震災から7年――今も終わらない再生への歩み(2018年4月)

2018年4月4日

社会貢献活動レポート:委託会社も取り組む「復興支援活動」

商品や共済とならび、組合員の住まいとくらしを支える「サービス事業」は、そのサービスごとに専門の委託会社と連携しています。「ふとんの丸洗い」や「シロアリ駆除」などと並ぶ、サービス事業の代表格のひとつが「エアコンクリーニング」。エアコンの内部にはカビやほこり・花粉などが付着しがち。快適に使用するためには1~2年に一度の定期的な掃除が欠かせませんが、市販の同業者が多数存在する中、パルシステムのエアコンクリーニングは「天然成分の石けん洗浄」にこだわり、防カビ対策も万全。内外の高い評価を受けています。

その3つの委託会社――(有)清和商会、(株)エコロジーホームサービス、グリーンホームズ(株)は“競合”ではなく、互いに“協働”してパルシステムのエアコンクリーニングを長年支えてきた同志でもありましたが――東日本大震災から6年を迎えようとしていた2017年3月に、福島県いわき市郊外の復興住宅で「エアコンクリーニングのボランティアによる復興支援活動」を初めて実施。これは毎月1回、サービス事業課と3社が行う定例会議内で、「自分たちの事業を通じて、復興支援に役立つことはないだろうか?」という問題提議がされたことに端を発したものでした。

二度と戻らない、かつての暮らし

「その会議のあと、うちの社長が社に帰ってきていきなり、〝よし、お前らやるぞ!”と。突然言われた時は、一同ぽかーんだったんですよ」と振り返るのは、(株)エコロジーホームサービスの柿崎さん。「復興のお手伝いはしたい。しかし日常の仕事はおろそかにはできない。だったら、この仕事を活かしてできることはないだろか?――私たち一人ひとりもふだん、パルシステムで仕事をさせていただいているだけに、その思いは人一倍強かったんです。社長の思い付きは突然でしたが(笑)、誰も反対はなかったですね」(柿崎さん)

(株)エコロジーホームサービスの柿崎さん。リピーターもかかえるベテランです。

その“思い”は、残る2社も同じだったといいます。申し入れに賛同したサービス事業課の岩瀬主任は、さっそくパルシステム福島の安齋専務に、その具体策を相談しました。

「震災から5年あまりが経過しても、まだまだ取り残された人もいる。風化の加速もあったので、みなさんの提案はとてもうれかった」と語る安齋専務は、いわき市に建設された復興住宅「豊間団地」の自治会長たちにその提案を投げかけ、取り組みは実を結びます。それが記念すべき第1回となる2017年3月の実施に、そして同年9月下旬の第2回へとつながり、合計で39戸を訪ねることなったのでした。

「こうしてていねいにきれいにして差し上げるのはいつも通りの作業ですが、心なしか気持ちの入れようは変わりますよね」と、第2回のとき現地で語ってくれた柿崎さん。この日は、長谷川良子さん(仮名)宅を訪ねました。

良子さんは「私が暮らしていた平豊間(ひらとよま)地区は古くから小さな漁村だったけど、活気のある集落でした。北海道からくる親潮が南岸からくる黒潮に潜り込む海域だから、魚はたくさんいたわねえ」と語ります。良子さんはかつて地区の中心部、目の前はすぐ海、という立地に暮らしていました。「お父さんとはお見合いして、豊間にお嫁に来たの。腕の良い宮大工だったのよ」夫は津波に飲み込まれ、今は遺影となって新居の一角から良子さんを見つめています。「こうして今、毎日ひとり暮らしをしてても不思議な気持ちになるの。いて当たり前の存在だったから、ほんとにもういないのかしら?…って気持ちになって。でも、もういないのよね」

良子さんが現在住まう「豊間団地」は、平豊間地区から内陸に1キロほど入った丘陵地にあります。耐火構造の堅牢なアパート群には集合住宅が168戸、敷地内には戸建住宅も24戸ある大きな“集落”です。しかし、かつて当たり前に家の前に広がっていた海はもう見えません。かつて暮らしのあった元地区は更地となり、さらに護岸工事のせいで高い防波堤に視界は遮られているのが実情です。

「生協の責任」は、これからも続く

あの日地区を襲った津波は、隣接する平薄磯(たいらうすいそ)とともに178名の命を奪いました(いわき市内では最大規模)。その悲劇を繰り返したくないのは誰しも同じ思いながら、かつての暮らしも光景も、二度と戻ってこない現実は、団地の住民たちに今も暗い影を落としてもいます。

今回、クリーニングのボランティアを受け入れる決断をしたひとり、管理会事務局長、佐藤隆廣さんは団地の現状は、必ずしも安泰ではないと言います。「サポートしてくださった多くの心ある方々には感謝してもしきれません。一方で、同じ福島県内にあっても津波被災者と原発事故の被災者では、その補償に大きな隔たりがあるのも事実」そこに垣間見えるのは杓子定規な補償システムに翻弄され、人生設計狂ってしまう人もいる、という現実です。被災した人々はこれからも自分たちで自分たちの暮らしを守り、作っていかなくてはならない――「今回のような生協さんからのご支援もまた、継続的なものとして受け入れ、交流につながれば、それが何よりと思っています」と佐藤さん。

サービス事業課の岩瀬主任は、パルシステムに課せられた課題を痛感している、といいます。「エアコンクリーニングを通じて、パルシステムの役割が再認識され、震災から6年を経てもなお、住民の方々が抱えている課題を直接伺うことができました。今回で豊間団地での作業は一旦終了ですが、今後も3社と協議しながら新たな取り組みを検討していきます」

被災地には今、数多くの復興住宅が建ち、人々の生活の再建がすすんでいる(写真は豊間団地)

委託会社との協同による復興支援

それは一過性でない、地域に密着しながら活動すべき「生協の責任」ともいえるようです。

委託会社3社のメンバーとサービス事業課の職員

パルシステムのエアコンクリーニング

パルシステムのサービス事業「住まいとくらし」

*本ページの内容は2018年3月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。