パルシステム神奈川ゆめコープの市民活動プログラムの取り組み「お豆腐を注文するように」OCR用紙で地域の活動を支援する(社会貢献活動レポート|2007年3月)

2007年3月1日

組合員が豆腐やキャベツを注文するように、あるいは海外のNPO活動や災害地に義援金を送るように、OCR用紙で気軽に地域の市民活動を応援する。地域のさまざまな市民活動を支援する制度を取り入れている生協は少なくありませんが、パルシステム神奈川ゆめコープでは、組織としての支援のほかに、組合員一人ひとりが地域の市民団体の活動に共感し、1口200円の賛助金を送るという取り組みをしています。この試みは03年度から始まり今年で4年目。「市民活動支援金事業は生協が運営する制度だから、お豆腐を注文するように組合員が選べるようにしたいね」という、選考委員の一言からこの制度が生まれました。
06年度は組合員403人が17万8百円の賛助金を寄せています。このパルシステム神奈川ゆめコープの市民活動応援プログラムについて、組織運営部くらし支援グループ長・庄司敬さん、06年度市民活動支援運営委員会委員長・大山久美子さん、担当常任理事・安井裕子さんに話を伺いました。

支援団体のみなさんと記念の集合写真(ゆめフェスタ2005にて)

ゆめフェスタ2005の会場で支援団体を発表し、記念品を贈呈しました。

すべての応募団体を組合員に紹介 組合員はOCR用紙で気軽に応援

パルシステム神奈川ゆめコープが地域の市民活動を支援する「市民活動応援プログラム」をスタートさせたのは2000年ですから今年で7年目になります。支援金の総額(およそ400万円)は理事会で毎年決定し、支援金の上限を一団体30万円として、応募してきた団体を審査し、支援金を決定します。また、これとは別に応募してきた団体全部を組合員に紹介し、組合員は応募団体の活動内容を読んで応援したいところに1口200円の賛助金を送り、応援します。06年度は24団体から応募があり、パルシステム神奈川ゆめコープの支援金は22団体に送られましたが、組合員が賛助金を送ったのは23団体でした。賛助金が最も多く寄せられたのは、野良猫を「地域猫」として世話をし、増やさず人との共生を図っていく活動をしている「濱っ子地域猫倶楽部」で、68人から4万6百円の賛助金が寄せられています。

自分の地域の活動を知り、応援することで新しい関わりが生まれる

賛助金の場合は、組合員さん個人の関心の高さが賛助金の金額に反映しますので、ひとりが何口もの寄付を送ることもありますし、社会的な関心が高く、多くの人から寄付が寄せられる場合もあります。大災害や海外支援などに大きな寄付金を寄せることがあっても、地域の中でさまざまに行われている活動に支援を寄せることは、正直なところ今の日本ではあまり行われていません。地域のさまざまな活動を知り、それを「大根を注文するように」「豆腐を注文するように」気軽に応援する、という取り組みは、地域の中の関わりを少しずつ変えていく新たな試みであると思います。

厳しい選考基準で、委員会が専門的・客観的に選考

パルシステム神奈川ゆめコープの支援金の場合は、組合員の賛助金の応募状況も参考にしながら、組合員も参加する予備選考後、外部委員も加わった選考委員会で専門的・客観的にそれぞれの団体の活動状況などを検討し、支援対象団体・支援金額を決めます。選考の基準は次の6つの評価項目によって判断します。

  • 信頼度(団体の遂行能力)
  • ニーズ(事業・活動の社会的必要性)
  • 手法(事業・活動の計画性・具体性・アイデア性)
  • 展望(事業・活動の地域・暮らしへの貢献度)
  • 効果(事業・活動の波及効果の展望)
  • 有効性(事業・活動の充実、発展への効果)

活動内容を正しく把握するため、すべての応募団体と面接!

しかし、応募書類だけで活動内容を把握するのが難しい場合もあります。また、書類の書き方の上手・下手によってうまく伝わらない場合もあるため「今年は応募団体全部を面接しました」と庄司さん。今年は応募団体が24団体と少なかったのですが、「締切日に半分が集中して大変だった」とのこと。しかし、活動の内容がよくわかり、面接をしたことは成功だったといいます。とくに、活動を始めて間もない団体の場合、どこの助成も受けられず、パルシステム神奈川ゆめコープの支援金だけが受けられたと大変喜んでいたそうです。

わくわくするような地域づくりを進める

選考する側の悩みもあります。満額支援できない場合、「その団体が残りの資金を出せるかというと、そういう力はない」というときに、全部出してあげたい思いはあっても、限りある財源で苦悩するところです。また、立ち上げも支援したいけれど実績が全くないと支援できないこともあります。一方、支援した団体のその後の様子を取材したり、支援が縁となって組合員活動の講師にお願いすることも個々にはあるといいます。

「わくわくするような地域づくり」を進めるひとつのツールが、パルシステム神奈川ゆめコープの「市民活動応援プログラム」です。

パルシステム神奈川ゆめコープ「市民活動応援プログラム」の支援金が役立っています。

《Do 冒険遊び場 コロボックル》と《みかんの花咲く丘》の場合

《Do 冒険遊び場 コロボックル》
横浜市中区を中心に活動している「Do 冒険遊び場 コロボックル」は区の生涯学級として設立されました。常設のプレイパークを目指して自主活動を行っており、2005年3月には学級を離れ自主的活動を開始しました。支援金は、備品用の新しい倉庫に使われました。

《みかんの花咲く丘》
小田原市で農家が手入れのできなくなったみかん畑を借り受け、再生させる活動を行っています。現在は江之浦地区のみかん畑に竹を加工したチップを敷き詰め、除草剤を使わずに雑草を抑制し、無農薬無化学肥料による栽培を行っています。支援金は竹チップの加工賃と草刈機の購入費用などに使われ、土壌の改善とみかん畑の手入れに役立てられました。

*本ページの内容は2007年3月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。