。助成金は支援物資の宅配費用に。パルシステム千葉では、組合員にフードドライブを呼びかけて集めた商品の提供や、フードバンクちばの組織の持続に関する検討会議にもかかわる。

組合員から集めた商品

310食堂実行委員会(茨城県)

<助成事業>地域の無料学習支援事業

地域の商店街やNPOと連携して開催する、地域の居場所「310食堂」は、パルシステム茨城 栃木も食材の提供などで協力。その取り組みを子どもの居場所「Study Room310」に発展させ、学習支援を実施。空き店舗を改修した新規拠点「マチノイズミ」では、地域の大学生と協働した支援を行う。助成金は学習支援の拠点作りのための備品購入などに使用。

パルシステム茨城 栃木の「葵」にて

NPO法人ぷかぷか(神奈川県)

<助成事業>障がいがある人との演劇ワークショップ

地域の人たちと芝居作りを行い、関係を深めている。月1回のワークショップを6カ月間重ねて舞台で発表。芝居を観たら一目で、障がい者もいっしょに生きる理由や「共生社会」の意味がわかると言う。「いっしょがいい」という事実を積み上げ、それで社会は豊かになれるという新しい文化を作っている。助成金で演劇ワークショップの記録映画を制作。

ワークショップのようす

地域社会を豊かに耕す 就労支援の場「NPO法人ぷかぷか」

波伝の森山学校合同会社(宮城県)(動画報告)

<助成事業>自伐型林業の木材活用のための商品開発

東日本大震災の復興支援の取り組みの一つとしてパルシステム茨城 栃木、南三陸町と連携し、一次産業従事者と組合員との体験交流を実施。同団体は南三陸の豊かな森林資源の活用による地域資源の循環をめざし、森林整備、地域の伝統工法の技術伝承と事業開発、自伐型林業を実施している。助成金は南三陸杉の建材加工等に使用され、地域経済の循環にも寄与している。

「地域づくり基金」はこれからも、パルシステムの各生協とともに地域に根ざした団体の取り組みを応援していきます。

2019年度「地域づくり基金」助成団体募集

※310食堂実行委員会(茨城県)の紹介文について、一部表現を修正しました(2019年10月4日更新)