戦後75年に寄せて「パルシステム平和の願い」 格差、分断、不寛容――小さな一歩から平和につなげよう
2020年8月13日
2020年8月15日(土)に先の戦争が終結してから75年を迎えるにあたり、パルシステムグループは「パルシステム平和の願い」を発表します。私たちは平和の大切さを広く呼びかけ、多くの人々と手をつないでいく決意をここに表明します。
パルシステム平和の願い 戦後75年に寄せて
私たちパルシステムグループは、理念「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」に基づき、食や農、生命を大切に活動している生活協同組合です。私たちは、組合員のくらしを守り、平和を礎にした社会づくりのために、戦争の悲惨さや平和の尊さを学び、戦争・紛争・貧困のない世界を目指し、戦争のない社会の大切さを訴えてきました。
2020年は、先の戦争が終結して75年を迎えます。戦争によって沖縄での地上戦や各地での空爆、そして広島・長崎への原爆投下など、痛ましい被害がもたらされました。さらに植民地支配と侵略によって、とりわけアジア諸国に多大な損害と苦痛を与え、多くの尊い命が失われました。こうした戦争や被爆の体験を語り継ぐ世代は、年々少なくなっています。戦争の悲惨さ、核兵器の恐ろしさに対する意識を風化させないため、過去の記憶と反省を決して忘れてはなりません。
なかでもとりわけ凄惨な悲劇を生んだ核兵器に対しては、毒ガスや生物兵器と並ぶ非人道的な大量破壊兵器として廃絶を訴える声が世界中で高まっています。2017年には、核兵器禁止条約に80カ国が署名し、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)には条約成立に貢献したとしてノーベル平和賞が授与されました。2019年に来日したローマ教皇は、訪問した広島・長崎の両地で核兵器の保有を否定し、廃絶を強く訴えました。
日本は、戦争への反省から「日本国憲法第9条1項」を定め、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」ことを決意しました。私たちはこの条文に込められた信念を誇りとし、いまこそその価値を世界に伝える機会であると考えます。
一方でいま、世界中でさまざまな課題が山積しています。「自分」や「自分たち」と異なる価値観や特性を認めない多様性への不寛容、世界人口の1パーセントに富を集中させる経済システムが産む格差の拡大、気候変動に目をつむり、過剰な消費をあおり続ける経済政策が生み出す地球温暖化と異常気象、その結果として国土荒廃や消失、食料難などが招く難民の発生、感染症の広がりの中で新たな分断など――。いま、地球上で起きている1つひとつの不平等や環境破壊、国家・民族間の対立が世界の貧困や紛争を引き起こし、「平和」をなし崩しにしている現実があります。
これらは、決して別世界で起きている悲劇ではなく、私たち1人ひとりのくらし方や考え方にもつながっている課題です。世界と日本、私たちが生きる地域社会、1人ひとりのくらしのなかのさまざまな課題。「1人ひとりの行動が、持続可能な地域社会を作り、世界の平和につながる」という、壮大であると同時に身近な小さな一歩への呼びかけでもあるこのメッセージを、あらゆる立場の人たちに共感を得られる言葉で伝えていきます。
戦争は、かけがえのない人命を奪い、人間の尊厳を深く傷つけ、そこからは感情の負の連鎖しか生まれません。惨禍を二度と繰り返さないためにも、私たちは歴史に学び、一人ひとりができることを考えていくことが求められています。
争いのない世界を未来の担い手である子どもたちへ手渡しましょう。私たちは平和とくらしを大切にする生活協同組合として、平和の大切さを広く呼びかけ、多くの人々と手をつないでいく決意をここに表明します。
生活協同組合パルシステム東京 理事長 松野 玲子
生活協同組合パルシステム神奈川ゆめコープ 理事長 藤田 順子
生活協同組合パルシステム千葉 理事長 佐々木 博子
生活協同組合パルシステム埼玉 理事長 樋口 民子
生活協同組合パルシステム茨城 栃木 理事長 青木 恭代
生活協同組合パルシステム山梨 理事長 梅原 隆子
生活協同組合パルシステム群馬 理事長 反町 幸代
生活協同組合パルシステム福島 理事長 高野 祐子
生活協同組合パルシステム静岡 理事長 細谷 里子
生活協同組合パルシステム新潟ときめき 理事長 瀬野 悦子
パルシステム共済生活協同組合連合会 理事長 石田 敦史
パルシステム生活協同組合連合会 理事長 大信 政一
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