“ポイントカンパ”で飢えのない世界へ パルシステムはバングラデシュの有機農業普及を支援しています(社会貢献活動レポート|2008年11月)
2008年11月1日
パルシステムがバングラデシュでの有機農業普及にひと役買っていることをご存じですか。商品を利用し貯まったポイントを組合員に寄付してもらい、2008年から2年の計画で有機農業センター建設を支援しています。バングラデシュでは、化学肥料や農薬の購入が家計を圧迫し、食べる野菜すら確保が難しいのが現状です。そこで、当地の自立を支援するHFW(ハンガー・フリー・ワールド)では、それらを購入しないで農産物を生産できる有機農業を広めています。2005年にオープンした第1号の研修センターでは、持続可能な農業に関する情報基地として全国の注目を集めつつあります。パルシステムは、2カ所目となる有機農業センターを2年がかりで支援することになりました。その意義と役割について、HFWの西岡はるなさんに話をうかがいました。
12月にも第3回の募集を開始
2010年の完成に向け協力を!
パルシステムはポイント振り替えによる社会貢献活動を行っています。北海道の野付の海を守る植樹運動のほか、過去には三宅島の復興支援や「埼玉県百年の森を守る会」の活動支援、スリランカ森林再生支援などに多くのカンパが寄せられ、環境保全や地域復興へ役立てられてきました。
12月2回(申込期間:12月1日~12月5日)にも、ポイント振り替えによるバングラデシュの有機農業センター建設プロジェクトの活動支援カンパを実施します。これまでも8月、10月の2回にわたってカンパを募り、合計で1,474,800円お寄せいただいています。「バングラデシュで広げようとしている有機農業は、化学肥料の購入すらままならない困窮状態から脱却しようという活動。少しでも多くの賛同をお願いします」(西岡さん)。
化学肥料の購入費が家計を圧迫
生産者の生活のための有機農業
そもそもバングラデシュとはどんな国でしょうか。インドの東側に位置し、北海道の約2倍の面積に1億5千万人もの人口を抱えています。かつては「東パキスタン」と呼ばれパキスタンの一部でしたが、1971年に独立しました。ガンジス川流域に肥沃な土地を持っていますが、歴史的な背景によるインフラの未発達や人口密度の高さなどからアジアのなかでもっとも貧困な国のひとつともいわれています。
国民性は遠慮がちで、にもかかわらず好奇心はおう盛だとか。「観光客が少ないためか、街中でも私のような東アジア系の人間は、目を見開いてじいっと見つめられます。カメラを向けるとさらに視線が集まります。でも、親しくなるととても親身で、滞在時には職員の家族のことまで心配してくれるほどでした」と西岡さんは話します。
そんなバングラデシュで西岡さんをはじめとするHFWは、有機農業の研修センター建設を通じて地域の自立を支援しています。「生産者は化学肥料や農薬の購入すら困窮している状態。ならば有機農業にチャレンジしようというのが、センター建設の目的です」。
バングラデシュの農業は日本と同様、比較的狭い土地を耕し、化学肥料や農薬を使用するのが一般的です。しかし、バングラデシュの生産者は化学肥料や農薬が楽に購入できるほど経済的な余裕はなく、年月が経てば土地もやせて収穫量も減少していきます。それに対して有機農業は、手間はかかりますが、材料費などはかからず、長期的には土地が肥沃になり、環境を守ることができます。「規模の大きくないバングラデシュの農業であれば、それだけでも経済的メリットが見込めます。しかも、それ以上に生産者の食料を確保することが目的です。事実、バングラデシュで有機野菜を生産しても、価格はほかの野菜と差がありません」。バングラデシュでは、まず生産者自らが食べるために有機農業が不可欠となっているのです。
施設第1号は地域の各種活動拠点
政府・メディアから注目を浴びる
有機農業センターは、日本の外務省の援助の下、すでに05年から第1号施設の運営が始まっています。北西部に位置するボダ郡に建設されたセンターは、農地で実際に有機野菜を栽培しながら地域の生産者に有機農業を教えています。「土地は砂地に近くやせやすいのですが、有機農業の導入により土壌が改良されてきています。体験研修だけでなく、情報交換や会合の場としても活用され、いまでは地域のハブ施設(憩いの場)として浸透するほどになりました」。ボダは首都ダッカからバスで10時間近くかかる場所にありながら、現在では現地政府やジャーナリストなども視察に訪れるほど、全国的に注目されています。
パルシステムが今回取り組んでいるカリガンジ郡でのセンターは、HFWの施設としては、国内で2番目となります。「場所はダッカからバスで4時間ほどと比較的近く、HFWの活動にも積極的に協力していただける活発な地域。ボダ郡に比べて土壌も豊かで、潜在的に発展する可能性が高い地域だと考えています」。当地に有機農業を支援する施設はありませんが、これまでも農作物の栽培訓練を行ったり、生産者がボダ郡へ研修に向かったりしており、成功例も口コミで広がっていることから地域住民の期待は非常に高まっているそうです。
現地で高まるセンターへの期待
視察には村中の人から歓迎
西岡さんは8月にセンター建設の進ちょく状況視察のため、カリガンジ郡を訪れました。現地では1対のバナナの木をつないで門をしつらえ、到着は大量のフラワーシャワーで迎えられるという手厚い歓迎を受けました。「花びらが痛いと感じるほどでした」と西岡さんは笑顔で振り返ります。
建設予定地の視察では、現地の人びとが西岡さんの後をついてまわり、ある女の子は西岡さんの手を握り、ずっと放そうとし
ませんでした。「センターに対して現地の高まる期待を肌で感じました。これは、有機農業を始めた生産者の生活が向上しているのを目の当たりにしているからにほかなりません。あらためてセンター建設への意欲がわいてきました」。
5歳未満児の61%が栄養不良といわれるバングラデシュ。3食とれる家庭でも、メニューは白米と塩など、かたよった栄養しかとれていないのが実情です。センター建設でまずは、自らが食べられる安全な食料の確保、さらに薬草や薬樹栽培による医療費の削減、そしてあまった農作物を売却することで得られる金銭を貯蓄することが期待できます。「センターは2年後の2010年に完成予定。完成式典にはぜひ、パルシステム組合員のみなさんも参加してください」(西岡さん)。
さいごに
3回目の活動支援カンパは、12月2回(申込期間:12月1日~12月5日)に取り組みます。6ケタ商品の注文欄に申込番号190993と口数(1口100ポイント)を記入していただくことで、バングラデシュの有機農業センター建設や生産者の生活への支援につながります。多くの組合員さんのご協力をお願いしたいと思います。
*本ページの内容は2008年11月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。