PB「恩納もずく」の産地・恩納村漁協が快挙 非研究者では「初」 サンゴ保全で論文賞
2018年12月12日
パルシステムの商品「恩納もずく」を生産する沖縄県・恩納村漁業協同組合(以下、恩納村漁協)参事の比嘉義視(ひが・よしみ)さんを中心とする研究チームが執筆した論文「漁協によるサンゴ再生の取り組み〜沖縄県恩納村での事例〜」(日本サンゴ礁学会誌、2017年)が、11月に行われた同学会の論文賞を受賞しました。本賞において、筆頭論文執筆者を「非研究者」が務めた受賞は、初めてとなります。
漁協の取り組みに県や学術機関が参加
恩納村漁協では「サンゴひび建て式」と呼ばれる国内初の養殖法を1998年より開始しました。「サンゴひび建て式」とは、海底に打ち込んだ杭の上にサンゴを乗せて養殖する手法をいいます。他と比較して大規模な養殖が可能であり、また複雑な機材を必要としないのが特徴で、2017年3月までに約2万4千体の養殖に成功しています。
比嘉さんら恩納村漁協の取り組みに県や学術機関が加わった研究チームは、2016年夏の大規模な白化現象の際にも「サンゴひび建て式」で養殖したサンゴの生存率が高かったことを示し、この手法の有効性を実証しました。また約2万4千群体のサンゴの産卵数が年間約57億個、そのサンゴをすみかとする魚が約67万匹いたとの推定値を算出し、養殖しているサンゴの遺伝子型も検証しています。学会は「サンゴ礁保全の観点から見て、今後の白化対策につながる重要な情報を、遺伝子レベルで示した意義は大きい」、「生存率が高い手法の紹介でもあり、サンゴ礁保全において、重要で、かつ、将来性に期待が持てる取り組み」、「簡単な手法だが、大きな成功を収め、今や世界的に注目されている」と高評しています。
受賞を受けて、比嘉さんから「2000年代後半には、地球上からサンゴが死滅してしまうとの予測もあります。人の手でもサンゴが育てられれば、将来にわたって海の生態系を維持することに希望が持てます。組合員のみなさんとのつながりで、これからも美しい海を育んでいければ」とコメントが寄せられています。
サンゴを植えて8年で累計9,300本
パルシステム生活協同組合連合会は2009年に沖縄県・恩納村と恩納村漁業協同組合、もずく加工メーカーの(株)井ゲタ竹内とともに「恩納村美(ちゅ)ら海産直協議会」を設立しました。もずくを中心とした産直活動を通じて、恩納村漁協がすすめている「里海づくり」に一緒に取り組んでいます。また、サンゴの苗づくり体験や生産者との交流などが行える恩納村漁協との産地交流も実施しています。
「恩納もずく」は、産地の恩納村漁協、もずく加工メーカーの(株)井ゲタ竹内と協力して商品化したパルシステムのオリジナル商品です。これまで利用代金の一部をサンゴの植え付けの費用に充て、2018年3月末現在で累計9,300本にも達しました。この取り組みは高く評価され、2016年9月には「全国豊かな海づくり大会」環境保全部門で環境大臣賞を受賞しました。
第36回全国豊かな海づくり大会で環境大臣賞を受賞 作る、食べる、ともに育む「里海づくり」が評価
取り組みを始めてから8年。昨年も産卵が確認されています
▽沖縄の豊かな海を取り戻す 『恩納もずく』でサンゴの森づくり 生協の宅配パルシステム(動画)