もっといい明日へ「超えトーク」第4回 「コウケンテツさんに聞いてみよう」-料理の楽しさと家事分担のコツ-

2022年11月17日

パルシステム連合会は11月3日(木・祭日)、東京・東新宿本部で、第4回超えトークを開催。料理研究家のコウケンテツさんを招き、家事分担で悩まない未来のため、これからの家族の在り方を家族とともに考えました。

パルシステムでは4月より「もっといい明日へ超えてく」を始動。2030年ビジョンの達成に向け、一人ひとりの行動で未来が楽しみになる新たなサステナブルアクションに取り組んでいます。

今回は家事分担にモヤモヤしたり我慢している人たちへの解決のヒントを、料理研究家のコウケンテツさんにご自身の経験からの気づきや海外取材でのエピソードを交えお話しいただきました。また、子どもたちに向けても料理の楽しさやお手伝いのコツなど伝授。組合員や役職員など延べ約970名の視聴がありました。

開会にあたり当会商品委員会・樋口民子委員長(パルシステム埼玉理事長)は、「コウケンテツさんは食を通じてさまざまな暮らし方、考え方、社会の在り方に造詣が深い方なので、取り組みのヒントもいただけると思い、ほんとうに楽しみです」とあいさつしました。

料理はいいことだらけ

11月3日は祭日ということで、まず子どもたちに向けての話から始まりました。全国の保育園や幼稚園、学校など子ども対象の料理教室で子どもたちが作るものから、子どもの力や創造性、そしてそれを引き出す料理のすごさを感じたそうです。五感を引き出し、創造性を刺激する。うまく作れたという満足感、達成感、自信につながる。作ったものは食べる責任感や違う料理を作りたいというチャレンジ精神が芽生える。グループ作業では譲り合いや助け合いなどコミュニケーション力、思いやりが生まれ、社会に出てからの大切なことが身に着く。「お料理はいいことだらけなんですよ」と強調しました。

料理のお手伝いについてコウさんは、何か一つだけやらせること。①一つの料理に一つの作業だけやってもらう。②その際、あらかじめ終わり方を伝えておく。“カレーなら玉ねぎを切る。それができたら今日のミッションは終わり”という具合に。③最後に“助かったよ”と伝える。「誰かの役に立つ、という成功体験のまま、お手伝いを終える。本人も自信がつき、それが次につながります」と述べました。

いちばんしんどいのは家族の無理解

家事は仕事同様大変で、分担は家庭の問題にせず社会問題にしてもらいたいくらいとコウさんは言います。

コウさんは大変な原因を検証し以下のようなことが見えたと話します。ワンオペ育児、食事作りも和洋中ありのワールドワイドハイスペック料理(コウさん語録)、手料理=愛情、栄養バランスや正しい食生活を求められる。SNSの情報にも一喜一憂。家事に対して感謝は少なく当たり前のこと。やらないと文句を言われる。究極に理不尽な作業になっているのではと言います。

ではどうするか。

私が「サンシャイン」の精神で

女性が仕事やボランティアなどで外に出ることが多いパリの朝ごはんはパンとコーヒーだけ。取材したマダムに栄養バランスを指摘したら逆鱗に触れ、「家で、ひとりでごはんを作ってばかりいたら、わたしが輝かないじゃない。わたしは家族のサンシャイン。わたしが輝くから家族が輝くのよ」と言われたそうです。「この取材のあと私コウケンテツは朝ごはん作りから自分を解放した。料理研究家だからと朝から晩までごはんを作りまくっていたのですが、やめたら朝がなんと穏やかなこと。そのうち中学生の息子が卵を焼いたり、後片づけ、掃除、妹のお迎えまで行ってくれるようになりました。結局自分がやらなくて、社会も家庭も回っていくものですね」(コウさん)。

海外取材なども含めて学んだことは、日本は家事育児を一人で担う女性のメンタルヘルスケアに目が向けられていない。まず自分の幸せファーストが大事だということ。日本人の、相手を立てたり一歩下がる謙遜の文化は素敵だが、それは残しつつ、もっと自分をいたわってほしい。リフレッシュする時間はぜったい必要だと強調しました。そのためには家事分担が大切で、パートナーと日々のことを話し合うことがスタート地点だと言います。「ただ、多くは嫌な顔をされたり、また今度と言われたりで、あきらめると聞きます。僕は話し合う時間をあえてスケジュール化しています。いきなりは難しいと思うが、第一歩として参考にしてもらえたらと思います」と結びました。

子どもたちからの事前質問で多かった「料理研究家になるには?」には、「自分にしかできない料理や自分にしかないアイデアなど自分らしさを磨くことがすごく大事。料理以外のたとえば美術や音楽鑑賞、読書などいろんなことに触れ吸収して、将来の自分の武器にしてもらいたい」と答えました。
子どもの偏食の相談では「無理に食べさせず、好きなものをモリモリ食べさせ、すごいとほめてあげてください。それが楽しい空間と感じると、苦手なものにトライする気持ちも出てくる」。ご飯を作りたくないときは?には、「『作らない日』をきちんと作る。家族で話し合い、その日は外食、デリバリー、惣菜を並べるだけ、など、作る日、作らない日のメリハリをつけるのがとても大切」と励ましました。

パルシステムでは2023年1月のカタログで、コウケンテツさんのオリジナルレシピを掲載させていただけることになりました。ぜひご覧ください。