ドゥコープの平和・国際交流活動 家にいながら参加できる「在宅型」社会貢献で平和につながる国際交流を提案(社会貢献活動レポート|2006年4月)

2006年4月1日

本コーナーは、今回ちょっとリニューアル。タイトルが、「生協の社会貢献」から「生協の社会貢献・地域活動」になりました。パルシステムグループ全体の取り組みから、地域の取り組みまで、今まで以上に幅広くご紹介していきます。

韓国プルン生協との子ども交流

戦後60年が過ぎ、組合員のほとんどが戦争を知らない世代になりました。しかしアフガニスタン、イラクと続いた戦争や世界各地で起こっている内戦やテロの映像は、テレビを通じて普通の市民や子どもたちが巻き込まれ、傷つく悲惨さをリアルタイムで伝えます。ドゥコープでは、「平和の活動をしたいけれど、NGOやボランティア活動に参加するのはちょっと…」と思っている組合員が参加しやすい平和・国際交流の活動を提案してきました。 組合員が取り組みやすいさまざまな在宅型の活動に参加してもらうことで、平和を考えるきっかけが生れます。ドゥコープの平和・国際交流活動について、担当理事の中根康子さん、田中瑞恵さんにお聞きしました。

中根康子理事

田中瑞恵理事

平和募金に186万円

ドゥコープでは05年12月20日、「Do!平和募金」の贈呈式が行われました。ドゥコープでは毎年テーマをもうけて平和・国際協力募金に取り組んでいます。4回目に当たる05年度のテーマは「世界の子どもと女性の支援のために」で、1.ネグロスの子どもたちに(日本ネグロス・キャンペーン委員会)、2.パレスチナの子どもたちに(NPOパレスチナ子どものキャンペーン)、3.母と子の命を守ろう(NPOシャプラニール=市民による海外協力の会)、4.スーダンの子どもたちに(NPOワールド・ビジョン・ジャパン)、5.フィリピンの子どもたちに(NPOチャイルド・ファンド・ジャパン)の5つのNPO団体の活動の中から組合員が募金したいテーマ・団体を選び、1口200円の募金をするシステム。11月28日~12月9日までの2週間に合計185万8500円が寄せられました。

「ネグロスを味わおう」

身近なところで参加できる活動を

生協の平和活動というと広島・長崎が思い浮かびます。しかし、組合員の層が変わってきている中で、例えば高い講師料を払って著名な人を講師に講演会を開いても、なかなか人は集まらないのが現状です。どうしたら個配が8割を占める組合員層に平和の活動に参加してもらえるか、組合員が何を望んでいるのか、ドゥコープらしい平和活動とは何か、と考えた時に「在宅型」の活動だと思い当ったそうです。「在宅型」とは、家にいながらできる社会貢献です。

「アフリカの遊び体験」

平和募金をした人の感想を見ても、社会のために何かやりたい、NGOやボランティアに参加まではできないが募金をすることで社会に貢献できる、生協が窓口だったら使い道なども信頼できるので続けて欲しい、との声があります。こうした声にこたえて、ドゥコープ理事会では「書き損じはがき回収(2月)」「アジアに楽器を送る運動(3月)」などに取り組んできました。

また平和・国際交流サポーター「パキララ」も、05年度に次のような活動をしてきました。

  • パレスチナ子どものキャンペーン「ガザにおもちゃを送ろう」に協力。(9月)
  • 自宅にある不用の本やCDをブックオフに引き取ってもらい売上金を募金するNPOシャプラニールの「ステナイ生活」に協力を呼びかけたところ、組合員50名以上がブックオフに本・CDを送付。
  • 「パキララ」では、在宅型の活動以外にも、「フィリピン料理とお菓子作り(7/1)」「夏休み親子企画 アフリカの遊びを体験しよう(8/26)」「ネグロスを味わおう(11/29)」など、幅広く活動に取り組んできました。

パキララのほかに韓国プルン生協との交流で子どもたちを招いた時の受け入れを担当している「ハヌル」のメンバーが5名います。今年1月にはハヌル主催の連続講座「韓国文化に触れよう!」の第1回「韓国のお正月を味わいませんか」が開催され大好評でした。 これは、地域の在日韓国人の方を講師に3回シリーズで韓国文化を学ぶもの。韓国と日本の間には難しい問題もありますが、そこから入るのではなくてまずお互いの文化を知ることが入り口になると考えています。

「韓国を味わおう」

知らなかった「反日」の歴史的背景を学ぶ

12月19日には戦後60年ということもあり、作家の石田甚太郎さんの「中国と韓国、その反日の背景と平和をかんがえる」をテーマに講演会を行いました。石田さんは何十年も前からフィリピンや沖縄・韓国・中国などを取材してきた方です。なぜ、中国や韓国で靖国参拝が問題になるのか、日本人が教育の中で学んでこなかった歴史を静かな語り口でわかりやすく話していただきました。年末の忙しい時期でしたが、組合員・一般の方など50名以上が参加。参加者のアンケートを見ると、「大事な話しを聞けてよかった、ぜひ継続して欲しい。現地の言葉で淡々と話してくださるので良かった」など好評でした。

生協としてはいろいろな間口を提供することで、少しでも多くの人に平和について考えてもらいたいと考えています。次年度は子どもたちにどう知らせていくかが、課題だそうです。「子どもたちは教育の中で学んできていないし、親たちも子どもに伝える真の情報を教わってきていない方が多い」(中根さん)。ドゥコープでは、プルン生協との子ども交流の時に事前学習会を行っています。高校の先生である江藤善章先生に関東大震災の時に多くの朝鮮人が虐殺されたこと、江戸時代は友好関係にあったことなど、歴史的な事実の部分を知らせています。このほか、「戦争や平和について考える絵本」のリストを作成、希望者を募ったところ、80名もの希望があったそうです。

プルン生協との子ども交流

生協は安全なものを売っているだけでなく平和や環境など、さまざまなことに取り組んでいます。カタログやチラシを見ることで生協の取り組みを知ることができるので、生活を見直すきっかけにして欲しい。そして、「パルシステムの職員の方たちも、生協が取り組んでいるさまざまなことに興味を持ってどんどんかかわって欲しい」(中根さん)、「本当に地球のことがわかれば、エコ・ドライブなどの取り組み方も違ってくるはず」(田中さん)というのが2人からのメッセージです。

*本ページの内容は2006年4月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。