「JA会津よつば公開確認会」を開催 安全でおいしい米を食卓へ

2018年9月26日

パルシステム連合会は8月20日(月)、21日(火)の両日、福島県喜多方市で「JA会津よつば公開確認会」を開催しました。エコ・会津こしひかりを対象品目に、育成方法や生産現場を生産者と消費者の二者が確認しました。

初の開催に100名が参加

公開確認会は、生産者と消費者の二者が産地で生産状況を確認するパルシステム独自の制度で1999年からスタートしました。2010年度からは、会員生協主催による開催も始まっています。これまで農産品の産地を中心に延べ132回にわたって催されています。

「JA会津よつば(以下、会津よつば)公開確認会」は、生活協同組合パルシステム福島(以下、パルシステム福島)主催で2日間にわたり、いいでJA会館で開催しました。事前の講習会を修了した監査人と組合員、生協役職員、関係者など100名が参加し、監査品目の「エコ・会津こしひかり」の生育状況などについて確認しました。20日(月)に事前監査、21日(火)に本会が催されました。

「エコ・会津こしひかり」の産直産地

開会にあたっては、会津よつばの長谷川正市専務理事から「猛暑による水不足が心配されていますが、生産者は美味しい米を作ろうと頑張っています。東京電力福島第一原子力発電所事故以来、福島県産の米・青果および畜産は、風評被害の影響を受けています。その影響に負けない産地育成に努めていきます」とあいさつがありました。

パルシステム福島の高野祐子理事長は会津よつばとの交流について「いわき市民生協(当時)は2006年にパルシステムに加盟しましたが、その時はまだ福島県の米産地がありませんでした。そこで『福島県産の米を扱ってほしい』と連合会に依頼し、JA会津いいで(当時)との付き合いが始まりました。会津よつばは、安全・安心な米づくりに取り組んでいます。会津こしひかりは美味しいので、この機会に首都圏でも認知が広がることを期待します」と話しました。

今回の公開確認会では、環境保全型農業に取り組んできた会津よつばの生産状況を、消費者である組合員が現地で点検することで、評価や改善を共有し、次につなげていく狙いがあります。

生産者・辰野さんがほ場管理について説明

生産者を代表して辰野博幸さんが自身の経営規模、米づくりを始めた経緯、栽培の特徴、これからの抱負について発表しました。質疑応答では、風評被害に関する質問があり、長谷川専務から「ある関東の都市では、福島県産の米・青果および畜産物は、児童の父兄から反対があるので学校給食で扱わない、と言われました。畜産でも他県産と比較して選ばれにくくなり、福島県産の肉を扱う店が少なくなってしまいました。特に関西ではその傾向が顕著です。私たちはデータを示していくしかありません」と回答があり、いまだ深刻な状況であることがわかりました。

21日(火)の午後は施設やほ場、作業場の見学が行なわれました。辰野さんの作業場は、整理整頓が行き届いており、他の米産地の方から「こんなきれいな作業場はみたことがない」という言葉が聞かれるほどでした。

監査所見の発表では「JA職員が生産者に寄り添っている姿がよく見て取れ、営農指導の大切さを改めて知りました」、「決まられた場所で農機具を洗い、農薬を洗った際に出る排水が作業場の外に出ないように工夫されていることに驚きました」「福島第一原発の状況は、情報が開示されにくい不信感があるので、放射能検査を継続してほしいです」などの所見がありました。

JAの米貯蔵庫も確認

安心はもちろん、さらに食味アップも

生産者・消費者協議会(生消協)幹事の戸澤藤彦さん(秋田・花咲農園)は「近年のJA合併により、地形に関係なく単一の栽培暦(作物ごとにいつ、どんな作業をすればよいかをまとめたもの)になることもあるようですが、辰野さんはご自身で栽培暦を作成されているので安心しました。今後は生消協の会議に生産者の方も参加していただけるとうれしいですし、JAでも検討いただければと思います」。

パルシステム連合会・産直部長の江川淳からは「辰野さんがISO9001に沿ってマニュアルを作成されていることにたいへん驚きました。パルシステム向けの出荷が多いことから、今後は交流の受け皿になるよう、組合員との交流を図ってもらいたいと思います」とまとめました。

監査所見を受けて、会津よつばの十二村秀孝係長は「取り組みのすみずみまで見ていただき、またはげましの言葉をいただきありがとうございます。ご指摘いただいた点はJA内で共有して協議していきたいと思います」と返しました。辰野さんが所属する有機の里栽培グループ・大八木孝会長からは「安全・安心はもちろん、今後は食味をレベルアップしていきたい」と受け止めを述べ、拍手で閉会しました。

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