平和学習会を開催 核兵器禁止条約発効後、私たちにできること

2021年8月3日

パルシステム連合会は7月8日(木)、東京・東新宿本部で平和学習会「核兵器禁止条約――発効後、私たちにできること」を開催しました。

パルシステムは2017年から2020年にかけて「ヒバクシャ国際署名」や「核兵器禁止条約の早期締結を求める署名」を組合員によびかけ、核なき世界の実現に向けて取り組みを進めています。2017年に「核兵器禁止条約」が国連で採択され、その後、世界中のNGOや市民団体の地道な活動が実を結び、今年1月に発効となりました。現在、86カ国・地域が署名、55カ国・地域が批准していますが(7/12時点)、日本政府は批准しないという立場を取り続けています。

今回は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員であるピースボート共同代表の川崎哲(あきら)さんに、禁止条約発効後の状況、そして日本の現状、役割、課題など講演いただき、さらに歩みを進めるための取り組みを考えました。組合員、役職員など88名が参加しました。

オンラインで講義する川崎さん。核兵器廃絶、平和への思いを語りました

核兵器廃絶は可能、という希望

開会にあたり主催した平和・地域活動委員会の藤田順子委員長(パルシステム神奈川理事長)は、「組合員から寄せられたヒバクシャ国際署名は24万8,216筆、核兵器禁止条約の早期締結を求める署名も3万9,191筆となり、私たちの平和への思いを示せたと思います。その後、禁止条約の採択、発効と動き、核兵器廃絶は可能という思いを強くしています。いま私たちの念願は日本の批准ですが、今日はそのためのさらなる行動、希望につながるようなお話が聞けたら」とあいさつしました。

川崎さんは「コロナ禍でどの国も核兵器禁止どころでないと思ったのですが、『核兵器禁止条約』はこれまで同様のペースで署名批准が増え、去年10月には50カ国が署名批准し発効となりました。現在86カ国が署名、55カ国が批准しており、この秋もっと増えるのでは」といいます。来年1月12日からウイーンで第1回締約国会議が予定されており、核兵器のない世界に向けた具体的、実質的な話し合いや作業が間もなく開始されます。

日本の参加は重要な意義、役割が

締約国会議では核兵器の廃棄プラン作成や被害者援助、環境回復など、締約国の義務や関わり方などの議論が行われます。「ヒロシマ・ナガサキ、そして福島からの教訓など、ここで日本が貢献できるものはたくさんある」と川崎さん。「日本はすぐには署名できないとしても、会議へのオブザーバー参加を拒むものはない。未署名のスウェーデンやスイス、フィンランドなども参加を表明しています。日本も参加すべき」と主張します。

そして締約国会議でヒバクシャのメッセージや核兵器の恐ろしさなどを確実に伝えきること、被爆国の経験やヒバクシャ援護の経験をまとめ、核被害者援助、環境回復などの救済のあり方を提示することなどを挙げました。そのためにICANでは被爆医療の専門家と連携し長崎でワークショップを始めていく予定だそうです。

「奴隷制、女性参政権、喫煙、ハラスメントなどいずれの問題も、その後の歴史のなかで正されていく。子や孫の世代が『なぜ核兵器という、ばかばかしいことをやっていたの』という時代が必ず来ると思います。問題はその歩みのペースで、それは私たち自身の行動によって変わると思っています」(川崎さん)

パルシステム東京の取り組み『学ぶ・つながる・アクション』 。川崎さんを招き学習会を開催しました

最後にパルシステム東京・砂子啓子理事から、「東京では『学ぶ・つながる・アクション』を打ち出し、さまざまな平和の取り組みを進めています。昨年12月には川崎さんと岩波書店『世界』編集長、長崎の高校生の平和大使2人のオンライン交流会を開催し、川崎さんと高校生のやりとりにたいへん勇気づけられました。8月6日には、韓国ドゥレ生協組合員とパルシステム東京の福祉施設利用者などに折ってもらった鶴を、広島の平和記念公園の韓国人原爆犠牲者慰霊碑に献納する予定です」と実践報告がありました。

講演のようすはこちらから(動画)川崎哲氏講演会「核兵器禁止条約ー発効後、私たちができること」|生協の宅配パルシステム(公式Youtubeチャンネル)

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祝!核兵器禁止条約発効 署名へのご協力ありがとうございました|2021年1月20日

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