東日本大震災から10年 分断を乗り越え持続可能な社会を次世代へ
2021年3月11日
東日本大震災から10年が経過しました。建物倒壊や火災、津波などによって死者・行方不明者、震災関連死者あわせて2万2193名もの方々が犠牲となりました。あらためて、被害にあったみなさまのご冥福をお祈り申し上げます。
発災直後、日本国内のあらゆる地域で道路の寸断、燃料不足、さらに計画停電が発生し、社会は混乱を極めました。宅配事業を営むパルシステムにとっても、存続の危機といえる事態でした。こうしたなか、産直産地の生産者やメーカー、配送委託会社、生協職員などが一丸となって商品を届け続け、組合員とともに困難を乗り切ることができました。支援活動においても、つないだ手を放すことなく、くらしに寄り添い続けてきました。
復興庁のまとめでは、いまも4万名あまりが避難生活を送っており、なかでも原発事故のあった福島県からの避難者は、3万5千名が平穏なくらしを取り戻せずにいます。避難が続くみなさんは、けっして故郷を捨てたかったわけではありません。震災直後の電力不足で、私たちは当たり前にあった電気が、産業空洞化や過疎化に悩む地方の犠牲のうえに供給されている現実にあらためて直面しました。
原発は、たった1回の事故で一人ひとりのくらしを破壊し、経済的にも精神的にも、多大な被害をもたらします。このことを忘れることなく教訓とし、パルシステムでは2016年から、生活者がエネルギーを選択できる社会づくりへの第一歩として、再生可能エネルギーを中心とした電力の提供を開始しました。現在では、4万世帯を超える組合員が利用しています。
東日本大震災以降の10年間、私たちは地震や風水害など幾多の災害を経験してきました。私たちは、被災した地域の復旧、復興へ支援活動にできるかぎり貢献してきました。組合員から寄せられる募金は、被災したみなさんへの義援金だけでなく、被害にあわれた産直産地やメーカーなどへの見舞金や、現地で支援活動を展開するNGOへの支援金などへ活用の範囲を広げ、復旧・復興への大きな力となっています。こうした支援活動において、東日本大震災は大きな転機となりました。
いま、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で人々のくらしを脅かしています。収束を見通せない不安や苛立ちによって、他者を傷つけ、争うようなできごとが相次いでいます。その社会的分断を前に、私たちは東日本大震災と原発事故を想起せずにはいられません。苦難を乗り切るためには、それぞれの立場の人同士が分かりあい、支えあう社会づくりが不可欠です。私たちはあらためて、あらゆる立場の人たちと手を取り合い、ともに生きられる社会の実現を呼びかけます。
パルシステムグループはこれからも、理念「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」に基づき、2030ビジョンに掲げる「たべる」「つくる」「ささえあう」「きりかえる」「わかりあう」による持続可能な地域社会を目指します。
パルシステム生活協同組合連合会
代表理事 理事長 大信 政一