就業体験通じ就職活動に生かせ! パルシステムはインターンシップ生を受け入れています(社会貢献活動レポート|2008年12月)

2008年12月1日

パルシステムでは、毎年8月の夏休み期間に学生のインターンシップを受け入れています。インターンシップとは、学生が一定期間企業などで研修生として働き、自分の将来に関連のある就業体験を行える制度です。大学生の場合、就職後のミスマッチを防ぐ目的もあります。パルシステムは2006年から本格的な受け入れを開始し、3年目となる2008年は大幅にプログラムを変更しました。それが功を奏してか2週間の研修期間を終えた学生からは「インターンシップ生のためのプログラムをつくってくれてうれしかったです」「生協と組合員、生産者との関係がよくわかりました」などの感想が寄せられています。「インターンシップを通じて研修生がひとりでも多く、就職先のひとつとしてパルシステムを考えてくれれば」と、事務局として携わった人事部の横山玄多さんは受け入れの意図を語ります。

ディスカッションする学生たち

パルシステム連合会
人事部の横山玄多さん

幅広く体験してもらうことで
組織全体の活動へ理解を促す

2008年8月11日から22日まで行われたインターンシップでは、関東近郊の6大学から12名の学生を受け入れました。プログラムは、連合会本部でのオリエンテーションに始まり、連合会でのデスクワーク、会員生協での配送、営業車両同乗、産地での交流イベント運営補助など幅広く用意しました。「学生にとっては、デスクワークで同じ仕事を2週間体験するだけでも参考になるとは思います。でも、それだけではパルシステムが何をしている組織なのか理解してもらえないと考えました」と、横山さんは説明します。

たしかに、仮に看板商品のあるメーカーを訪れたなら、その企業がどんな活動をしているのか想像しやすいかもしれません。「でも、パルシステムは活動の幅が広く、1カ所で就業体験してもどんな組織なのかわかりにくいはずです。せっかく研修に来てくれるなら少しでもパルシステムを知ってほしい、できれば就職の志望先として選んでほしい、そんな狙いから今回、プログラムを見直すことにしました」(横山さん)。

2006年、2007年に実施したインターンシッププログラムは、産地と物流センター、商品検査センターを見学し、配送車両に同乗するという商品供給の流れに沿ったものでした。そのため、研修は見学に費やす時間が多くを占め、本来のインターンシップの意味からややかけ離れてしまっていました。「インターンシップ=デスクワークというイメージを抱きがちな学生からは、想像とはまったく異なる内容だったかもしれませんね」と、横山さんは話します。

ささかみの産地ツアー同行
反応は「大正解でした」

そこで2008年は、まずオリエンテーションで生協やパルシステムの概要について解説することにしました。なかには、パルシステムどころか生協がどんな組織かも知らない学生も参加します。そのため解説では、英国ロッチデールから始まった協同組合の歴史から、国内の生協運動と意義、パルシステムの活動内容まで、生協に関するさまざまな分野についてレクチャーしました。座学でスタートラインをそろえることから始め、そのあと実践活動を体験することで理解を深めてもらおうという狙いです。

2日目以降は、パルシステムでの仕事を体験する内容としました。茗荷谷の連合会本部や会員生協の配送センター、営業所にて、実際の業務を体験しました。なかには営業で同乗中、大雨に降られた研修生もいたようです。2週目には、新潟県阿賀野市のJAささかみで開催された産地交流「産地へ行こう。『ささかみサマーキャンプ』」にアシスタントとして同行しました。「メインとして動いてもらう仕事はなかったのですが、仕事という意識を持たせることで組合員や生産者、職員と会話できるようにしました。いろんな社会人と出会い、話すことでもっと広い社会をみつめることができるはずですから」(横山さん)。

JAささかみで開催された産地交流「産地へ行こう。
『ささかみサマーキャンプ』」にて

レポートを見ても、多くの研修生にとってもっとも印象に残ったのが、このサマーキャンプだったようです。研修生からは「組合員や生産者に、就職活動から将来の結婚後の人生設計まで相談してしまいました」「これまで子どもとかかわったことがなかったのですが、一緒に泥まみれになるまで遊んで子どもが好きになりました」など、横山さんたち事務局側の狙いどおり、交流が図られたようです。なかには組合員の方と連絡先を交換した研修生も少なくなかったとか。「その意味でも産直交流は大正解でした」と横山さんは振り返ります。

最終日のディベートテーマは
「パルシステムは必要か」

そして最終日、研修生はこれまでの振り返りとまとめを兼ねたディベートを行いました。テーマは「パルシステムは必要か?」。研修生たちはこれまでの体験を踏まえ、「必要派」「不要派」の2グループに分かれて討論しました。必要派は、食品の安全性に対する取り組みや生産者支援、食育活動などを理由に挙げれば、不要派が価格や余剰生産物などの対策について指摘し反論するなど、事務局も予想していなかったほど鋭いものでした。「不要派からの指摘には、胸を突かれる点も少なくありませんでしたが、反面、彼らがパルシステムについてとても真剣に学んでくれたことを実感できました。あの瞬間は準備に費やした苦労も吹っ飛びましたね」と横山さんは述懐します。

ディベートを終えた学生の感想も「産地交流に参加できたからこそ、自分の考えが話せたと思います」「議論することで、また少し知識を深めることができました。パルシステムや日本の農業についてもっと学びたいです」など、意欲的な発言が続きました。

力強い手ごたえ感じた2週間
さらに見えてきた改善点も

連合会人事部では、来年以降もインターンシップの受け入れを継続していく方針です。「今回のプログラムが研修生から好評だったので、これをベースに来年もプログラムを組み立てていこうと考えています」(横山さん)。課題は、学生が希望する業務体験を日程にどう組み入れるか。「会員生協で2日間、連合会本部で半日だけ体験してもらったのですが、『ほかの事業部を』『できればもう少し期間を長めに』という要望が少なくありませんでした。日程的に厳しい部分もあるのですが、なんとか実現したいですね」。

これまで、パルシステムのインターンシップに参加した学生がパルシステムグループに入協したことは、残念ながらありませんでした。でも横山さんは、今年のインターンシップに手ごたえを感じています。「参加した学生にとっては、当初抱いていたイメージと異なる内容だったかもしれませんが、仕事をすることやパルシステムの活動内容を知るという本来の意味では、今年のプログラムは満足できるものだったと感じています」。

研修後のアンケートには、新卒採用情報の配信を申し込む欄がありました。研修生全員が申し込んだことに、もう成果のきざしは表れているのではないでしょうか。

研修終了後、参加者みんなで

*本ページの内容は2008年12月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。